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キャットフード・ドッグフードのリコールについて
先日友人とリコールの話になったので取り上げたいと思います。
リコールといえばなんといっても2007年のメラミン混入事件によるリコールです。海外で犬猫の死亡事故が発覚し、日本にも同じものが入っていましたが早い対応で被害を出さずに済みました。
こうしたリコールはペットフードだけではなく、電化製品や車、洋服、食品など販売されているものならなんでも起こる可能性があります。
こうしたリコールは防ぐことはできないのですか?
2007年のケースのように”原材料を詐称した”となると防ぐことは難しいと考えられます。どの面からみても、工場はそもそも信用できないメーカーから原材料を仕入れるメリットはありません。このためどこの工場であっても起こりえる問題といえます。
あとは確率の問題で片付けてはいいものではありませんが、メーカーや工場が努力をしても何かしらの不具合が起こりうる可能性はゼロにはなりません。
そこで日本でも海外でもリコールの必要があった場合には申請をして、早急に対応するということになっています。
リコールには回収、返金、交換の対応があります。
ペットフードのリコールは少ない
日本はペットフード安全法などの法律も最近できたばかりで、ペットフードに対する規制があいまいな部分があり、まだまだ未熟だと言われていますが、ペットフードでリコールが起こった例は少なく、問題が起こったことは更に少ないです。
例えば以下のようなサイトからリコール情報を探すことができます。
- Recall Plus リコール情報サイト「キャットフード」関連
- Recall Plus リコール情報サイト「ペット用品」
- 一般社団法人ペットフード協会「官公庁情報一覧」
- クロネコヤマトリコール.jp「ペット用品」
- 消費者庁リコール情報サイト「ペットフード」関連
これらを確認するとわかりますが、日本ではペットフードの中ではドッグフードのリコールが多く、キャットフードは少数です。
アメリカのFDAのリコール情報は以下から確認することができます。アメリカで販売されているメーカーで日本でも販売されている場合は同じものである可能性がありますので、こちらも参考になります。
リコールの原因をみてみましょう
パッケージなど人的要因によるもの
- 賞味期限誤表記
- ビニール状の包材混入の可能性
- 包材間違い
- 成分誤表示 アレルギーの恐れ
キャットフード・ドッグフード自体の成分などが原因によるもの
- 成分が規格不適合
- 異臭
- 高濃度のヒスタミンを含んだ原料の混入
- 社内基準に満たない可能性(海外販売のもので国内未販売。予防処置)
先ほど紹介したサイトで国内のリコールでは以上の原因が確認できました。
包装時の誤りと原材料の誤りが半々という結果ですね。
賞味期限誤表記
これは単純に印字時の入力ミスや、多くのメーカーやブランドの製品を製造している場合に、違う製品の賞味期限を印字してしまったなどの人為的ミスではないかと考えられます。
ビニール状の包材混入の可能性
これはパッケージ製造時点で袋内に混入した可能性が高いと考えられます。
包材間違い
これは同シリーズの違う味の包材を使ってしまったということなので人為的ミスであると考えられます。
成分誤表示 アレルギーの恐れ
「小麦・大豆などの食物アレルギーに配慮して、穀物不使用」と書かれているが、原材料の「野菜エキス」に大豆が含まれていたというケースで、製造工程上での原材料選択ミスと考えられます。
成分が規格不適合
原料メーカーが製造手違いによりミネラルの配合量に誤りがあったことが判明したため。
公開されている内容からだけでは詳細はわかりませんでしたが、これは原材料自体が誤っていたということになりますが、ペットフード製造時にチェックを行わなかったのかが疑問に残ります。
異臭
異臭がしたためという理由なので原因はわかりませんが、腐敗や細菌、原材料に問題があったと考えられます。
高濃度ヒスタミンを含んだ原料の混入
魚の血合いには一部のアミノ酸が多く含まれていて、これが細菌で分解されるとヒスタミンという物質になります。これは腐るとは違います。早めの段階で起こる場合があります。
社内基準に満たない可能性(海外販売のもので国内未販売。予防処置)
海外で起こったリコールに対し、日本では販売されていなかったものの、予防としてリコール周知を行ったケースです。
これらはペットフードだから起こったというよりも、製造業であればどんな業界でも起こりそうな理由ばかりですね。
そうですね。人用の食品や工業製品などどんなものでも起こる可能性のあるものですね。
厳密には人用とペット用では検査の厳重度が違うので、「ペットフードだけに起こる問題」は存在します。例えばメラミン混入事件やカビ毒などですね。
しかし現在の結果からだけみれば、ペットフードだから起こる原因は多くないというのが現状です。
リコールを起こしたペットフードメーカー製品は辞めた方がいいか
これはリコールを起こした理由によると思います。
成分、原材料が問題の場合
重金属など成分に問題があった場合はキャットフードやドッグフード自体の製造工程に問題があったことを示しています。
更に同じ工場で作られている他のメーカー製品でも同じことが起こった場合、その工場自体に問題があることがわかります。こうした場合にはメーカーというよりも同じ工場で製造したものはしばらくは様子見がいいかもしれません。
同時多発的に起こっていないかを確認するのが大切ですね。
異臭の場合は問題が工場にあるのか、輸送方法にあるのか、保存方法にあるのかを見極める必要がありますのでより複雑になってきます。
パッケージなど包材の問題の場合
パッケージ自体に関する場合ですが、パッケージ会社も大量にあるわけではないので近しい地区(国)であれば同じ工場で作られていることが多いです。ロニーキャットフードの袋を製造している会社も、多くの他社製ペットフードの袋を製造しています。
包装資材の場合は封がしっかりされていなかったなどの機械的な問題もありますが、賞味期限の誤表記などの人為的ミスもありますので、製造方法が悪かったというよりも、どうしても起こってしまうエラーのひとつで、不良品に当たってしまうのは確率の問題とも言えます。
ひとつの袋で起こった場合、同時多発的に他のメーカーでも起こっていないかを確認すると良さそうですね。
いずれにしても過去にリコールがあったかどうかは調べておいても悪いことはないと思います。
リコールの例:Sainsbury’s、Applaws、AVA(英国)
2021年8月のニュースでは以下の製品がリコールとなりました。
英国国内で300匹以上の猫が汎血球減少症で亡くなったとされ、8月16日時点では555件の症例が確認されています。死亡率は63%。
汎血球減少症では白血球、赤血球、血小板の減少が起こります。
汎血球減少症の原因がキャットフードにあるかは正式には特定できていませんが、英国食品基準局は以下の商品を調査した結果、リコールされた商品の一部からマイコトキシンが検出されたことがわかっています。
ただしマイコトキシンはカビの一種で有毒であるが、飼料や食品にも広く含まれているので、これ自体が汎血球減少症の原因となることは示していないとしています。
以下の商品はFold Hill Foods社で製造していたと思われ、Fold Hill Foods社では6月に予防処置として一部自主回収を行っています。
Applaws、AVAはPets at Home社の商品であり、私自身もPets at Homeで商品を確認しています。
真ん中左がApplaws製品。
右端がAVA製品。
Applaws
- Applaws Cat Dry Chicken
- Applaws Cat Dry Chicken & Salmon
- Applaws Kitten Dry Chicken
- Applaws Cat Dry Chicken & Lamb
- Applaws Cat Dry Ocean Fish
- Applaws Cat Dry Senior Chicken
- Applaws Cat Dry Chicken & Duck
AVA
- AVA Adult Mature Chicken 7+
- AVA Senior Chicken 12+
- AVA Sensitive Skin & Stomach
- AVA Weight Management
- AVA Hairball
- AVA Oral Care
- AVA British Shorthair
- AVA Persian
- AVA Maine Coon
- AVA Kitten Chicken
- AVA Adult Chicken
- AVA Adult Fish
Sainsbury’s
- by Sainsbury’s Hypoallergenic Recipe complete dry cat food with Salmon 1+ Years
- by Sainsbury’s Hypoallergenic Recipe complete dry cat food with Chicken 1+ Years
参考:Fold Hill Foods recall several cat food products because of safety concerns by Food Standards Agency
まとめ
- 公開されているリコール情報をチェックしておく
- 日本では問題が起こった場合、起こりそうな場合には早急にリコールを行うこととなっている
- 過去のリコール情報は調べておくといい
日本で行われたリコールは調べることができるので、気になったキャットフード・ドッグフードがあった場合には事前に調べておくといいかもしれません。