犬や猫用の手作りご飯(ペットフード)について。メリットデメリットや栄養・給与量の計算方法について

手作りペットフードについてのご質問

特に今年(2022年)に入ってから飼い主の皆様からドライフードなどの総合栄養食と一緒に、愛犬愛猫へ手作りご飯を与えたいというご相談をいただくようになりました。

私がオリジナルのドライフード作りに奔走し始めた2013~4年頃はペットフードに関するウェブサイトがほとんどありませんでしたので、飼い主ご家族の皆様の意識の向上が非常に早いことを感じています。

さて手作りご飯(ドッグフードやキャットフード)についてのご質問・ご相談は以下のようなものです。

  • どんな食材なら与えても大丈夫なのか
  • おすすめの調理方法を知りたい
  • アレルギーのある愛犬愛猫に手作りフードを与えたい
  • 生食はどうか
  • 手作りレシピを作って欲しい
  • 栄養の計算方法を教えて欲しい

しかしどの質問も愛犬・愛猫個々に向けたご相談のため、なかなか対応が難しいものでした。

そこでここでは大まかに犬猫用の手作りご飯の一般的なメリットデメリットを紹介していきたいと思います。

愛犬愛猫用の手作りご飯のメリット

飼い主が原材料を把握できる

一番のメリットは、飼い主が愛犬・愛猫の食材を選んであげることで添加物の心配がなく、全て目で見て触って確認が出来るという点であるかと思います。

スーパーで自分の食材を購入するのと同様に、愛犬愛猫の食材を購入できれば安心感は大変大きなものになるかと思います。

一緒のものを食べているという安心感や満足感も得ることができます。

フレッシュフードならではの栄養素を摂取出来る

ビタミンや酵素は熱に弱く、加熱したご飯では得られにくいものです。

手作りご飯(ドッグフード、キャットフード)なら加熱に弱い栄養素でも計算して作ることで効率良く摂取することができます

水分を摂取しやすい

手作りご飯はドライフードとは違い、水分を多く含んでいますので、手作りご飯を食べるだけで多少なりとも水分を摂取することができます。

普段から水をなかなか摂取してくれない愛犬・愛猫に対しては、手作りご飯を食べることで合わせて水分を取ってもらう手段のひとつになるかと思います。

愛犬愛猫用の手作りご飯のデメリット

栄養計算が難しい

ドライフードは給与量も設定されていて、基本的には書かれた通りに与えることができますが、愛犬・愛猫向けの手作りご飯では栄養計算をしなければ与えてもよい給与量がわかりません

特に初めのうち、初心者の場合は結局作ってはみたけど、与えられなかったということになりがちです。

与えていい食材を把握しなければいけない

犬猫にはアボカドなど食べてはいけない食材が存在します。これらを飼い主が知らずに与えてしまうことで手作りご飯が愛犬・愛猫にとって毒になる可能性が出てしまいます。

ひとつひとつ安全な食材を調べて覚えていかなければいけません。

アレルギーについて

アレルギーがある場合は交差反応も考えて食材を選ぶ必要があり、与えていい食材を把握した上で更に食材制限が加えられることになります。

総合栄養食を作ることはほぼ不可能

初心者の方で特にこだわり勝ちなのが、手作りご飯で1日の栄養素量を満たそうとすること。

しかし犬用、猫用の手作りご飯の総合栄養食を作ることは非常に難しいことです。どうしても栄養添加物が必要になります。

過去の手作りご飯の研究でも1品で総合栄養食を作ることはできず、1品はたんぱく質に寄せ、1品はビタミンに寄せたレシピを作るなどして補い合うレシピを作ることで解決していくという結果があります。

つまりプロように栄養管理をしていれば良いかと思いますが、一般的な飼い主による手作りご飯だけでは栄養の偏りが生じる可能性が高いということです。

費用がかかる

愛犬・愛猫用の手作りご飯を人用に買った食材だけで作れれば良いのですが、なかなかそうもいかないように思います。

そうした場合、別途購入しなければならないものの、犬猫用のサイズで販売されているわけではなく、毎食手作りを行うためには大変費用がかかります。

その上でドライフードなど総合栄養食を一緒に使用していくことになると思います。

生食について

大変多い相談のひとつに特に犬の生食があります。私は必ずしも生食を否定する立場ではありません。しかし一般の飼い主様による生食はリスクも大きいとお伝えしています。

生食は大前提に鮮度が大切です。更に寄生虫・細菌・ウイルス、真菌の有無についても考えなければいけません。

以下の記事は私が寄せた原稿ですので是非参考にしてみてください。

犬猫の生食について。酵素やビタミン補給源としてのメリットや食中毒や過剰摂取のリスク

手作りご飯の栄養計算は食品成分表から

机上での栄養計算は基本的には食品成分表から行います。記載のない食品はUSDAのデータベースや書籍なども用います。

食品成分表から計算を行う知識が必要となりますが、愛犬愛猫のレシピだけの範囲であれば、油で揚げたり調味料なども使いませんので、勉強すれば難しいことではありません。

食品成分表に書かれていない食材も多数ありますし、食品は旬など取れる時期や産地によっても栄養素が変わりますのであくまでおおまかな計算ということになりますが、これによって手作りレシピの栄養計算が可能です。

給与量について

給与量はNRC飼養標準かAAFCOの養分基準を参考にするのが良いかと思います。

私は日本でも参考にする方の多いAAFCOの養分基準を利用し、カロリーベースの表から計算しています。

  1. いくつかある犬猫向けのカロリー算出計算式の中から愛犬・愛猫に適当であると思うものを選択し、必要なカロリー量を計算
  2. AAFCOのカロリーベースから、愛犬・愛猫に必要なカロリー量に合わせた各栄養素の必要栄養量を計算
  3. 手作りご飯の栄養素量を照らし合わせて、各栄養素の上限を超えないように給与量を設定
  4. 栄養素が足りない分はドライフードなどで補う

これが比較的簡単な手作り食の給与量の求め方になるかと思います。

以下も参考になるかと思いますので是非ご一読ください。

当サイトの栄養成分値について

まとめ

上記の通り、愛犬・愛猫の手作りご飯にはメリットデメリットがあり、かつ適量を与えるための計算には大変手間がかかります。

それでも愛犬・愛猫の体のことを思えばメリットはありますので、取り組んでみるのも良いと思います。

飼い主自身が手作りご飯をどのように捉える(主食とするかトッピングかおやつとするかなど)かで難しさは変わってきますが、ちょっとしたトッピング程度で毎日でなければ総合栄養食のドライフードの量は変えずに与えてあげても良いように思います。

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スギさん

新婚さんで妊娠中。子どもができたことをきっかけに家族の健康について考え、10歳を超えた愛犬愛猫の健康も考えるようになった。現在犬猫の食事について勉強中!

エノおじさん

10匹以上の猫を飼っているお酒が好きな元気なおじさん。大量のキャットフードを購入することもあり、安価でありながら安全なキャットフードを探している。
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