目次
ビタミンDとは
ビタミンD(Vitamin D)はカルシフェロールともいい、脂溶性ビタミンのひとつです。
- 植物性のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
- 動物性のビタミンD3(コレカルシフェロール)
主な供給源としては肝油、卵黄などがあります。
犬猫に大きく関係してくるものがビタミンD3です。人も動物も紫外線を浴びると皮膚でビタミンD3が合成されます。
皮膚でですか!?
ビタミンDの産生と代謝
- 紫外線により皮膚でコレステロール代謝産物のプロビタミンD3が紫外線を浴びることによってプレビタミンD3に変化し、さらにビタミンD3に変化します。
- ビタミンD3は水に溶けないのでビタミンD結合タンパク質と結合してビタミンD3-ビタミンD結合タンパク質となって血管内を流れます。
- その後ビタミンD3は肝臓で水酸化されて25-ヒドロキシビタミンDに変化します。
- それが更に腎臓で水酸化されて1.25-ヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)となります。
- ビタミンDは活性型ビタミンDにならなければ生理的機能に対して作用しないため、腎臓での水酸化は必須条件となっています。
ビタミンDは使えるようになるまで(活性型ビタミンD)とても工程が必要なのですね・・・
プロビタミンD3はコレステロールに戻りやすい
コレステロール代謝物のプロビタミンD3ですが、犬猫ではプロビタミンD3をコレステロールに戻す酵素活性が高く、コレステロールに戻ってしまいます。
ビタミンDはキャットフード、ドッグフードからも摂取が必要
このため犬猫の皮膚ではプロビタミンD3濃度が低くなり、犬猫ではコレステロール代謝物のプロビタミンDが少ないために体内での合成量が少ないため、ペットフードからもビタミンDを摂取する必要があります。
ドライフードのビタミンDは決して安定的ではなく22度以上で半年間保管し続けると30%減少します。ペットフードではこうした点にも留意して消費期限内にビタミンDが規定量を下回らないように添加しています。
このように書くと気温にナーバスになりがちですが、現実的には22度超えるような場所で食品を保管し続けることは考えにくいので、一般的な暮らしをしていればあまり気にする必要はありません。
ビタミンDの働きは?
ビタミンDは骨や歯の成長、筋肉の収縮、血液を固める機能に関係しています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、骨粗鬆症を予防し、不足すると骨や歯に影響を及ぼします。
リンもカルシウムと一緒に骨の形成に関係したり、エネルギー代謝、脂質の代謝に影響します。
ビタミンDの摂取量について
下記の表をご覧下さい。ビタミンDは珍しく最大値が設定された栄養素です。
AAFCO 2016 ドライキャットフードのビタミンD
栄養 | 単位 | 子猫・成長期 最小値 | 成猫 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
ビタミンD | IU/kg | 280 | 280 | 30080 |
ペットフード公正取引協議会が採用している栄養基準を定めているAAFCO 2016のキャットフードの基準を確認するとビタミンDの最小値は280 IU/kg、最大値は30,080 IU/kgとなっています。
AAFCO 2016 ドライドッグフードのビタミンD
栄養 | 単位 | 子猫・成長期 最小値 | 成猫 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
ビタミンD | IU/kg | 500 | 500 | 3000 |
ペットフード公正取引協議会が採用している栄養基準を定めているAAFCO 2016のドッグフードの基準を確認するとビタミンDの最小値は500 IU/kg、最大値は3,000 IU/kgとなっています。
ビタミンD過剰症
ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症、骨石灰化、嘔吐、嗜眠などを引き起こします。中でも子犬、子猫で顕著に表れ、骨の異常が見られやすくなります。
ビタミンD欠乏症
犬猫では希な症状ですが、人でもよく言われるくる病があります。カルシウムやリンの吸収に関連しているため、骨の形成不全、骨軟化症、骨折などが見られます。
まとめ
- ビタミンDにはビタミンD2とD3がある
- 動物性のビタミンD3は紫外線を浴びることで皮膚で合成される
- ビタミンD3は肝臓、腎臓でそれぞれ水酸化されることで活性型ビタミンDに変化する
- 活性型ビタミンDにならなければ活用することができない
- ビタミンDは骨や歯の形成、筋肉の収縮、血液を固めることなどの作用がある
- キャットフード、ドッグフードの中でビタミンDは決して安定的ではなく、22度で半年間置いておくとビタミンDは30%減少する
犬猫にはビタミンD3が重要ということがわかりました。猫は日向が好きですし、犬も散歩をするので大丈夫だと思いますがきちんと日光浴をすることの大切さを学んだ気がします。ペットフードからも摂取しなければいけないことがわかりました。ペットフードの保管時の温度には注意していきたいと思います。