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多くの原材料を使用しているペットフードのメリットは?
多くの原材料から栄養素を摂取することができることです。
ネコ科の動物は草食動物の胃の中で半消化された植物を食べることから、肉食であっても植物を摂取しないわけではありません。
こうしたことからも食べれる状態にした植物を与えることで、そこからしか得られない栄養素を摂取することができるようになります。
ドライフード・ウェットフードを主食とする猫は、制限されたものしか摂取できないですもんね。
毎日の食事となりますので、多品種を大量に配合する必要は全くありませんが、微かでも配合していることで日々の栄養摂取の助けになると考えられます。
食材は栄養素のためだけで選定するわけではない
ペットフードを製造する時、基本的には栄養計算をして作りますので、栄養バランスに目を向けて原材料を選定します。しかし栄養バランスが整っているから美味しいわけではありません。
原材料は味、食感、香りを決める大きな要素
原材料は味や食感、香りを決める大きな要素です。
これらは目で見ても違いが感じられます。例えば食物繊維は加工後も様々な食材の繊維の形が残っており、形が違いますからそれぞれ作用に違いがあります。もちろんそれらは食感にも影響してますし、多くの食材を使えば複雑な香りを作り出すこともできます。
食材が増えるだけ味や香りは複雑になって差別化ができますので、今までに食べたことがないような食事に犬猫が楽しみに食べてくれることに繋がります。
複雑な味、香り、食感はその時々の体調などに応じて違った味に感じやすくなります。変化が生じることで継続して食べてもらえることに繋がる可能性もあります。
もちろん反対に嫌になる、飽きてしまうこともあるかもしれません。しかしそうした味、香り、食感や変化が食事にはとても大切な要素のひとつです。
限られた食材を食べる犬猫だからこそ、多くの食材を摂取することも大切なことのひとつであると考えています。
多くの原材料を使用しているペットフードのデメリットは?
多くの原材料を使用しているデメリット…メリットの方が多くありそうですけどね?
大きくは以下の通りです。それぞれ詳しく解説していきます。
- 原材料の調達コストが高くなる
- 世界情勢の影響を受けやすい
- 収穫時期によって原材料の品質が変わる
- アレルゲンに出会う可能性が少し高まる
原材料の調達コストが高くなる
多くの原材料を使用しているということは、当然手配が必要になる原材料が多いということになります。
40種類もあれば収穫時期にも違いがあり、原材料購入のタイミング次第では、今回はこっちの原材料は安いけど、こっちの原材料が高いといったことが起こります。
因みに弊社の場合は全て個別に仕入れているわけではないので、ある程度まとめて用意していただける仕入れ業者の提示する総価格が上下します。
種類が多いとバランスを取るのが難しそうですね…
厳密にいえば原材料調達のための輸送回数も受け入れ回数も増えるわけですし、このようにコストが安定しないので、どうしても少し余裕を持った高めの製造価格設定になってしまいます。
ある程度流通量があれば生のもの以外は一括仕入れで保管しておくこともできますが、コンテナ一本ずつ購入する位のロットの場合は、一回ごとに原材料を購入するのでそうした割安にする取り組みができません。
その点、原材料が少ないシンプルなレシピで、原材料も乾燥に頼れるものが多い場合はさほどコストは上下しません。
世界情勢の影響を受けやすい
弊社の場合も例にもれず、コロナウイルスの影響で原価や海外輸送運賃が高くなってきています。特にコンテナ輸送価格はかなり高くなりました。
こうした事態では多くの要因から価格の影響を受けるわけですが、調達する原材料が多いと輸入国が多くなりがちなので世界情勢の影響を受けやすくなります。
弊社のフードは全てヨーロッパ産の原材料ですが、こうした事態では国によって輸送コストや調達コストにバラつきがでます。
弊社は販売価格に転嫁することはありませんが、状況が酷ければ転嫁せずにはいられない会社も出てくることも考えられます。
収穫時期によって原材料の品質が変わる
天然由来の原材料を使用している場合はどうしても起こり得る問題ですが、特に野菜類などは同じ原材料を使っていても収穫時期で状態が変わるので、製造ロットによって食いつきや味にも微妙な違いが出ます。
このため多くの野菜類の原材料を使用している場合は影響も大きくなるといえます。
こう考えると多くの原材料を使用することはとても大変なことであることがわかりますね!
ロイヤルカナンでもこの辺りを解説していますが、産地、収穫時期によって原材料の色も変化します。
https://www.royalcanin.com/jp/about-us/faqs
今までに製造にも関わってみて、目に見てわかるほど変わったこともありますし、安定的に続くこともありました。膨張剤などを使用せず、自然に近づければ近づけるほど原材料の状態によって膨らみ具合や色も変わります。
変わったからといって原材料を変更するわけにはいきませんので、本製造の前に少しだけテストして、あまりに違う場合は少し調整を行い、その時にできる一番近い形状で作るようにしています。
そうなんですね!猫にとってはその小さな変化も大きいかと思いますし、シンプルなレシピのものよりも、ロットによって食べが悪いといったことが多い可能性があるかもしれませんね。
アレルゲンに出会う可能性が少し高まる
これは原材料が多いということは、多くのものを摂取するということですので、そのどれかひとつにアレルギーが出る可能性があるということです。
ただし、アレルギーが発症しやすい原材料のほとんどは肉類、魚類であり、タンパク質が要因となりますので、野菜類は大豆や小麦などタンパク質が豊富な食材に限られており、多いと言われている小麦でも5%以下ですので、アレルギーが出やすい食材は限られており、多くの食材でアレルギーは稀です。
人もアレルギーが出るまでアレルギーが出るから食べないということはしないと思います。それと同様に犬猫においても食べられるものがあれば食べた方がよいです。
まとめ
- 原材料の調達コストが高くなることで価格が高価になりがち
- 原材料調達を各国から輸入していると調達や輸送に関して政界情勢の影響を受けやすくなる
- 収穫時期によって原材料の品質が変わりますが、原材料が多いとその影響も大きくなりやすい
- 豊富な原材料を使用しているのでアレルゲンに出会う可能性が少し高まる
このように猫の生活を考えると、多くの原材料を使用しているキャットフードにはメリットが大きくあると思いますが、価格面などで若干デメリットが出てくるということになっているんですね。