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犬猫が不足しがちなアミノ酸
犬猫、特に猫は肉食ですのでたんぱく質であるアミノ酸はとても大切な栄養素です。
基本的に総合栄養食であるドライフードを食べていれば不足する栄養素はありません。
猫の場合、タウリンが必要ということがわかっていない時代には、キャットフードを与えていてもタウリン不足で心筋症や失明、繁殖能力の低下などを起こす猫が多発していたこともありました。
現在ではそのようなことはなく、飼育環境によっては20年以上生きる犬猫もあり、寿命は延びる一方です。
最強のアミノ酸バランスを持つ鶏卵
鶏卵は他のアミノ酸を含むたんぱく質に比べて圧倒的にバランスが優れています。犬猫が要求するアミノ酸要求バランスに近い値を持っています。
アミノ酸のバランスがどれだけ大切かをあらわす実験として、ニワトリの雛を育てる時に、穀物中心に魚粉を混ぜ、アミノ酸も補正した飼料は20%以上のたんぱく質が必要だったが、鶏卵抽出たんぱく質では14%で足りてしまったことが報告されています。
キャットフードやドッグフードでも多くの場合乾燥全卵が使われています。鶏卵は栄養素を考慮して外せない原材料のひとつです。
高タンパクだからいいわけではない
このように高タンパクであればいいというわけではなく、どれだけバランス良く、効率よく摂取できるかが重要です。
つまり猫にとってアミノ酸のバランスが優れているペットフードが本当の意味で優れているキャットフード、ドッグフードとも言えます。
サプリメントで欠乏症になる!?
サプリメントは足りない栄養素を追加するものとしての認識が一般的です。余分に摂取した栄養素は排出されると考えている人が多いように思います。
与えればいいというものではないんですか?
例えばたんぱく質の場合、構成するアミノ酸は「相互作用」が非常に重要です。
例えば片方を多く摂取するとそちらを過剰吸収し、もう一方が吸収されずに不足するということが起ります。
これが非常に難しいところで、例えばリジンが不足したからリジン単体で補うとします。この時リジンを与えすぎるとアルギニンが分解されてしまい、アルギニン欠乏症になります。
更に小腸にリジンが多くなるとリジン優先で吸収し、少量のアルギニンの吸収が阻害され、アルギニン欠乏症を起こしてしまいます。
摂取したことで他が欠乏してしまうんですね…
リービッヒの樽
他には「リービッヒの樽(ドベネックの桶)」と呼ばれている、バランスに対する考え方があります。樽(桶)は複数枚の板でぐるっと一周囲って水を溜められるようになっていますが、この板が1枚短いと、水はそこまでしか溜めることができません。
アミノ酸も一番足りていない栄養素に合わせてしか利用できず、残りは排出されてしまいます。
また過剰なアミノ酸次第ではリジンで解説したように同じことが起こり、他のアミノ酸の欠乏を起こす場合があります。
それなら全体的なアミノ酸の摂取量が減ったとしても、一番少ないアミノ酸の量が増えればもっと効率よく活用できるんですね。
手作りペットフードの場合は注意しましょう
手作りペットフードは気になる添加物などもなく、犬猫にとって最良のものを与えられる手段のひとつですが、必要栄養素量を保つという意味では非常に難しい手法です。
調理前の原材料の栄養素と調理後の栄養素も違っていますので、個人で栄養素を把握して与えるのは計算された管理が必要です。
飼い主が愛犬愛猫のことを考えて作られた手作りペットフードは大変素晴らしいものです。
その手作りペットフードで愛犬愛猫を苦しめてしまわないように、しっかりとした管理の下で行うようにしましょう。
まとめ
- サプリで逆に欠乏症になる場合がある
- アミノ酸は一番足りていないものに合わせてしか活用できない
- 鶏卵は最も優れたアミノ酸バランスを持つ
- 手作りの際には栄養について注意する
人間の場合、足りない栄養素をサプリで補給するという考え方は一般的になっていますが、猫の場合は必ずしもそうではないことがわかりました。
日頃から栄養の整った食事を与えることを意識して、万が一の時は獣医の診断や意見を聞いて活用するのがいいかもしれませんね!