クエン酸とは
クエン酸(citric acid)はヒドロキシ酸のひとつで有機化合物です。キャットフード、ドッグフード共に酸味が特徴で食品添加物としてよく使用されています。
姿は白色もしくは無色でスポーツ系の飲料にもよく用いられています。その他酸味をプラスするためにお菓子などにも使用されています。
柑橘類の酸味もこのクエン酸が大きな要因のひとつです。レモン、オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、梅干しなどに多く含まれています。
ドッグフードやキャットフードでは基本的にpH調整や保存料の補助的な役割で使用されることが多いように思います。
クエン酸回路
クエン酸回路とはタンパク質、炭水化物(糖質)、脂質の代謝経路です。
簡単にいうとアセチル基をCO2にまで完全に分解する途中で様々なエネルギーを作り出す回路です。
下記の図のようにサイクルが出来上がっており、一周するごとに3NADH、FADH2、GTPなどのエネルギーを生み出します。
クエン酸回路ではアセチルCoAからクエン酸、Cis-アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸などの中間体が生じます。
これら中間体は図内の”脂肪酸生合成の反応”のように、途中で生合成経路に入って他のものに活用されることで失われていきます。
失われた中間体は他の毛糸から代謝の中間体を補充する必要がありますが、クエン酸は回路を形成しているため、どの中間体を補充しても全ての中間体の濃度が上昇します。
クエン酸の効果
上記の通り、クエン酸は回路のひとつのため、脂肪酸やステロイドの生合成に用いられたり、例えばαケトグルタル酸まで変化することでタンパク質の合成素材としてやアミノ酸の生合成に用いられたり、スクシニルCoAではポルフィリンの生合成に用いられたりと多くの作用に関連しています。
このため直接的なもの以外にもクエン酸には様々な効果がありますが、よく知られているものが疲労物質の乳酸を分解することでの疲労回復や血流の促進、ミネラルの吸収促進といった効果があります。またアルカリ汚れを落とす掃除道具としても使われています。
参考:クエン酸による細胞機能の調節機構:美容および美白、老化における役割(PDF)
しかし乳酸が溜まると疲労となる説においては、むしろ75%筋収縮が減少したラットに乳酸を添加したことで力の回復が見られた研究があり、スポーツなどで体内が酸性化することで疲労を防ぐ可能性があることを示しています。これは今までは筋肉疲労は体内が酸性化することで起こると考えられていたのとは対照的であり、クエン酸が乳酸を分解することによる疲労回復という考えが正しいかはわかっていません。
参考:Protective effects of lactic acid on force production in rat skeletal muscle
しかし例えそうであったとしても、クエン酸はカルシウムとキレート錯体を構成することや、鉄などのミネラルイオンとキレート錯体(さくたい)を構成することからも運動後にクエン酸を摂取することは意味がないとまでは言えません。
クエン酸は体内でアルカリ性になる
クエン酸はそれそのものは酸性ですが、体内に入るとアルカリ性に変わります。血中の酸を中和してアルカリ性に変化してくれます。これによって体内のバランスを保ってくれる役割があります。
例えば梅干しはたくさんのクエン酸が含まれていますが、アルカリ性食品です。
ph値は食品を空気中で燃やした後に残った灰の灰汁(水溶液)を測定します。燃え残った灰の中に酸性のものが多いかアルカリ性のものが多い蚊で分類します。
クエン酸(C₆H₈O₇)は燃えると二酸化炭素と水にしか残らないためです。
クエン酸の摂取量について
クエン酸は厚生労働省の指定添加物となりますが、使用基準は特に設けられていません。また欧州食品安全期間でも一日の摂取許容量(ADI)も設けられていません。
EFSA(European Food Safety Authority)では公表されている研究から動物用飼料では1kg中30gまで、水1L中10gまでは安全である証拠があるとしています。
ペットフードにおけるクエン酸
ペットフードでは主に保存料の補助的な役割で使用されます。微生物の増殖を防いだり、保存料の効果を向上させるために使用します。
ドッグフード、キャットフードでは嗜好性向上のために酸味料としても使用されます。キャットフードの場合、猫はクエン酸の味をとても嫌がりますので保存料として使われることが多いように思います。
まとめ
- クエン酸はクエン酸回路を通してさまざまな作用に関わっている
- 疲労回復や血流の促進、ミネラルの吸収促進が主な効果
- 筋肉疲労を起こした場合、体を酸性化することで早く回復したという研究があり、クエン酸が乳酸を分解して疲労回復に寄与するという説は不明となった
- クエン酸はそれそのものは酸性だが、体内に入るとアルカリ性となる
- クエン酸の摂取上限は定められていないが、EFSAでは動物用飼料では1kg中30gまでは安全であるという証拠がある
酸化防止剤としても使用されるクエン酸。疲労回復や血流の促進、ミネラルの吸収促進などの効果があることがわかりました。そして体内に入るとアルカリ性になって体をリフレッシュするそうで、適度に摂取することを心掛けたいですね。