ドライフードの硬さについて。ペットフードの粒は昔より柔らかくなっている?商品による違いは少ない

ドライフードの粒はある程度硬さが必要

ドライフードの粒の硬さはでんぷんの量が大きく影響します。でんぷんは多くの食材に含まれていますので必然的に含まれてくるのですが、ここ数年徐々に高タンパクの組成(グレインフリーなど)にする傾向にあり、必然的にデンプンの含有量が低くなってきています。

デンプンは膨張率や粒の耐久性に関係していますので、これらが低下してしまうと製造の最終形態で粉塵や粒割れが発生する可能性が出てきます。

ドライフードへの生肉の含有量が増えているため、原材料の品質維持は今まで以上に重要となってきています。

粒の硬さを調整するデンプン源

穀類または穀類加工がよく使われますが、芋類、豆類、植物の根、地下茎なども使われます。ひとつしか使ってはいけないということはないので、組み合わせて使用されることが一般的です。

デンプンの糊化がペットフードを硬くします。糊化が生じることでドライフードが硬くなっていくので、つまり糊化をコントロールすることで硬さを調整することができます。

デンプンは食材によって糊化する温度が違います。

食品糊化温度範囲(℃)糊化開始温度(℃)
61~77.5
タピオカ58.5~7065.4
さつまいも65.8
じゃがいも56~6661
小麦52~6758

この糊化温度が高い食材をデンプン源として用いると糊化の程度を抑えることができ、ドライキャットフード、ドッグフードの硬さを抑えることができます。糊化温度が高ければ高いほど硬さを抑えたドライフードが出来上がります。

しかしグルテンが生じてしまうとこれも硬さが増してしまう要因のひとつになります。

このようにバランスを取ることが大切で、最近ではグレインフリー、グルテンフリーのドライキャットフード、ドッグフードへの意識が高いことから、じゃがいもやさつまいものデンプンがよく使われています。

キャットフード・ドッグフードはデンプンがないと作れない!デンプン(じゃがいもなど)を使う理由を教えます

粒の硬さによる嗜好性

粒の硬さによる嗜好性はある程度犬猫個々の好みによって左右されますが、一般的には柔らかめの方が好まれると考えられています。

このため硬すぎるドライキャットフード、ドッグフードにならないように原材料選び、デンプン量の計算を行っています。

スギさん
スギさん

そうなると各社同じように対策しているならドライフードではそれほど違いがでないんじゃないですか?

良い点をついていると思います。結局のところどのメーカーも、完成品が崩れたり、粉になってしまわない中で食べる範囲内の硬さを考慮して作りますので、大きな違いはありません。もちろん多少の硬さの違いはあり、その範囲の中で犬猫共に好みがあると思います。

しかし実際今まで多くのキャットフード、ドッグフードを見てきた方も多いと思いますが、「物凄く硬い!」「物凄く柔らかい!」というドライフードはみたことがないのではないでしょうか。

少し特殊なものでは中の空洞が多く、軽いペットフードがあり、これらは食感も硬さも明らかに違いますし、嗜好性に大きく左右します。クッキー的な側面も強い商品です。

柔らかいドライフードを探すには?

時々いただく質問の中で私も答えられない質問です。

スギさん
スギさん

マッサンが答えられないんですか!

というのも同じ原材料を使用しても原材料の時期、旬などでその時仕入れた原材料のデンプン量が多い場合もあれば少ない場合もあります。

前のロットより今回のロットの方が硬いということは、自然の食材を使う以上どうしても起こってしまうことだからです。

このため、一回で判断することもできず、解決策のない質問と言えるかもしれません。

その中でもなんとか選びたいという場合には糊化温度が高い原材料をタンパク源として使っているドライフードを探してみるというのが答えになるかもしれません。

飼い主は栄養上の目的を持たない成分を嫌う傾向にある

近年飼い主が栄養上の目的を持たない成分を嫌うという意識はとても強いものになってきました。それにはペットフードの情報が手に入りやすくなったことや、犬猫動物を家族として扱う方がどんどん増えているということの現れでもあると思います。

しかし不思議なことに人用に使われる場合はあまり気にされない方も多いということです。

スギさん
スギさん

動物は人と話すことができませんし、体も小さいので余計に気になるということでしょうか。

こうした理由からも「粒の耐久性をあげるため」「問題なく膨張させるため」とはいえ、栄養とは関係がない原材料を簡単に使うことはできません。

ゼラチンをドライペットフードに使用する試みが行われました

ゼラチンはコラーゲンに由来する純水なタンパク質です。状態は乾燥した無味無臭の粉末として存在します。

その中でも低ブルームゼラチンと言われる、強度の低いゼラチンがドライキャットフード、ドッグフードの結合材として使うことができるのではないかという研究です。

参考:高タンパク質の押出ペットフードに含まれるゼラチンがキブルの物理的特性に及ぼす影響

私はゼラチンを使ったドライフードは覚えがありませんが、このような方法も検討されていたります。

今のところドライフードを固める、硬さを調節するという点では食材選びとでんぷん量で調整しています。ここはドライフードが製造されるようになってから大きく変わっていない点で、意外と進化することが難しい部分なのかもしれません。

因みにデンプンが入っていることを悪と捉える方が時々いらっしゃるのですが、でんぷん、炭水化物は多くの食べ物に含まれていて、犬も猫も不必要なものではないと考えられています。何事も適度が良いと考えるのがよいように思っています。

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スギさん

新婚さんで妊娠中。子どもができたことをきっかけに家族の健康について考え、10歳を超えた愛犬愛猫の健康も考えるようになった。現在犬猫の食事について勉強中!

エノおじさん

10匹以上の猫を飼っているお酒が好きな元気なおじさん。大量のキャットフードを購入することもあり、安価でありながら安全なキャットフードを探している。
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