原材料として悪いと言われてしまうビートパルプ。でも実は高機能で優れた食材だった!?

どのサイトを見ても悪く言われている原材料のビートパルプ。でも実際には高機能な材料だって知っていましたか?更に高機能なビートファイバーも合わせてマッサンに詳しく教えてもらいましょう!
ビートパルプはそもそも砂糖大根から砂糖を抽出したあとのガラです。副産物ともいいますね。この副産物という言い方で悪いものと感じる人も多いのかもしれません。しかしビートパルプには可消化エネルギーがちょうどいい塩梅で含まれている貴重な原材料でもあります。
因みに、時折”副産物はタダ同然”だという記述が見られたりしますがとんでもないことです。
参考記事:
その名の通り、消化することができるエネルギーで、全エネルギーの中から糞へ排出される分をのぞいたエネルギーのことです。それではまず食物繊維というものを勉強してみましょう。
ペクチン、グアガム、大豆繊維、ビートパルプ、大豆の殻、セルロースと食物繊維が並んでいるとしましょう。主にペクチン側が発酵が早いもので海草などに多く、微生物が使うことができるもの。セルロース側が発酵が遅いもので、微生物すらも使うことのできないものです。
厳密にはビートパルプはセルロースもペクチンも含まれたもので、ちょうど真ん中の効果があるといった感じです。
11年の研究の結果見つけたのはアイムスの研究員で、ビートパルプを初めて入れたレシピを作ったのはアイムスの創始者ポールFアイムス氏、また同社の研究者と言われています。少なくとも当初からビートパルプを配合したレシピを製造していました。
この時1960年代なのでどこまでビートパルプの有用性がわかっていたかはわかりませんが、効果的な原材料と考えてペットフードに使用したのではないでしょうか。
つまりビートパルプは食物繊維の機能を持ちながらも負担は最小限に、エネルギーとしても使うことのできる食物繊維として使われています。
食物繊維はペクチンやセルロース、ビートパルプなどその種類によって、体内を掃除したり、微生物によって腸の粘膜にエネルギーを供給するという仕事を持っています。またそれら微生物の餌や隠れ家にもなります。
毛の排出などで食物繊維が必要な猫もいます。このように食物繊維はむやみにいらないというものではなく、症状や状態に合わせて選べばいいものです。
長毛種であれば慢性的に胃の中に毛が存在しますし、そうなれば少量の食物繊維を常にとっていた方が調子のいい猫もいます。
実際に毛玉ケアをしようと考えた場合、整腸作用のある食物繊維を使わないことには効果を得られません。また、慢性的な下痢に悩む猫にも効果的な場合があります。
しかし単にセルロースだけを過剰に入れたのでは猫の内臓に負担を与えてしまいます。逆にペクチンでは効果が薄いものとなってしまいますね。
お伝えしたようになりましたが、マイナスに捉えられる面もあります。
例えば食物繊維は他にもあるので、繊維の豊富なサツマイモやじゃがいもを入れることで、ビートパルプを使わないレシピにすることもできます。このようにビートパルプを使用しなくても作ることは可能です。
ただし、第一原料の次にじゃがいもやさつまいもを入れたとしても繊維量を多くは稼げません。それでいてコストもあがります。しかも不溶性食物繊維、可溶性食物繊維のバランスをとるという面では不十分な部分もあります。
また、ビートパルプは甜菜から砂糖を抽出したガラなので、糖分(上白糖)が残っています。この残った糖分が体に悪いと気にされる方もいますし、ビートパルプから砂糖を抽出する際に圧力で抽出ではなく、薬剤を使う場合があると言われており、この薬剤が残っていて悪影響を及ぼすという考えもあります。
ただ、甜菜から砂糖を作り出した1800年頃には甜菜から取り出した液汁を硫酸で精製し、木灰や石炭などで中和させて作る方法であったこと(参考:甜菜糖業の始まり 農畜産業振興会)や、上白糖を作る際に、硫酸を用いて精製することで白くするといった文献は見られますが、実際に硫酸で糖分を抽出するというものは見られませんでしたので、これが誤って伝わったのかな?とも考えられます。
そして同じビートパルプでも、国産とアメリカ産、中国産では栄養素が全く違うという実験結果も日本甜菜製糖株式会社により公表されています。この事実はほとんど知られていないのではないでしょうか。
なんでも高ければいいものが作れるのは当たり前なのですが、できる限りコストを減らして安くいいものを作るためにも必要な原材料とも言えますね。
そして他栄養素に影響を余り与えずに食物繊維量を調節できる原材料でもあります。
インターネットの情報は事実とは違ったものもあります。しかし手軽に得られる情報であることもあり、時に間違った情報が正しい情報よりも前に出てきていることがありますので注意しましょう。
最後に少しビートファイバーのお話をしましょう。
ビートパルプとビートファイバーは甜菜からとった食物繊維という意味では同じですが、絞ったガラがビートパルプ、薬品を使わずに精製、乾燥したものがビートファイバーです。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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