キャットフードのカロリー総集編!猫への与え方から計算式、矛盾まで全てがわかります!

今回はかなりの長編ですが、キャットフードのカロリーについてマッサンにまとめて教えてもらいました!意外な事実がたくさん出てきて驚く内容になっています。
しかし市販品のキャットフードを見れば、この計算式で導き出された摂取カロリーとズレがあるのがわかります。
キャットフード名 | パッケージのカロリー表示(100g) | 3kgの猫への給与量 | 1日の摂取カロリー(代謝エネルギーから計算) |
---|---|---|---|
ピュリナ ワン 避妊・去勢した猫(11歳未満) | 330kcal | 約62g | 204.6kcal |
サイエンスダイエット インドアキャット アダルト チキン | 416kcal | 45g | 187.2kcal |
Grain Free (マッサン私物のイギリスのフード) | 368kcal | 50g | 184kcal |
ニュートロ ナチュラルチョイス 穀物フリー サーモン | 380kcal | 45g | 171kcal |
カナガン | 390kcal | 40g | 156kcal |
インターネット上で見られる計算式 | 3kgの猫の場合の1日の摂取カロリーの目安 |
---|---|
体重×80kcal | 240kcal |
安静時エネルギー要求量(PER)とは1日当たりの平均エネルギー要求量です。
キャットフードの総エネルギーから吸収されずに糞として排出されたエネルギーを差し引いたものが可消化エネルギーといいます。
さらに吸収されても使われずに尿に排出されたエネルギーを可消化エネルギーから差し引いたものを代謝可能エネルギーといいます。
キャットフードに書かれているカロリーはこの代謝可能エネルギーの場合があります。
代謝エネルギーを動物が実際に利用できるエネルギーの基準と考えられています。
さらに消化、吸収、利用時に熱として使われたエネルギーを代謝可能エネルギーから差し引いたものが正味エネルギーといいます。
この正味エネルギーが安静時エネルギー要求量を満たしている必要があります。
意外と知られていませんが、PERを求める計算式は統一されていません。どの計算式を採用するかですが、給与量は同じ環境でもケージの広さなどの飼育環境、運動量などで相当な差が生まれるとされ、どの計算式を使用しても「正確性の意味からは大差ない」とされています。
つまり給与量はあくまで目安でしかなく、50kcal程度であれば誤差として捉えられているといえ、特に幼い子猫の時は飼い主が観察することで太り過ぎていないか、また成長が妨げられていないかを確認しながら与えることが大切です。
成熟猫の安静時エネルギー要求量(PER)
成熟猫の安静時エネルギー要求量(PER)
成熟猫の安静時エネルギー要求量(PER)
PERの場合は成猫の場合、肥満傾向の場合、妊娠中の場合、高齢の場合といったライフステージが関係ない計算式となっています。
このためライフステージに合わせた計算式としての目安が設定されています。
上記計算式から去勢・避妊済みの成猫の場合のDER値は3kgの猫の場合192~252kcalです。
1日のフード量は「DER÷フード1g当たりのカロリー」で表します。
この計算式ではロニーキャットフードでは計算式では「46~61(g)」ですが表示給与量は44~51gとなっています。
私の私物の他社製グレインフリーキャットフードでも9gほど少ない計算です。
このように計算式とキャットフードの摂取量にはズレが見られます。
穀物の炭水化物によるカロリーが多い場合、猫が消化できず十分な栄養を吸収できないため、消化吸収率は低くなります。反対に肉類が豊富な場合は消化吸収率が高くなります。
さらに猫はタンパク質をエネルギー源として使うことができるので、高たんぱく質なものはエネルギー効率も高くなります。
こうしたことを考え、各社のカロリー設定がなされています。
最初に紹介した表でもわかるように、パッケージの表示で100g当たりのカロリーが高く見えても、給与量設定がされていますので一概にカロリーが高いというわけではありません。反対に1日の摂取カロリーだけみると一見カロリーが高く見えるカナガンなどは非常にヘルシーであることがわかります。
キャットフード名 | パッケージのカロリー表示(100g) | 3kgの猫への給与量 | 1日の摂取カロリー(代謝エネルギーから計算) |
---|---|---|---|
ピュリナ ワン 避妊・去勢した猫(11歳未満) | 330kcal | 約62g | 204.6kcal |
サイエンスダイエット インドアキャット アダルト チキン | 416kcal | 45g | 187.2kcal |
Grain Free (マッサン私物のイギリスのフード) | 368kcal | 50g | 184kcal |
ニュートロ ナチュラルチョイス 穀物フリー サーモン | 380kcal | 45g | 171kcal |
カナガン | 390kcal | 40g | 156kcal |
そうですね。そのキャットフードが高カロリーかどうかは判断できないというのが正しいかもしれません。
よく高カロリーのキャットフードが日本の猫には高カロリーだと言われているのは、「実際に給与量を守れている家庭は少なく、食べさせ過ぎてしまう上に運動不足」という懸念があるので、細かい説明はせずに省略して解説している場合は多いかもしれません。私も1から全て説明するのは時間がかかるので、端的にそう説明することがあります。
今まで話していたことを全てひっくり返すようなタイトルですが、ペットフード協会によれば「ペットが必要なエネルギー量は体重ではなく体表面積に比例する」ということです。
基本的には体重が重いだけ体表面積は広いと予想できますし、太っていればその分体表面積も増え、エネルギーも追加で必要であると考えられますのでその通りと思います。
体重は軽いけど体表面積が広い個体はいなそうですが、体表面積は狭いけど重い猫はいそうですので、その場合は必要エネルギーは少なくて良いのかなど細部に関しては私はまだ把握できていません。
話を聞いたり文献を調べたりした結果、これ以上の答えは出ていないようです。
これらに関する正しい答えがどれなのかは各社、各協会が研究しています。
大きさも違い、生活環境も違い、食べるものも違う動物の必要なカロリーは簡単な計算式で出せるものではないということだと思います。
しかしこれだけ不確定なものでも、猫が栄養失調になったり、肥満にならず、長生きしているという結果が十分な研究結果のひとつとも言えそうです。
正直なところ、私の考えではカロリー計算はペットフード会社に任せ、飼い主としては健康な猫が太らないように普段から観察していれば問題ないと思います。
これはまずPERの求め方が各社で違い、幅があること。そして給与量を完璧に守って与えるケースは少ないこと。完全自由摂取方式で与えている家庭が多いことの3つの理由からです。
かなりシビアに追求される方もいますが、余り考えすぎると与えるものがなくなり、いつまでも変え続けて決まらない傾向が見られます。
私個人的には消化吸収率もありますが、1日180~210kcal位が丁度よさそうな気はしています。
スギさん
エノおじさん