犬の飼育頭数減少の理由は法改正によるブリーダーの減少。犬の飼育状況から猫を取り巻く環境を知る

キャットフードとは直接的には関係がありませんが、今後の猫を取り巻く環境を考える上で、犬における飼育状況の変化をみていきたいと思います!
犬の飼育頭数が減ってしまった一番の理由は動物愛護法改正による少数のみブリーディングしていたブリーダーの減少により、子犬の繁殖頭数が2004年から2014年までの10年間で45%も減ってしまったことと言われています。ブリーダーは72%も減少しています。
2006年法改正施工後1-10頭繁殖するホビーブリーダーは大幅に減った
法改正時に子犬の繁殖数や繁殖回数は定義されていなかったものの、年2回の繁殖あるいは2頭以上の子犬を繁殖すれば営利目的のためにブリーダー行を行っていると解釈されていました。
この解釈がブリーダー業の定義として地方自治体のサイトに定義として掲載されため、ブリーダー「業」(動物取扱業1種)として見なされた場合は地方自治体への登録・許可が必要だったことから、1~10頭程度と少ない繁殖を行っていた(便宜上ホビーブリーダーとも言われる)ブリーダーが辞めていくことになりました。
「生活するほどの営利目的ではないから、登録するほどじゃない」という感じの層が多かったのではないかなと。私の予想でしかないですが。
こうして子犬の市場への供給量が減り、値段は2010年から2016年で3倍に上昇し、まだ上がり続けています。
価格決定のメカニズムとしては、いずれ生産量と価格(コスト)のバランスが取れるところで落ち着くので、犬の価格も落ち着くことが考えられますが、それはまだ今ではないようです。
ここで大きな違いが出てくるところが犬と猫の入手経路の違いです。
子犬は73%が「ペットショップかブリーダー」から入手していますが、子猫は85%が「もらった、拾った、迷い込んできた」となっており、供給方法が全く違っています。
「購入しなくても自治体から譲渡を受ければいい」と考える方もいらっしゃると思います。しかし犬、猫ともに高齢者への譲渡を制限している自治体は少なくなく、早いところで60歳以上、多くのところで65歳以上が制限をされています。
例えば東京の場合は61歳以上で「家族からの継続飼育の同意または同意書・誓約書があれば譲渡可」としています。
ペット可物件というだけでなく、「ペット共生」マンションなどペットと暮らす環境は、以前と比べれば整ってきているにも関わらず、ファミリー世帯が減少し、子犬数も減り、価格も上がり、飼育へのハードルは上がるばかりです。
飼育者数が減れば置き去りや遺棄、虐待などといった問題が減るという一方で、共生するための環境が作りにくくなったり、需要と供給のバランスからフードやシーツなどの価格にも変動が起こる可能性は十分にあります。
猫だけで考えれば猫業界へ参入する企業が増えることも考えられ、アイテムが豊富になったり、猫にとってはいい変化が生まれることも考えられます。
猫を取り巻く環境はまだ犬ほどに変化はないと考えられますが、血統の猫の数の減少や価格高騰が考えられます。
その他に、散歩などの手の掛からない猫は夫婦世帯でも飼育することが可能であり、子どものように接する家庭は今よりもまだまだ増えていくことが考えられます。
しかし猫は爪を研ぐという考えから、アパートマンションでの飼育は敬遠されがちで、今後どのように変化していくかは観察の必要がありそうです。
また、動物の飼養は高齢者の健康に寄与すると考えられ、医療面での社会経済的価値が考えられています。実際に多額の医療費削減に繋がっている国もあり、健康効果への研究が進んでいくと思われます。
犬の飼育頭数が減ることで、猫への影響もあると思いますので、今後は猫飼育の環境や考え方が変わってくるのではないでしょうか。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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