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エクストルーダーとは?
エクストルーダー(extruder)とは原材料を粉砕、混合して加熱、圧力をかけて押し出して発泡、成型する食品加工機器で、ペットフードでは主にドライフードの製造に使用されています。
製品の形状や目的に合わせた設定にすることによって、ペットフードだけでなく、お菓子やシリアルなど多種の食品を製造することができます。
- 顆粒や粉体、ペーストなどの原材料と水を入れる
- 高温で加熱しながらスクリューで圧力をかけながら押し出す
- ひねり出た原材料をカッターでカットして成型
上記のように混錬・加熱・成型・膨化・殺菌などを行う機械です。
以下は私のイラストですので相当簡略化したものですが概ねこのような機械です。
製造能力は様々で、ホッパーに原材料を2kg程度入れられる小型のものもあれば、大型のものでは1時間で100キロ以上製造できるものもあります。
日本では大型の機械を持っているペットフード工場は大手メーカー等に限られていて、なかなかOEMで大型機械を使用しての製造を行うことは難しい環境にあるといえます。
エクストルーダーはもともと工業製品を製造するために作られた機械ですので、食品以外にも塩ビ管などプラスチック製品を製造するためにも使われています。
1軸式と2軸式の違い
エクストルーダーには大きく分けて2種類あり、1軸式の押し出し工程のみを行うものと、2軸式で混練も行うことができるものがあります。
1軸式は押し出す力が安定しているため、成型に向いているといえます。
2軸式は1軸式よりもよく混練できます。また1軸だと原材料が滑ってしまって進まないようなケースでも2軸式は搬送性に優れています。
ペレタイズ方法
ドライフードは基本的にホットカット式という方法で熱処理、圧縮されたドライフードの生地(原材料)をカットしています。
混練、加熱、圧縮された原材料は円盤に開いた穴を通過して出てきます。これをカッターで切り落とすことで形が決まります。
これ以外にも円筒状に切り出されるストランドカットといった方式もあります。
粒の形は概ねこの工程で決まりますが、エクストルーダーでは乾燥は行われませんので、ダイス部分から出てきたペットフードはまだ水分を含んでいてフカフカした質感です。
この後に乾燥の工程を行いますので、そこで膨らみや萎み、変形などが生じ、1~2mm程度大きさに違いが出ることがあります。
焦げた粒や長い粒、膨らんだ粒など
製造上焦げた粒やペレタイズの際に一気に押し出されることによって少し長くなった粒、大きく膨らんでしまった粒、小さく萎んでしまった粒、原材料の混ざりが悪く微妙な成型となった粒などが出てきます。
これらはどうしても出てしまいますので異物除去機で除去を行います。
エクストルーダーを使用するメリット
短時間で加熱クッキングを行うことができ、酸化など栄養素への悪影響を抑えながらデンプンを糊化(α化)することができます。
ウェットフードなどに比べると栄養素や水分量のバラツキ幅が小さく、比較的安定しやすいというメリットがあります。
その上で大量製造が可能なため、コスト削減が可能です。
高温処理を行いますので殺菌できるという点も重要です。高温は栄養素を壊すためにデメリットだと言われることもありますが、170度位になるものもあれば100度以下で通過するエクストルーダーなどもあり、一概には言えません。逆に低温だと滅菌の時点で不安が残り、大量生産を行う上では温度は非常に重要な要素のひとつになります。
エクストルーダーの価格
1回で2kg程度の原材料が入れられる小型のもので300万円ほど、1回で20kg程度の原材料が入れられる位のもので1000万円~といった価格です。設置費用やオプションもかかってきます。
エクストルーダーは大変高価な機械ですが、それだけでペットフードができるわけではありません。焼成する機械、乾燥させる機械も必要ですし、場合によってはベルトコンベアや、パッキングする機械が必要になります。
これらを揃えると小型の工場でも数千万円がかかりますので、ペットフード製造の環境を作ることは大変難しいことであることがわかります。
動物検疫上での利点
ペットフードには必ずと言っていいほど鶏肉などの動物性原材料が使用されていますので、ペットフードを海外から輸入する際には動物検疫を受ける必要があります。
動物検疫では肉を加熱しているかなどの検査項目があり、加熱工程があるということを明確にするひとつの確認方法としてエクストルーダーを使用しているかの確認もあります。
もしエクストルーダーを使用していないペットフードの輸入を行う場合には製造過程における肉類の加工方法や加熱方法、温度などを伝える必要があります。
このようにエクストルーダーはドライフード製造になくてはならない機械として長年使用され、製造能力も改善されていて、今後も使用されていくものと思います。