犬猫の尿路結石は合併症や生活環境で形成される!食事管理以外に注意すること

尿路結石とはミネラルが結晶化すること

体内に取り込まれたカルシウムなどのミネラルがシュウ酸などと結合して結晶化し、結石になります。

結晶化しても結石になる前に排出すれば問題はありません。このため、結晶化だけでは一時的な場合もあるため治療を行わないケースも増えてきているとのことです。

というのも今までは「結石=食事が原因」という考えが一般的でした。

しかし尿路結石の原因は食事ではなく、合併症や生活環境であるとわかってきてからは、そちらを見直していくことになります。

ミネラルが結石になるまでには時間がかかる

例えば膀胱内に尿が長時間溜まっている状態になると結晶化する可能性が高まっていき、結石形成に影響していきます。

結晶化しても尿で体外に排出されれば結石形成されません。

水分補給でミネラルの結晶の体外への排出を促す

このため尿量を確認することは予防のひとつになり、尿の排出を促すことが尿路結石の予防となります。

猫の場合

猫の場合は水分補給量が少ないので、水を飲ませる工夫を行ってください。

犬の場合

犬の場合は散歩の時しかおしっこをしないという生活の場合は、尿量に関わらず尿が膀胱に留まっている時間が長くなり、結晶化する可能性が高くなっていきます。このため、家の中でもトイレを常設し、排尿回数を増やす習慣をつけられれば予防になります。

細菌性膀胱炎などで残尿があるケース

膀胱の病気で膀胱の排出能力が低下し、全ての尿を出し切ることができなくなると、これも尿路結石の要因のひとつになります。

膀胱炎による尿路結石はここ数年よく言われていて、細菌性膀胱炎の治療によって改善するケースが報告されています。

ストルバイト結石の一般的な原因

ストルバイト結石の原因は、尿がアルカリ性の時に形成され、主な要因は以下です。

  • 犬 ⇒ 細菌性膀胱炎
  • 猫 ⇒ 突発性膀胱炎

ストルバイト結石の治療法

病気の管理を行うことでストルバイト結石の治療、予防ができるようになります。反面、これらの治療ができなければストルバイト結石の改善が難しくなります。

また、療法食を食べることで尿が酸性に傾き、結石が溶解します。食事管理や治療を行うことでおおよそ2~4週間で溶解します。

シュウ酸カルシウムの一般的な原因

シュウ酸カルシウムの最大の難点は一度結石になると溶解しないということです。手術で取り出すしかありません。

シュウ酸カルシウムは酸性で形成されるため、尿の酸性化を抑える方向で対処していきます。

シュウ酸カルシウムの管理は食事療法ではないが、食事管理しかないのも事実

ただし、シュウ酸カルシウムは食事管理が予防に直結するという研究結果がなく、シュウ酸カルシウムの管理は食事療法ではないと考えられています。

ただそうなってくると対処法に乏しく、結局はできることが食事管理しかないというのが現状です。

食事管理としては尿の酸性化とミネラル摂取量を抑える方向で考えるため、たんぱく制限(尿の過剰な酸性化を抑える)、カルシウム制限、シュウ酸制限を行いつつ、クエン酸を摂取することになります。

酸性であるはずのクエン酸の謎

クエン酸自体は酸性です。尿が酸性でシュウ酸カルシウムが生成されるのでクエン酸は逆効果ではないかと思うかもしれません。

しかしクエン酸は尿中でシュウ酸やリン酸とカルシウムが結合することを抑制するため、カルシウム結石の生成を防ぎます。また、クエン酸は体内で代謝されると重炭酸イオンなどのアルカリ性物質が生成され、尿のアルカリに傾ける効果があると考えられます。

ただしクエン酸単体で尿をアルカリ化できるかというと、そこまでは期待できないと考えられますのでクエン酸を別途与えていればいいということでもありませんので注意が必要です。

人と犬猫では対処法が違う点に注意

人の場合はカルシウムの摂取量を増やすと、シュウ酸の腸管吸収を減らすとして管理方法のひとつとなっていますが、犬猫ではカルシウムも制限し、カルシウムの摂取量増は推奨されていません。

ドライフードは主に弱酸性

ドライフードなどの食品はアルカリ性だと細菌が繁殖するため、衛生面からも弱酸性で製造されます。アルカリ性のドライフードはほぼありません(完全にゼロではない)。

つまり何を食べていてもシュウ酸カルシウム結石が生成される可能性があるということです。

加えて猫の場合は、療法食ではない総合栄養食でも尿を酸性に傾ける機能を付けていたり、マグネシウムの制限が行われていることがあり、これからがシュウ酸カルシウムと関連しているのではないかも考えられています。

療法食は必要な時だけ正しく使いましょう

また、尿路結石用の療法食は多くがストルバイト用のフードとなっています。このため、ストルバイトになったからとストルバイト用の療法食を食べ続けることでもシュウ酸カルシウムを誘発する可能性がありますので、管理後でも心配だからと療法食を使い続けるようなことはせず、正しく使うことも重要です。

「尿路結石が食事によるもの」という考えは一度リセットしてください

尿路結石は食事だけで形成されるわけではなく、細菌性膀胱炎や突発性膀胱炎、生活環境によって形成されるため、ずっと言われてきた「尿路結石が食事によるもの」という考えは一度リセットする必要があります。

重要なことはストルバイトでもシュウ酸カルシウムでも十分な水分摂取と排尿です。尿を出し、体内に貯めないようにしましょう。

猫にはウェットフードも効果的です。ただウェットフードもミネラル分が豊富なものもあり、多く与えることで栄養バランスを壊すものもあります。

水分補給用のウェットもありますので、成分を確認して、適度に与えるようにしましょう。

猫の水分補給としてウェットフードを与える場合はナトリウムの過剰摂取に注意

猫におやつやウェットフードを併用する場合はリンの含有量に注意。腎臓を守るためにできること

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スギさん

新婚さんで妊娠中。子どもができたことをきっかけに家族の健康について考え、10歳を超えた愛犬愛猫の健康も考えるようになった。現在犬猫の食事について勉強中!

エノおじさん

10匹以上の猫を飼っているお酒が好きな元気なおじさん。大量のキャットフードを購入することもあり、安価でありながら安全なキャットフードを探している。
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