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ビタミンKとは
ビタミンDEKAのうちのひとつ、Kは脂溶性ビタミンです。ビタミンKにはビタミンK1、K2、K3、K4、K5、K6、K7の7種類があり、そのうち天然に存在するビタミンがビタミンK1とビタミンK2です。
ビタミンKは血液凝固には必須のビタミンであり、カルシウムを骨に沈着させることで骨の形成、骨粗鬆症の予防や治療にも役立っています。動脈硬化の原因となるカルシウムの血管への沈着も防いでいます。
- ビタミンK1(フィロキノン)(天然)
- ビタミンK2(メナキノン)(天然)
- ビタミンK3(メナジオン)
- ビタミンK4(メナジオール)
- ビタミンK5(4-アミノ-2-メチル-1-ナフトール)
- ビタミンK6(1,4-ジアミノ-2-メチルナフタレン)
- ビタミンK7(4-アミノ-3-メチルナフタレン-1-オール、4-アミノ-3-メチル-1-ナフトール)
一般にビタミンKはフィロキノン(ビタミンK1)、メナキノン-4(ビタミンK2)、メナキノン-7(ビタミンK2)を総称したものをさします。
ビタミンK1(フィロキノン)
ビタミンK1は天然ビタミンであり、緑黄色野菜や植物油、藻類などに含まれています。植物の葉緑体で生産されるため緑茶などにも含まれています。食事から摂取できることもあり、総ビタミンK摂取量の90%以上をフィロキノンが占めています。
ビタミンK1は体内でビタミンK2のメナキノン-4に変換されます。ただし変換量は少ないと考えられています。
ビタミンK2(メナキノン)
腸内最近によって合成されるので不足することは希なビタミンですが、ビタミンKの中で栄養学上で最も重要なのがビタミンK2(メナキノン)です。
メナキノンは1から14まで存在しますが、重要なのは鶏肉や卵黄など動物性食品に含まれるメナキノン-2と、納豆など発酵食品に含まれるメナキノン-7です。
以下のような実験結果もあり、中でもメナキノン-7は心臓病のリスク軽減に役立つことがわかっています。
またビタミンK1からも変換されるメナキノン-4は吸収率が低いか、壊れやすく肝臓まで到達する前に破壊されてしまう可能性があり、効果効能が出にくいと考えられています。
オランダ実施された、約5,000人を対象にした10年間の調査で、ビタミンK2(MK-7)を多く摂取したグループ(一日平均45μg)は、少ないグループ(一日平均18μg)に比べて心臓病の発症率と心臓による死亡率が半減したことが明らかになりました。一方、野菜や海草に含まれているビタミンK1には相関が認められませんでした。
参考:日本納豆キナーゼ協会
ビタミンK3(メナジオン)
ビタミンK3は天然には存在しませんが、動物の体内で代謝されてメナキノン-4(ビタミンK2)になります。
飼料用添加物として使用されている
大量に摂取すると毒性があるためサプリメントでは使用されていませんが、飼料用添加物として使用されています。毒性は必要量の少なくとも1,000倍超の用量で見られるため、飼料用添加物として使用されている用量では安全であり、有効なビタミンKの供給源として考えられています。
参考:欧州食品安全機関(EFSA)、全動物種用ビタミンK3(メナジオン重亜硫酸ナトリウム及びメナジオンニコチンアミド重亜硫酸)の全性及び有効性に関する科学的意見書を公表 食品安全委員会
下記は大変参考になる文献で、ビタミンK3を飼料用として使用することでビタミンK3がメナキノン-4(ビタミンK2)に変換されて体内に残っているということを表しています。
動物性食品中にメナキノン-4が多い理由は、人工飼料に添加されているビタミン K3 が動物の体内でメナキノン-4 に転換されるためと言われています。
ペットフードの添加物としても使用される
飼料用として認可されているのでペットフードの添加物にも使用される場合があります。
私が作ったペットフードや、レシピを考案していた際に参考にしたレシピやテストしたレシピではビタミンKの添加の必要はありませんでしたので、ビタミンK2が含まれる動物性原材料の少ないレシピだったりすると添加することもあるのかもしれません。
AAFCOの基準で猫には基準値があるが犬には基準値がない
AAFCOの基準では猫の場合、乾物量換算でkg辺り0.1mg以上は配合していなければいけません。
AAFCO 2016 キャットフード | 成長期・妊娠期 | 維持期 |
---|---|---|
(mg/kg) | 0.1 | 0.1 |
犬にはビタミンKの最低基準は設けられておらず、犬の方が腸内細菌が十分な量を合成しているとされているからです。
肉食である猫の方が腸も短く、食物繊維の摂取量が少なくなりがちなことも関係しているかもしれませんね。
ビタミンK欠乏症
ビタミンKは欠乏症は血液が固まらず、出血が起きやすくなります。
ビタミンK過剰症
摂取できるビタミンKの90%はビタミンB1(フォロキノン)であり、フィロキノンは多量でも毒性がありません。このため事実上過剰症の心配はありません。
まとめ
- ビタミンKは主にビタミンK1、ビタミンK2(メナキノン-4、メナキノン-7)の総称
- ビタミンK2は体内で合成でき、欠乏することは稀
- 総ビタミンK摂取量の90%以上をフィロキノン
- 鶏肉や卵黄など動物性食品に含まれるメナキノン-2
- 納豆など発酵食品に含まれるメナキノン-7
- メナキノン-7は心臓病のリスクを下げる
- 合成のビタミンK3は飼料用添加物に使用される
- ビタミンK3は体内でビタミンK2に変換される
- AAFCOのビタミンKの基準は猫のみに最低値が設けられている
犬猫の体内で合成できるビタミンK。一番重要なものはビタミンK2であり、動物性原材料や発酵食品にも含まれていることを覚えておくと良さそうです。