猫が牛乳で下痢になる理由「乳糖不耐症」について。ヨーグルトやチーズは?

昔は猫にお味噌汁ご飯と牛乳を与えている時代もありましたが、今は牛乳は駄目と言われています。その理由について解説してもらいました。
昔はミルク(牛乳)を猫に与えていた時代もありましたが、現在では牛乳はどちらかといえば与えてはいけないものとされています。少しなら大丈夫なのですが、多く与えると下痢を起こしてしまいます。
下痢になる理由は、猫は牛乳中に含まれる乳糖を分解する酵素のラクターゼが少ないから。このラクターゼが少ないことが乳糖不耐症です。
人間も牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまう人も同じ原理です。
乳糖を分解できないとなぜ下痢になるのかを説明したいと思います。
ラクターゼが少ないことで乳糖が分解できないと、分解できなかった乳糖が消化管に残ってしまいます。乳糖は糖分なので水を引きつけます。消化管内に乳糖が多く残ると、乳糖が体の中から消化管内へと水分を引っ張り出してしまい、下痢が起こります。
乳糖不耐症による下痢で水分不足になるのは、このように体内から水分が引っ張り出されて体外に排出してしまっているからです。
これを浸透圧性下痢といいます。
牛乳には猫乳の2~3倍の乳糖が含まれています。これが乳糖不耐症による浸透圧性下痢を引き起こす理由です。
猫乳には乳糖が少ない分、たんぱく質、脂質が多く含まれています。このため猫乳を牛乳で代用しようとすると下痢を引き起こすばかりでなく、低栄養で成長不良になる可能性があります。
乳糖不耐症による下痢を浸透圧性下痢といいますが、食あたりや食物アレルギーの場合は分泌性下痢、ストレスや暴飲暴食、冷えの場合は運動亢進性下痢といい、下痢のメカニズムが違っています。
乳糖不耐症が原因による下痢はこの浸透圧性下痢にあたりますが、この他にも砂糖の取り過ぎやサプリメントなどでも起こります。
食あたりや水あたり、食物アレルギーの場合は、体内(消化管内など)に細菌などによる炎症が起こります。これを修復しようと分泌液が大量に出ることで下痢を引き起こします。
ストレスや暴飲暴食、冷えの場合は、それらを理由に腸管の運動が高まり、動きが活発になることで便の通過が早く、便から水分を十分に消化吸収できないことで下痢を引き起こします。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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