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鉄分とは
鉄分(Fe)とはミネラルのひとつで、血液中のヘモグロビンの構成成分であり、酸素を運搬する役割を担っています。このため鉄分が不足すると貧血を起こすといった症状が現れます。
食品から摂取する鉄は動物性食品に多く含まれるヘム鉄、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄(無機鉄)に分けられます。
犬や猫にも貧血はありますか?
どんな生き物でも貧血はありますよ。タマネギ中毒などでも貧血を起こします。
ヘム鉄
動物性食品に多く含まれるヘム鉄はタンパク質と結合していて還元型のため、そのまま腸で吸収されます。
このため肉類の豊富な食費は鉄分の吸収の面で優位であるといえます。
特に肉食の猫は主にヘム鉄を摂取していたと考えられますので、愛猫により肉食寄りの食事を提供することは猫の体質に沿った考え方であるといえると思います。
雑食寄りの犬にしても同様であり、基本的には肉食ですのでヘム鉄を摂取することが好ましいと考えます。
非ヘム鉄
植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄は吸収するためには還元される必要があります。
非ヘム鉄は3価鉄イオン(Fe3+)の状態ではほとんど吸収されず、アスコルビン酸(ビタミンC)などの還元物質、もしくは腸管上皮細胞腸管上皮細胞刷子縁膜に存在する鉄還元酵素によって還元されて 2価鉄イオン(Fe2+)となり、吸収されます。
平たくいうと非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすくなります。
鉄分の吸収について
鉄分の吸収は同時に食べるものによって大きく変わります。タンパク質、アミノ酸は肉類に豊富であり、フィチン酸は穀類に、シュウ酸は青菜などに含まれます。
鉄の吸収を促す
タンパク質、アミノ酸、アスコルビン酸(ビタミン C)
鉄の吸収を抑制する
フィチン酸、タンニン、シュウ酸
青菜というとほうれん草などですね。
こうした点からも穀類を使用しておらず、動物性たんぱく質が豊富なグレインフリーは、穀物入りと比較すればミネラル吸収においては優位であると考えることができます。
しかし非ヘム鉄も一緒に食べる食べもので還元することができますので、一概に非ヘム鉄がダメということではなく、摂取方法が大切です。
鉄分の多い食品
肉類(特にレバー)
貧血にはレバーというように、鉄分を摂取するためにはレバーが最適です。特に豚レバーに豊富に含まれています。しかしレバーを直接猫に与えることはなかなかないと思いますし、もし与えてもたくさん与えてしまってはビタミンAの過剰摂取となってしまいます。
しっかり火を通し、適量を与えると良いでしょう。
魚類(マグロ)
鉄分といえばマグロ。タンパク質も豊富で日本の猫はマグロのお刺身なんかが好きな猫も多いので食べやすい食品であると言えるでしょう。
野菜
ほうれん草など青菜には比較的多くの鉄分が含まれています。しかし青菜はシュウ酸も多く含む為、肉食であることからも猫の食事には適しているとは言いにくい部分があります。そして食物繊維も吸収を阻害してしまいます。
グレインフリーのペットフードと鉄分
犬猫の食事がグレインフリーであることのメリットについては、猫は肉食であり腸が短いため、植物を十分に消化することができない、犬は元々肉食であり、現在も肉食寄りの動物であるという点が上がりますが、そもそも肉類と植物では吸収しやすい栄養素に違いがあることが上げられます。
上記の通り、鉄だけでも肉など動物性食品に多く含まれるヘム鉄、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄(無機鉄)と分けられてしまい、犬や猫は肉食動物として基本的にヘム鉄を摂取している生き物です。
猫は草食動物の胃の中にある半分消化された植物を食べることも確認されているので、ここから非ヘム鉄を摂取している可能性は考えられますのでもちろん全く意味がないというわけではありませんが、ヘム鉄を摂取するように心がけると良いでしょう。
まとめ
- 鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分けられる
- 動物性食品に含まれるヘム鉄は還元型のため、そのまま腸で吸収することができる
- 植物性食品に含まれる非ヘム鉄はビタミンCなどで還元してから窮する必要がある
- 猫は肉食食性、犬も肉食寄りの食性のため主にヘム鉄を摂取していると考えられる
- 肉食寄りのグレインフリーなどは犬猫のミネラル吸収においては優位であると考えられる
- 鉄が豊富なほうれん草など青菜はシュウ酸も含むため、猫にとっては過剰摂取は禁物
鉄分の吸収の面においても肉食寄りの食事が大切であることがわかりました。