目次
添加物とは
添加物はそれぞれが目的を持って使用されています。
- 保存する
- 栄養バランスを整える
- 美味しくする
- 美しい見た目を保つ
- 食品を形作る
食品添加物と飼料添加物
添加物といった時、食品衛生法による食品添加物と飼料安全法による飼料添加物、そしてペットフードにおける添加物という見方があります。
食品添加物(食品衛生法)
添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの
引用:食品衛生法第4条第2項
食品添加物ではリストに収載されているものしか使用できないという、ポジティブリスト制が用いられています。新規添加物は科学的な根拠をもって指定添加物として登録される仕組みです。
飼料添加物(飼料安全法)
「飼料の品質の低下の防止」、「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」および「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」の用途に供することを目的として飼料に添加、混和、浸潤、その他の方法により用いられるもの
飼料添加物もポジティブリスト制が用いられています。
日本でのペットフード安全法における添加物
日本でのペットフード安全法における添加物はいくつかの添加物に対して基準規格が設定されているネガティブリスト制が採用されています。
基準規格が設定されていない添加物は食品添加物及び飼料添加物を参考に、法令や科学的知見に最新の注意を払い使用することが重要としています。
ペットフードに使われる添加物はまだ発展途上という印象を受けますね。
実際、ペットフード安全法ができたのは最近の話なので、科学的根拠をもってポジティブリストにするためには収載できる添加物が少ないことがあり、ネガティブリストが採用されたと専門の方の講義で伺いました。今後研究が進み、増えていけばポジティブリスト制になる可能性はあるかもしれません。
ペットフードに使用される主な添加物
添加物といえばBHAやBHT、エトキシキン、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物などを良く耳にするのではないかと思います。
このほかにもビタミンなど多くの添加物がありますが、どれも安全性の観点から科学的に評価され、使用方法や添加限度量が決められています。
以下に代表的な添加物を紹介します。
酸化防止剤
BHA、BHT、エトキシキン、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物
製品の酸化を防ぎます。BHA、BHT、エトキシキンは上限値(150mg/kg、ただしドッグフードは75mg/kg)が設定され、ミックストコフェロールなど天然由来の成分が好まれる傾向にあります。
栄養添加物
ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類
保存料
ソルビン酸
微生物の増殖を妨げます。製品が酸性だとより効果的でpH調整剤と併用すると効果が上がります。
pH調整剤
クエン酸、リンゴ酸
製品を酸性にすることで微生物の増殖を妨げます。酢漬けと同じ原理です。
保湿剤
グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール
ソフトドライやセミモイストなどによく使われる添加物で、水分活性を下げることで微生物の水分利用を妨げる効果があります。塩漬けや砂糖漬けと同じ原理です。
プロピレングリコールは犬用セミモイストで使われ、猫に使用すると赤血球中のハインツ小体の増加を招くことから猫用に使用してはならない。
乳化剤
グリセリン脂肪酸エステル
増粘安定剤
デンプン、カラギナン、グアーガム
ウェットフードのとろみやゼリー状にする目的でデンプンなどが使われます。
発色剤
亜硝酸ナトリウム
人用のハムやソーセージなど肉加工製品にはかなりの製品に使用されている亜硝酸ナトリウム。これがないと色が悪くとても美味しくは見えず、売り物にならないそうです。またボツリヌス菌の抑制にも効果があります。
ペットフードには100mg/kg以下と定められています。
膨張剤
焼ミョウバン
クッキーなどおやつ類ではふっくらとした食感を出すために焼ミョウバンなどが使われます。使用する添加物は形状などに合わせて選択されます。
着色料
カラメル色素、酸化鉄、二酸化チタン
この他にも赤色何号といった食品添加物リスト中の着色料も使用されます。
食品添加物の上限値の設定の仕方
食品添加物に上限を設ける場合、科学的な根拠に基づき、十分に安全と考えられる値を設定しています。
使用基準を定める場合は、まず、実験動物等を用いてある物質を何段階かの異なる投与量で毒性試験を行い、有害な影響が観察されなかった最大の投与量である無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)を求めます。NOAELを安全係数(動物における無毒性量に対してさらに安全性を考慮するために用いる係数)で割って、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への影響がないと推定される1日あたりの摂取量(一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake))が求められます。
このADIを基に、日本人の各食品の摂取量などを考慮した上で、使用対象食品や最大使用量などが決められます。従って、使用基準の上限量を使用したとしても、ADIを十分下回る量しか摂取しないようになっているのです。実際に使用される添加物の量は基準値より少ない場合が多く、その食品を食べ続けたとしても、安全性には問題はありません。
少しわかりにくいので、簡単に説明すると、実験動物等を用いて有害な影響がでなかった最大投与量NOAELに安全係数をかけた値が一日摂取許容量ADIとなります。この一日摂取許容量を十分に下回った量を最大摂取量とし、食べ続けても安全性に影響の出ない量としています。
添加物の最大摂取量はかなり余裕を持って大幅に少なめに設定しているんですね。
このように「すべての物質は毒であり、摂取量によって毒にも薬にもなる」という考え方から、決められた用量を守ることでBHAや没食子酸プロピルを使用しても害にはならないとしています。
まとめ
- ペットフードにおける添加物はネガティブリスト制
- 必ず食品添加物と飼料添加物を考慮する
- 日本と海外で考え方に違いがある部分もある
- すべての物質は毒である。摂取量によって毒にも薬にもなる
ペットフードにおける添加物のガイドラインが食品添加物、飼料添加物とはまた違うものとして存在していることに驚きました。海外では飼料添加物の一部として収載されている場合が多いようです。