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犬猫の飲料水は水道水が最適か
今日は犬猫の飲み水について話したいと思います。
福島原発の問題があったことから水道水を飲むのが不安だ、与えるのが嫌だといった声が聞かれるようになりました。
影響がある地域に住まわれてる方の場合は水道水を与えることに疑念を感じるのは最もなことだと思います。
そうした場合には後述する軟水のミネラルウォーターを選ぶこととしますが、「基本的には」犬猫の飲み水に最適な水は水道水です。
大切なことはいくつかありますが、殺菌がされており、硬度が柔らかいことが大切です。
また、ミネラルウォーターのように切らすこともなく、考えずにいつでもたっぷり与えられるという点も非常に大切なポイントだと思います。
ではなぜ「基本的には」なのでしょうか。それは全国の水道水の硬度にはバラつきがあるからです。
全国の水道水の硬度は?
水の硬度はマグネシウムとカルシウムの含有量で計られます。
マグネシウムとカルシウムといえば下部尿路結石の原因となるミネラル。水においてはこれらが少ないことが犬猫にとっては大切ですので軟水が良いでしょう。
軟水は60mg/L以下、硬水は60mg/L以上
軟水の硬度は60mg/L以下、硬水の硬度は60mg/L以上と考えてよいかと思います。厳密には以下の通りです。
しかし以前は中硬水の120mg程度までを軟水と判断した面もあり、判断基準はわかれますので、概ね60~120mgあたりでわかれていると考えて良いと思います。
- 60mg/L以下を軟水
- 60~120mg/Lを中硬水
- 120~180mg/Lを硬水
- 180mg/L 以上を超硬水
数値だけ言われても全くわからないですね…
では水道水はどうかということを調べた分析をいくつか参考にしてみましょう。
クリタック株式会社の全国水質マップ
全国水質マップがクリタック株式会社のHPにあります。
現地で水道水を採取してクリタ分析センターで分析したそうです。
これを確認するに、木更津市、熊谷市、沖縄全土が硬度100mg/L以上であり、上限が書かれていないので、120mg/Lを超えているかいないかがわかりません。
しかし、この分析では、水道水をどこから摂取したかによって硬度がかわるものと考えられますので、大まかな指標として参考にするのがよいかと思います。
ソフトウォータークラブの全国各県別・硬度ランキング
社団法人日本水道協会のデータをもとにして、さらに独自に確認を行ったというソフトウォータークラブのデータを見てみましょう。
ソフトウォータークラブのデータは独自のデータではなく、社団法人・日本水道協会(JWWA)のサイトに掲載されている、日本全国の浄水場ごとの水質データから『硬度のみ』を抜粋し、計算したものであるようです。
浄水場で採取した水の硬度を測定
こちらは浄水場で採取しているので水道管などの影響は受けにくいものと思います。
ソフトウォータークラブ 全国各県別・硬度ランキング 2006年年7月2日
少し古いデータ(2006年7月。最新のデータも見れます)ですが全国平均硬度は50.916です。
しかし硬度の最高値だけ見ると120mg/Lを超えているところも少なくありません。
浄水場数 | 最高硬度(mg/L) | 最低硬度(mg/L) | 平均年測定回数 | 平均硬度 | |
---|---|---|---|---|---|
鹿児島県 | 143 | 304 | 2 | 3.41 | 48.67 |
群馬県 | 182 | 289 | 12 | 4.86 | 57.343 |
滋賀県 | 74 | 282 | 7 | 18.41 | 45.872 |
※この年のどこかの鹿児島県の浄水場では水道法の基準300mg/Lを超えてしまったところがあるようです
上記はあくまで最高硬度が高い県を3つ上げただけで、平均硬度は高くないので、一概に硬度が高い県というわけではありません。
あくまで計測上最高硬度なので、県別での高い低いではなく全国でも一部地域のみが高いというのが正しいと思います。
最高と最低の差が少ない県で、かつ、平均年測定回数が多い県の値ほど信頼ができます。
つまり、地域によって全く違い、あまり県別は参考にならないということなのでしょうか。
これらのデータを見る限りではそういってもいいように思いますが、日本全国で見れば平均して軟水であるということは言えると思います。
お住まいの地域の硬度を調べてみよう
最高と最低の差が少ない県で、かつ、平均年測定回数が多い県で、かつ、両方とも軟水であれば軟水の地区とは言えるかもしれませんが、それがご家庭に届いた時点で同じであるとは言えないということです。
お住まいの地域の浄水場出口水の水質の硬度を調べる
どこでより明確な硬度を調べるために一番簡単なのは、お住まいの地域の浄水場出口水の水質の硬度を調べていただく方法です。
上記リンクからお住まいの都道府県の基準項目を確認すれば、自宅最寄りの浄水場がわかるかと思います。そこで硬度を確認してみてください。
毎年公表されていますのでデータに一定の信頼性はあるかと思います。
例)渋谷区の水道水の硬度を調べてみよう
例えば弊社がある東京都渋谷区で見てみましょう。
東京都水道局のHP(東京都水道局 水源・水質)で確認すると、渋谷区は三郷浄水場ですので以下のような数値が確認できます。
最高硬度(mg/L) | 最低硬度(mg/L) | 平均年測定回数 | 平均硬度 | |
---|---|---|---|---|
三郷浄水場 | 86 | 33 | 12 | 65 |
※2017年のデータ
このように「渋谷は軟水」と言っていいように思います。
自宅の水道水の硬度を調べてみよう
自宅の水道水の硬度を調べる場合には硬度計、硬度測定キットなどを使用します。
簡単なのは以下ですね。採取した水に1、2滴たらして撹拌し、赤になったら硬水、青になったら軟水です。
滅多に引っ越すわけではないと思いますので、気になる方は1年に一回位チェックしてみるというのも面白いかもしれませんね。
高額なものであれば電子チェッカーなどもあるので調べてみてください。
喉越しゴクンが硬水です
本当に大雑把でいい方は一度硬水と軟水を飲み比べてみてください。
口当たりが重く、やや苦味を感じたりします。私の個人的な感覚で言えば喉を通過する時にゴクンと塊のような喉越しの水が硬水です。人によって感じ方は違うかもしれませんけどね(笑)
喉越しゴクン(笑)
まとめ
- 基本的には犬猫の飲料水に最適なのは水道水
- 軟水は硬度が60mg/L以下
- 全国の水道水の硬度にはバラつきがある
- 硬水の水道水もある
- 自分の住んでいる地域の浄水場の硬度を確認することができる
- 自宅の水道水の硬度も確認ができる
- ミネラルウォーターなら軟水を選んで
飲料水には水道水が最も適していると言われていますが、お住まいの地域では必ずしもそうとは限らないということがわかりました。特に猫は下部尿路疾患を患いやすい動物なので、毎日飲む水の硬度は気にしてみてもいいかもしれませんね。