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キャットフードに使用される香料とはどんなもの?
香料自体は私が開発したキャットフードにも使用していないので、実は私もそれほど詳しくありません…(笑)
詳しくないのに題材として取り上げるんですか(笑)
もちろん詳しくないながらにも、製造時に香料のメリットデメリットは確認した上で使わないという選択をしましたので、その辺りについて簡単に紹介してみたいと思います。
肉系フレーバー
ドライフード工場に香料を製造する工程はない
製造を行うにあたって確認したところ、キャットフードでは香料を使うとしても肉系のフレーバーのみとなるようです。子猫用などではミルク系、牛乳系の香りも選択肢としてはあるようでしたが、あまり使われないようで、担当スタッフもあまり詳しく知りませんでした。話の感じからはフレーバーを扱う会社があり、仕入れることはできるといったスタンスでしたね。
よく考えたら香料まで自社で作る工場というのはなさそうですね!
私もその時に気付いたのですが、ドライフードを製造する工程に香料を製造する工程というのは当然ながらありません。このため基本的に香料を使用する場合は、香料そのものを他社から仕入れることになると思います。
香料を使わなくても作れる理由
香料を使う必要がない理由のひとつに、トップコートの存在があります。
トップコートは動物性油脂などですが、動物性油脂そのものが動物が好む匂いがするというわけではありません。
生肉の脂身がそのまま良い匂いがするわけではないですもんね(笑)
動物性油脂を嗜好性が高まるようにクッキングして粉末などにすることで、自然と発生する香りを利用することで別途香料を使う必要がないということです。
このため、トップコートは香料ではありませんが、香料のような作用をすると言えると思います。
動物性油脂のクッキングとはどのようなことをするのですか?
ドライフードを作ると全ての原材料が混ざってしまうわけですが、トップコートでは動物性油脂を加熱することで出る香りを利用したり、食いつきのいい原材料のみで油分と合わせて好む味を作って、振りかけたりコーティングできる状態にするといった工程のようです。
トップコートも自社製造、仕入れともにあるようです。
ジャーキーに香料を使う?
ジャーキーは調味料に浸けて味を染み込ませた肉にスパイスなどを使用し、水分を飛ばしてから焼いたものです。
一般的な作り方であれば特殊な製法ではないので香りには大きな違いがありません。
肉の種類や調味料で変わるという当たり前の範囲ですよね。
そんな中でも香料が使われているジャーキーがあります。食品の香料と聞くと、香りが悪いからマスキングするといったイメージが強いかもしれません。
ジャーキーの場合も独特な肉臭さが苦手な人でも食べれるようにマスキングする、原材料が肉なので香りのばらつきがでないように香料で調節するという意味もあります。
この場合、ひとつ劣った製品を他社製品と横並びにするというマイナスを補填するイメージがありますが、ジャーキーのような製品は他社製品と違いが出にくいので、もともと横並びの製品に香料で香りづけをして差別化をはかる、一段階アップさせる、食欲増進を誘うといった考えもあるそうです。
必ずしもマイナスな使われ方ばかりではないということなんですね。
キャットフードに香料は必要?
他社様の香料不使用のものをいくつか確認しましたが、少し変わった香りがするものもありましたが、9割は肉らしいというか、猫が好みそうな香りでした。
製品ごとに匂いの強い弱いという違いは感じられますが、突飛な香りというものは、逆に見つけるのが難しいかもしれませんね。
ジャーキーの例のように、香料はなくても作ることができますが、必要に応じて使ってみる場合もあるといったところでしょうか。
弊社の場合
弊社の場合は、香料を使用したキャットフードと、工場で製造した香料不使用のキャットフードを合わせて確認しました。
例えば着色料の場合は赤色など見た目に違いがわかるものが多かったのですが、香料による違いはほとんど感じられなかったんです。
弊社製品の場合はロニーキャットフードやエリザべスキャットフードはそれぞれ40種類以上の原材料を使用しているので香りには不安がありましたが、全く問題はありませんでした。
むしろ、ロニーやエリザベスは香料不使用ですが、匂いは強めの製品になったと思っています。
香料を使う大きなメリットは拒否される可能性を減らすことができる
「食べなくては意味がない」という考えに主眼を置いた場合、香料を使って食いつきをさらにアップさせることも選択肢のひとつになると思います。
香料を使うことで少なからず拒否される可能性を減らすことができます。これはキャットフードなど動物に食べてもらう上では非常に大きなメリットです。
香料を使う目的が重要
また、香料を使わないことをアピールポイントのひとつとし、かつ食べてくれるフードが作れるなら必要がないということにもなります。
それぞれのメーカーの考え方によるところが大きいですので、キャットフードの香料が必要不必要は目的にもより、正解はないものと考えています。
香料が必要な製品もある
例えば歯磨きガムなど、健康に配慮した食品や療法食のように方向性が限られる物で、かつ、どうしても食べる必要があるものです。栄養添加物なども独特の香りがあるものもありますので、香料を使用することでマスキングも可能です。
この場合は総合栄養食のように「食べるキャットフードを探せば良い」といった悠長なことは言ってられません。
使ってくれなくては意味がないですもんね!
そうなんです。こうした「使用しなければならないもの」の場合には香料を使用してでも嗜好性が高まるように設計します。
天然香料と合成香料
天然香料
このあたりは専門的な話になり、私が詳しくない部分となりますが、天然香料は動植物から圧搾や蒸留、または酵素処理などで抽出します。
イメージとしては花や果実からだと思いますが、牛肉や豚肉などの肉類や魚介類、甲殻類などからも抽出可能です。
厚生労働省の食品添加物に関する情報ページで紹介されている「天然香料基原物質リスト(日本食品化学研究振興財団)」が参考になると思います。
凄い量ですね!
天然だけでもこれだけの量から組み合わせて使用しますので、無限にあるようなものです。
合成香料
これに加えて合成香料があります。
日本香料工業会によると合成香料の3,000種類、世界的に取引されているもので500種類程度ということです。石油、石炭などから作りますが、香り物質を得られればなんでもいいとのことです。
確かに「香り」ですから抽出できる香りがあればなんでも大丈夫なんですね。でも食品に使うとなると不安がありますね…
食品に使用される香料のほとんどは「可食性の天然物に含まれている成分と同一の化学構造のもの」です。合成香料は「エステル類」などの一括名称で指定した18の分類に該当すると判断されたものが厚生労働省 指定添加物 18類香料リスト(PFD)にリスト化されています。
化学式が同一であるとはいえ、抽出方法からも天然香料の方が安全であるとはいえるのかもしれません。
まとめ
- キャットフードに使われる香料は主に肉系フレーバー
- 香料を使うことで拒否られる可能性を減らすことができる
- 療法食や歯磨きガムなど使ってもらわなくては意味がないものには使用する設計になる
- 天然香料と合成香料がある
香料は使用する意図が大切であることがわかりました。香料が使われているからその製品がダメというわけではなく、どういった効果を求めているのかがわかると良いですね!