猫の食物アレルギーについて。アレルギーの原因、対処法を解説

猫の食物アレルギーについて詳しく教えてもらいました。綺麗な環境にいることでアレルギーが起こってしまうなど、思わぬ話も教えてくれます。
アレルギーで皮膚炎が出ている場合でも、その原因はひとつではなく、食物以外にもノミアレルギーやハウスダスト、寄生虫などがあります。この中で食物アレルギーの発生率は猫のうち1~6%とも言われ、それほど高くありません。
そして人間は様々な環境や、他の猫と関わることで細菌に触れるケースが増え、抗体ができていきます。反対に綺麗すぎる環境で一匹で育てられた猫はアレルギーになる可能性が高いと考えられています。これを衛生仮説と呼んでいますが、猫にも当てはまる可能性がありそうです。
私は獣医ではありませんので、ここでは食物のアレルギーについて、獣医に教えてもらったことも交えつつお話していきたいと思います。
アレルギーの原因は食物の「たんぱく質」です。アレルギーの原因をアレルゲンといいます。
まず猫の食物のアレルギーの原因で最も多いものは「肉」です。牛肉、魚肉、鶏肉、ラム肉などキャットフードのメインの原材料に使われる肉が最も多いアレルゲンとなっているということです。
このほかには乳製品、卵、小麦、大麦、コーングルテン、豚肉、羊肉などもアレルゲンとして報告されています。
そして穀物アレルギーに含まれる米ですが、米はアレルゲンにならないわけではありませんが確率は低いため、アレルギーの療法食としても使われます。アレルギー療法食ではよりアレルゲンになりにくくするため、たんぱく質は加水分解したものを使用していることが多いですね。下の記事でも紹介していますので読んでみてください。
まずアレルギー症状が出た場合には、原因の特定をするために獣医の診断を受けましょう。原因が食物アレルギー以外の場合は病気が関係している場合があるからです。
自己判断はしないように注意が必要です。
たんぱく質がアレルギーを引き起こしているため、現在与えているキャットフードから、たんぱく質が含まれる原材料を特定します。
肉原料全般と穀類を確認します。穀類は炭水化物源ですが、たんぱく質が一定量含まれています。
上記のような原材料のキャットフードがあった場合には赤字のたんぱく質と、青色の炭水化物について注意する必要があります。
※ただしその他のものにタンパク質、アレルゲンが含まれていないと言うわけではありませんので、それが原因の場合もあります。
上記のケースではまずチキンを使用していないキャットフードを探します。サーモンやシカ、ウサギなどがありますので探してみてください。この時ターキーとダックはチキンと分子構造が似ていて交差反応を起こす可能性がありますので、避けた方がいいかもしれません。
サツマイモ、ジャガイモの代わりはエンドウやひよこ豆などの豆類があります。
チキン、ターキーは構造が似ていてひとつでアレルギーが出るとその他でもアレルギーが出る場合があります。これを交差反応といいます。
以下に一例を紹介しておきますので、簡単に覚えておくといいでしょう。
メイン食材 | 交差性のある食材 |
---|---|
鶏肉 | 七面鳥、鶏卵、ウズラ |
牛肉 | 鹿、羊、豚、ウサギ、牛乳、山羊乳乳、乳製品 |
魚 | 魚全般、(鶏肉も?) |
小麦 | 大麦、ライ麦、オート麦 |
キャットフードを変更して症状が治まっても、偶然や他の症状が原因である可能性は捨てきれません。このため、必ず食事を戻して再発するかをチェックする必要があります。
これをしていかないと、間違った判断で猫が食べられるはずのものをはじいてしまうことになります。
これによって猫の食の豊かさ、幸せは減ってしまいます。
猫の場合、人間のように食べてすぐ痒くなったり蕁麻疹が出るといったことは少なく、もしくはわからず、数日間食べる続けることで症状が出てくることが多いようです。
これも判断しにくい要因のひとつになっていて、昨日やめたから今日治ったというわけには行かず、獣医と一緒に観察していく必要があります。
原材料選びやレシピ作りというものは非常に難しいもので、上記のような理由から原理的には「豊富な原材料にすればするほどアレルギーの可能性を秘める」ということになります。
これは原材料が悪いということではありません。
10種類の原材料のキャットフードと30種類の原材料のキャットフードなら、30種類の原材料を使用している方が摂取している種類が3倍も多いわけですから、あくまで原理的には可能性は高まってしまいますね。
また、例えば非常に軽度な鶏肉アレルギーだった場合、普段食べている鶏肉が20%程度のキャットフードから、50%を超えるようなものに変更した場合もアレルギーが出る可能性というのはアップします。
これは、例えば良かれと思って鶏肉を増やしたらアレルギーが発症して鶏肉アレルギーだったことに気付いた(もしくはそれをきっかけに発症した)という問題です。
例えば上記で例題に出した原材料でもアルファルファ、クランベリー、りんご、にんじん、ほうれん草、セイヨウハッカなどタンパク質を含んでいます。
豊富な食材を取ることが健康にいいと考えていますが、アレルギーは個々に違うものですので、100%の猫に大丈夫というキャットフードは難しいと思います。
ただしタンパク質が入っているから必ずアレルギーになるというのでもなく、人の場合は症状が多いもの、重篤なものとして以下のようなものがあるように、
特定原材料 | 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに |
特定原材料に準ずるもの | オレンジ、りんご、キウイフルーツ、バナナ、もも、くるみ、大豆、まつたけ、やまいも、牛肉、鶏肉、豚肉、あわび、いか、いくら、さけ、さば、ゼラチン、ごま、カシューナッツ |
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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