ペットフードに使われるエトキシキンとは?毒性は?人の基準値は1ppm、犬は75ppm、猫は150ppm

酸化防止剤、農薬として使われているエトキシキン。日本では飼料添加物として登録され、飼料やペットフードに使用可能となっています。そんなエトキシキンについて解説してもらいました!
魚粉を船で輸送する際に、乾燥した魚粉が自然発火することを防ぐために、エトキシキンを使用することが国際規則で定められています。これら魚粉は飼料やペットフードに使われています。
また、リンゴや梨の焼け防止、殺菌などにも使われています。
しかし日本では食品添加物、農薬としての登録は受けていません。国内では飼料添加物の抗酸化剤として指定されています。
エトキシキンはイヌを用いた2世代生殖毒性試験実験が行われ、最少毒性量は2.5mg/kg体重/日とし、これに安全係数300を適用したことでADIは0.0083mg/kg体重/日とされています。この他にもマウス、ラット、イヌ、鶏、ウサギなど動物を用いた薬物動態、遺伝毒性、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性及び発がん性、生殖発生毒性、また、牛・豚・鶏・羊及び魚介類の残留などの試験が行われています。
- チャイニーズハムスター卵巣由来細胞及びヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験及びマウスリンフォーマTK試験においては陽性
- in vivo 試験では、幼若ラットの肝臓を用いた小核試験において弱い陽性
- エトキシキン(又はその代謝物)は、染色体異常を誘発するが、DNA に直接損傷を与えて遺伝子突然変異を生じさせる可能性は極めて低く、染色体異常誘発は、タンパク質への作用を介した間接的な要因による
- エトキシキンは、ラットを用いた 30 か月間慢性毒性/発がん性併合試験の雌において膀胱への発がん性が示唆
- ラットを用いた膀胱二段階発がん性試験において、エトキシキンのみを投与した群で、膀胱に単純過形成及び乳頭状・結節性過形成が認められた
このように日本では登録を受けていないため、目にすることのないエトキシキンですが、飼料用の抗酸化剤としては指定されています。
このため定められた上限値内であればペットフードにも使用されていても法的な問題はありません。
飼料としての試験は以下参考のようにエトキシキンの家畜への移行調査なども行われています。
参考:エトキシキンの牛への移行調査 報告書 農林水産省(外部サイトpdf)
このように科学的に根拠のある値が設定されて使用されていますが、消費者、また飼い主の方の心配という点はつきません。
その理由のひとつが許容残留量です。
人の食品におけるエトキシキン残留基準値はほとんどの食品が0.05ppmで最大でも魚介類で1ppmにも関わらず、ペットフードにおけるエトキシキン添加許容量はドッグフードは75ppm、キャットフードはなんと150ppmとなっています。
上記の参考資料から、定められている用量を守っている上では問題がないものとしていますが、ある一定量の摂取をすることで牛自身に残留することが出ていますので、今後は上限値が下げられることがあるかもしれません。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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