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食物アレルギーとは
食物アレルギーとは食べた食材に含まれるたんぱく質に反応して痒みや皮膚炎などの皮膚疾患、下痢、嘔吐などの消化器疾患などが生じることです。
痒みや皮膚炎などは夏場の暑い時期にも生じやすい症状ですが、食物アレルギーは食べものに起因するため、季節に関係しません。
残念ながら食物アレルギーの病態については完全には解明されていません。このため、原因となる食品を除去することで対応を行うことが基本です。
初発年齢は一歳未満が多い
一歳未満で発症することが多いため、家族として迎えてから割と初期の段階で判明することが多いといえます。
アレルギーの種類
犬猫の場合はⅠ型とⅣ型アレルギーが重要です。
Ⅰ型アレルギー(即時型)
アナフィラキシー型ともいわれます。
アレルゲンの接種により、IgE抗体が大量に作り出され、それとアレルゲンが反応することでマスト細胞から化学伝達物質が放出されて、アレルギー反応が起こります。
早ければ10分~15分でアレルギー反応が起こります。通常アレルギーというと多くはⅠ型を指します。
症状
食物アレルギー、アナフィラキシーショック、アトピー性皮膚炎、じんましん、気管支喘息、血管浮腫、アレルギー性鼻炎、花粉症、アスペルギルス症など。
花粉症やダニ、動物の毛、食物アレルギーなどがあります。
Ⅳ型アレルギー(遅延型)
抗体がTリンパ球に作用することでリンフォカインが放出されて、アレルギー反応が起こります。
数時間から数日後にアレルギー反応が起こります。血液中の抗体ではなく、T細胞などの免疫細胞に関係します。
症状
アトピー性皮膚炎、感染アレルギー、アレルギー性接触性皮膚炎など。
金属アレルギーや合わない化粧品を使用した際の接触性皮膚炎、移植拒絶反応などがあります。
食物アレルギー診断に必要な検査
除去食試験
除去食試験は思い当たる食物を除いた食事を継続し、アレルギー反応の有無を確認します。
- 今まで食べたことのある食物を明確にし、思い当たる食材が含まれていないフードを選択する
- 除去食は最低8週間(約2ヵ月)の継続を推奨
- 除去食の期間は除去食と水だけを与え、その他のものを与えてはならない
- おやつのみならず、牛革製のおもちゃや歯磨きガムなども与えてはならない
- 経過観察を行い、アレルギー症状が出ていないかを確認する
- 改善が見られなければ他の除去食を試す
- 繰り返しても改善されない場合はアレルギー以外の要素について検討する
除去食試験では除去食と水以外の食べるもの、口にするもの全てを長期間に渡って排除し、管理する必要があることから飼い主の管理が非常に重要となります。
食物負荷試験
食物負荷試験はアレルギーが確定していない、疑われている段階の食物を少量から食べてみて症状の有無を確認し、安全に食べられる量を調査する検査です。
- ひとつの食物を一週間程度食べさせ、症状が無ければもう一週間程度継続する
- 判断ができたら除去食の期間を設けた後に他の食物でも繰り返し、症状の有無を確認する
- ひとつずつ確認を行い、アレルギー症状が出たものをアレルゲンとして特定していく
- アレルゲンが1種類ではない可能性を考慮し、食事歴から他の食材も検証していく
まとめ
アレルギー初発年齢は一歳未満が多いという点がポイントです。成長段階でのアレルギーが出やすく、それ以降は出ないわけではありませんが、少なくなっていきます。
人のアレルギーでも子供の頃からアレルギー反応が出ている人が多いと思います。大人になってから出る人もいますが、その場合軽度でそれまでは気づいていなかったといったケースも含まれます。
よくアレルギー検査をしてみたら思いもよらないアレルギーだったということがあります。それらは通常の生活ではわからない程度の反応で、気づかなかった位なので通常生活では問題になることはほとんどありません。
犬猫でもこうした許容量もある場合がありますので、飼い主の予想だけで決めつけてしまわないように注意しましょう。