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マンガンについて
マンガン乾電池で有名なマンガン。銀白色の金属で、よく反応する金属で粉末にすると水や空気中の酸素とも反応します。
マンガンは単体で使用されることはほとんどなく、合金の原料やフェロマンガンとして鋼材の脱酸素剤として使用されます。
必須元素、必須微量ミネラルであり硫酸マンガンなどは肥料としても使用されます。
マンガンの働き
骨を石灰化することによる骨の形成、皮膚の代謝、血液の生成を行います。
タンパク質や糖質、脂肪を消化吸収する酵素を活性化します。消化を助ける働きがあります。
性ホルモンの合成に関与し、生殖機能の低下を防止します。
マンガン過剰症・欠乏症
マンガン欠乏症
マンガンは必要量が非常に少ないためマンガン欠乏症は報告がなく、市販キャットフード・ドッグフードで欠乏症になるということは考えなくても良いかと思います。
マンガン欠乏症
頭痛、関節痛、刺激、眠気、しだいに情動不安定に陥り、怒りをあらわにしたりし、錯乱状態に致ります。大脳などにも障害を起こし、パーキンソン病や抑うつなどもあります。
人の場合マンガン暴露から離れると3~4ヶ月で症状が消えます。
しかしマンガン中毒になる場合のケースはマンガン鉱山でマンガン粉塵を長期吸入するような限られた場合であり、ペットフードで考える必要はありません。
キャットフードとマンガン
キャットフードにおけるAAFCOのマンガン摂取量は最少量は定められていますが、最大量の定めはありません。
栄養 | マンガン |
---|---|
子猫最小量 | 7.6mg/kg |
成猫最少量 | 7.6mg/kg |
最大値 |
これは一般的な許容量は決して低いわけではないため、長期に過剰摂取した場合は鉄分やカルシウムの吸収を阻害することによる影響の方が大きいと考えられます。
ミネラルを連続して紹介していますが、それぞれが相互に関係していることから、ひとつだけを摂取すればよいということではないことがわかるかと思います。
ミネラルも摂取する原材料やバランスが重要なんですね。
キャットフードに使われるマンガン
キャットフードにはドライフードの場合はだいたいマンガンが添加されます。マンガンそのものが単体で使われることはほとんどなく、キャットフードでは硫酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアミノ酸など化合物にして添加されます。
マンガンアミノ酸複合体(マンガンアミノ酸、マンガンアミノ酸キレート)
マンガンとアミノ酸を結合させたものです。アミノ酸と結合することにより吸収がよいことが報告され、サプリやペットフード、動物飼料などに使われています。
硫酸マンガン
硫酸マンガンはそれぞれ必須であるマンガンと硫酸を結合させたものです。家畜飼料に添加することが許可されている飼料添加物であり、キャットフードでも非常に良く使用されます。
炭酸マンガン
炭酸とマンガンを結合させたものです。こちらも家畜飼料に添加することが許可されている飼料添加物のため、キャットフードでもよく使用されます。
酸化マンガン
日本では使用されないが、EUでは飼料添加物として使用することが許可されています。
マンガンが豊富な食品
マンガンは玄米や全粒粉などの穀物、ナッツに多く含まれており、動物性食品ではレバー以外はほとんど含まれていません。
キャットフードの原材料としては限られたものであるため、マンガン供給源としては上記の添加が一般的です。
まとめ
- 必須微量ミネラル
- 欠乏症、過剰症は一般的な環境であれば起こらないと考えられる
- 長期に過剰な状態が続いた場合は鉄欠乏など他の症状が起こる可能性が考えられる
- 硫酸マンガンなどは飼料添加物としても認められている
- 穀物やナッツに豊富に含まれている
- ほとんどは添加で補う
マンガンは飼料添加物に使用されている物がキャットフードでも使われており、過剰症、欠乏症もほとんどないことから気にする機会の少ないミネラルです。