弊社のキャットフード、ドッグフードはベルギーとオランダで製造していますので、ヨーロッパのペットフード基準について紹介したいと思います。
日本との違いについても確認していきましょう。
EU統一の基準がある
飼料の基準を統一することでEU内であれば簡単に輸出ができるようになりました。
このためほとんどの基準、規則はEUの共通基準を参照する形になります。
使用可能な原材料はEUで統一されているといってよい
例えばオランダで使用可能な飼料原材料はカタログに掲載されており、そこに掲載されていない原材料はEU飼料原料登録簿に掲載されていれば使用することができます。
オランダは原材料の不合格通知リストも存在しており、ここに記載されている原料は使用することも、使用を希望して再申請することもできません。
添加物も同様に使用していい添加物はEU認可飼料添加物登録簿に記載されています。使用条件(上限下限など)なども記載されています。
リストに記載されていない原材料を使いたい場合
EUのリストにない新しい原材料を使いたい場合は、その原材料を最初にEU市場へ流通させる事業者が、安全性や法令適合について責任を負った上で、EU飼料原料登録簿へ通知、登録する仕組みがあります。
責任を負わなければいけないため、一般的なOEMでは、すでにカタログや登録簿に掲載され、使用実績のある原材料から選択することが一般的です。
このためオリジナル食材の使用には相応のリスクがあるため、OEMでは事実上不可能と言ってよいと思います。
また、その原材料が飼料添加物など別途認可が必要な区分に該当する場合には、それぞれのEU規則に基づく安全性評価や認可が必要になります。
リストに記載されていない添加物を使いたい場合
新しい添加物を使いたい場合はEUに対して認可申請をする必要があり、安全性評価も行う必要があります。
さらにEFSAが安全と判断し、EUが承認して初めてEU添加物レジスターに掲載されて使えるようになります。
原材料と比較しても審査がかなり厳しく、年単位の時間と費用がかかりますので、相応のリスク、コストがかかります。
動物由来の食材は人間の食用に適するものでなければならない
EU規則 (EC) No 1069/2009によって「と畜場での検査を通過し、人間が食べても安全(fit for human consumption)であると認められた動物から採取されたもの」と定められCategory 3として利用されます。
病死した動物や汚染された動物がNGなのはもちろんのこと、使用できる動物由来原料はEU規則によって区分されています。
つまり最初から人が食べられる動物から採取されたものと決められているので、動物用だから悪いものを使っているということにはなりません。
レバーや心臓、腎臓などの内臓、皮やその他の部位など、人が食べない、あるいは商業上人用に回されない部位であっても、安全性の基準を満たした動物に由来し、Category 3として使用が認められたものはペットフード原料として利用できます。
EUはペットフード工場にHACCPの導入が義務化
日本と大きく違う点は、EU内のペットフード工場はHACCPの導入がEUの飼料衛生規則によって義務となっていることです。
安全管理システムを構築、維持しなければならないため、相応のコストもかかります。定期的HACCPが適切に機能しているかを確認されるため、都度内部確認を行い、是正する必要があります。これによって維持されます。
また、さらに高い基準としてIFS認証やGMP+を取得している工場も多く、日本とは大きな開きがあります。
農薬使用量の厳しい基準
土壌中での半減期(DT50)が180日を超える農薬は「非常に残留性が高い」と評価され、承認審査でも厳しく扱われます。さらに生物蓄積性などの基準も満たす場合には、原則として承認されません。さらに、半減期が100日を超える農薬を使用する場合は、次作の作物に影響を与えないよう追加の試験が義務づけられています。
ヨーロッパ圏では問題が起こったから規制ではなく、安全性が疑わしいものは安全が証明されるまで規制という「疑わしいものは規制」という考え方で成り立っています。
また、農作物への残留農薬量が厳しく管理されていることから、自然と農薬量も制限されることになりますが、土壌の残留農薬も厳しく管理しないと農作物MRL違反(最大残留基準値違反)となってしまいます。
こうしたことも含めて、EUでは土壌モニタリングも行われるようになりました。
土壌モニタリング
EUは農薬使用量だけでなく、土地への残留農薬の基準も厳しく設定されています。
2025年12月16日から土壌モニタリング法が施行されたことにより、農地を含むEU域内のすべての土壌を対象として、健康状態を調査、監視、評価するための枠組みが設けられました。農薬やその代謝物も、土壌汚染の監視対象に含まれます。
2050年までに土壌汚染が人の健康や生態系に有害とならないレベルまで削減することが目標とされています。
つまり土地の健康診断が行われるということです。日本では考えられないのではないでしょうか。
国独自の基準もある
EUの基準以外で国独自の基準もありますが、これは食品に対してではなく、ラベルへの表示内容や表示する言語についてが主です。
またオランダの場合はオランダのNVWA(食品消費者製品安全庁)に登録しなければならないという決まりなどもあります。
まとめ
まずは土地の健康状態から始まり、農産物の農薬使用量制限があり、工場のHACCEPがあり、製品として完成します。
日本と比較すると製品になるまでの規制が多いことがわかると思います。
こうしてペットフードも安全性が担保されているのですが、多くの規制によってデメリットも生じています。
次の記事ではEUの厳しい規制によって生じているデメリットを紹介したいと思います。





