安全なキャットフードの見分け方「5つのポイント」!安い国産の安全性も解説

キャットフードを安心して購入できるようにするために、マッサンにどんな箇所が安全性に関係するのかを教えてもらいました!
キャットフードの安全性の見分け方について解説してもらいました!キャットフードの安全性は大きく分けて以下の4つの項目から判断するとわかりやすいようです。
安くていいキャットフードを探されている場合は「多頭飼いで安い中でもいいキャットフードを選びたい場合!マッサンが安いキャットフードを紹介します」の記事も参考になるかと思います。
まずは原材料から解説したいと思います。一番安全性が高いのはオーガニックで作られた農産物です。
その次に人間が食べることができる位の品質の良い原材料です。
ただ実際には「人間が食べることができる」ものですが「人間用として販売されているものではありません」。海外の表記ではこの点に厳しく、ヒューマングレードというと人が食べるための基準をクリアしているものと考えられ、ヒューマングレードという表記は良しとされていません。
次に安価なキャットフードに使われている家禽ミールなど、人間は食べられない肉副産物などを含む原材料と続きます。
この他にはBHT、BHA、エトキシキン、没食子酸プロピルなど、発ガン性、変異原性、催奇形性が認められていたり、疑われている成分の使用も判断材料のひとつです。
変異原性とは染色体など遺伝子情報に変化を起こす可能性です。催奇形性とは奇形の原因となる可能性です。
参考記事:キャットフードの酸化防止剤、添加物について。発がん性などについては必ず摂取量について考えよう
ただし上記の記事の通り、BHAは犬猫のように前胃がない動物には発がん性の兆候は見られないとされています。
この他着色料には赤色102号や赤色106号、黄色5号、青色1号にはアレルギーや染色体異常、喘息などを招く可能性があり、赤色106号に至っては日本以外の国では使用が禁止されています。
調味料など使う必要のないものは避けてもいいでしょう。
今現在私が確認したペットフード工場で危険性を感じた工場はありませんが、2007年には日本のペットフード安全法を施行するきっかけになった「ペットフード大量リコール事件」がありました。これは北米最大のペットフードOEMメーカーが、中国の詐称された原材料を使用したことで大量の犬猫死亡事故を引き起こした事件です。
その詐称に使用したのはプラスチックのお皿などを製造する時に使う原材料のメラミンです。
これ以降自社工場を建設して製造をしたり、管理体制を見直すなど各社で対応を行い、日本では国としてペットフード安全法を施行するに至りました。また中国の原材料は使用していないと明確に表示しているメーカーも多くあります。
こうして欧州やアメリカではSAIグローバルランクなどの国際規格を満たし、管理体制を第三者からも認められている工場が増えましたが、全ての工場が国際規格を満たしている訳ではありません。
日本の通販で流行っている健康食品や美容機器と比べても、ペットフードは大きさに対して価格が安いので輸送コストがかかり、輸入販売には向いていない商材とも言えます。原材料によっては動物検疫も必要になりますし、非常に手間がかかります。
こうしてペットフードをまとめて輸入するためには非常に大きな荷物となるため、大量に運べて輸送費の安い船便が一般的です。
船便で運ぶ場合にはコンテナを使用するのですが、混載便と一本まるごとの輸送の二種類があります。そしてコンテナはドライコンテナとリーファーコンテナの二種類があります。
ペットフードの基本は除湿対策を行ったドライコンテナ一本です。小ロットのメーカーでは混載便を利用する場合があります。
リーファーコンテナはペットフードの価格に対して輸送費がかなり高くなることもあり、余り使用されません。
混載便とは、輸送量がコンテナ1本に満たない場合、他の人の荷物と一緒に1本のコンテナに混載する輸送です。コンテナ内の荷物は下ろす港もバラバラである場合が多いので、港に着く度に船から下ろされ、荷物の出し入れを行い、再度船に積み込まれます。場合によっては港で炎天下にさらされることになります。
また積み卸しがしやすいようにコンテナ船の上部に積まれることが多く、輸送時の温度変化が大きい可能性が高くなります。
こうして開け閉めや積載場所によって温度の上昇下降が激しくなると結露が起こり、最悪の場合はコンテナ内の湿度が非常に高くなります。
コンテナ一本まるごとの場合は工場でペットフードを積込み、コンテナに封をします。この時点から日本輸入時に検疫を行うまでは開けることがありません。検疫は一部を確認するのみなので、厳密には日本の倉庫に到着するまで開けないと言ってもいい位です。
一本まるごとで開けることがないので、防湿剤で湿度対策を行い、エアバッグで荷物同士を保護し、航路が長い場合にはGPS付き温度計を入れておくことで温度変化の管理、チェックを行います。
ヨーロッパから日本への輸送では下ろすのも最後の方なので、温度変化の少ない船の下の方に積まれやすくなります。ただしシンガポールなど寄港した港の積み替えでコンテナの場所は移動します。
通常のコンテナです。動力は持たないので温度管理などは行わず、常温で運ぶコンテナです。例えば産業物資や雑貨、電子機器、ワインなど多くの貨物がドライコンテナで運ばれています。ペットフードも一般的にはドライコンテナで運ばれています。
混載便はドライコンテナが一般的です。
温度管理ができるコンテナです。冷蔵や一定温度を保って運ぶ物資に使用します。価格は輸送量にもよりますが20フィート一本なら倍近い価格になることもあります。出荷できる港も限られ、混載はできないと言ってもいいので、基本一本で借りることになります。
日本の倉庫にも様々な形態があります。温度管理がされた倉庫もあれば、エアコンなどはかかっているものの出入りも多く密閉されていない倉庫、雨風にはさらされないながらも外のような環境の倉庫もあります。
ペットフードは食べ物なので冷蔵などをする必要はありませんが、一定の温度幅が保たれている倉庫である必要があります。
また、倉庫は土地代が大きく関係するため、立地によって価格が大きく変わります。このため都心部は高く、地方が安くなります。例えば都心のメーカーの場合は地方に倉庫を持った方が安いですが、都心の方が管理しやすいというメリットデメリットが生まれます。
海外ではパッケージに針で穴を開けたような空気穴が空いているものが少なくありません。これは積載された時や温度変化、気圧によって破裂しないようにするためです。基本的にパッケージは潰す方向にしか力が働かないため、空気は出て行くだけで入ることはほとんどないという考え方で空気穴が採用されています。
最近は針で穴を開けただけではなく、逆止弁の付いた専用のプラスチックのホールを付けているメーカーも見られます。
例えば欧州から輸入されるキャットフードの場合は、海上輸送時に赤道を二回通過しますし、日本が湿気の多い国なので、空気穴の空いているパッケージは適しているとはいえません。
パッケージする時に極力空気を抜いて密閉された製品を選ぶことをおすすめします。
よく頂く質問に安いキャットフードでいいものはないかというご質問があります。「多頭飼いで安い中でもいいキャットフードを選びたい場合!マッサンが安いキャットフードを紹介します」この記事でも紹介していますが、上記の5つの観点から市販の安いキャットフードの安全性について、上記の5つの観点から考えていきましょう。
まずは原材料ですが、安価なキャットフードの場合、家禽ミール、ミートミール、穀物の使用があるキャットフードがほとんどです。原材料は価格にダイレクトに反映される部分なのでどうしても避けられない点です。
また、合成保存料や着色料などが使われているものも多くなります。これらは見た目に華やかに、それでいて腐らず長持ちし、腐ったフードを食べさせて猫が体調を悪くするなどのリスクを減らすために使われます。「猫の具合が悪くなる」というのはメーカーにとって信頼的にも金銭的にも大きなリスクになるからです。
また、中国産の原材料の問題があります。高価格帯のキャットフードでは中国産を避ける傾向にありますが、中国産は安価な点を利用して安価なキャットフードを製造しているメーカーもあります。だからといって安全ではないというわけではありませんが、気にしておきたい点のひとつです。
国産の場合はインスタント食品で最近虫の混入などが問題になったケースもありましたが、それでも他の国に比べると工場に衛生的な問題があるということは余り考えられません。
しかしアジア諸国の工場の場合には環境にはばらつきがあります。決して衛生的に問題がない工場ばかりではないということは知っておきましょう。
並行輸入品でない限りはこの点においては大きな差はないと考えています。ペットフードは一般的にドライコンテナで輸送し、大型の倉庫に搬入、出庫されます。
倉庫の違いで重要な点は、気温の差はないか、虫などが混入する環境ではないかなどがありますが、野ざらし状態の倉庫でない限りは、倉庫環境は私が見た限りでは平均しているように思いました。
パッケージの場合はメーカーの考え方も反映されるので、高価格帯でも空気穴を開けているパッケージもありますし、非常に薄い素材を使っていることもあります。反面、安価なキャットフードであっても国内製造のパッケージは非常に高品質です。
このように安価なキャットフードで最も考えるべき点は原材料と製造工程についてですが、国産であれば工場の問題はほぼクリアされるでしょう。輸送の問題も最小限になります。原材料についてだけ考えていけばいいのではないかと思います。
ただ国産であっても原材料のほとんどは輸入に頼っている状態なので、各原材料の輸入・輸送があることは覚えておきましょう。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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