賞味期限が長いドライフードが腐らない理由。干物とキャットフードの水分含有率を比較

ドライフードは賞味期限が2年近くありますが、腐ったりしないんでしょうか?賞味期限の謎に迫ります!
食べ物が腐るのは、食べ物についた細菌が繁殖し、食べ物を分解していくためです。
細菌は温かくて湿度が高いところで活動的になり、繁殖していきます。
これを抑えるためには温度も湿度も低い、乾燥した寒い場所に保管します。
食べ物に限らず温度、湿度が高い場所に保管しておけば、なんでもすぐにカビてしまいます。
カビと細菌は違うものですが、本来カビが生えてはいけない食べ物にカビが生えたら食べれなくなってしまいますね。
腐らない、腐りにくい食べ物といえば干物に代表される乾物があげられます。
干し椎茸や煮干し、するめなどです。これらが腐りにくいことは皆さん経験で知っているかと思います。
干し椎茸などの干物はほとんど水分を含んでいないため、湿気の多く、温度の高い場所に保管していなければ何年経っていても食べられる場合があるほど保存性に優れています。
魚の干物は干して水分を飛ばすことで栄養価が上がったり、風味が出る食べ物です。魚の干物がカチカチになるほど水分が少ないものは少なく、だいたいが1週間程度で匂いなどが出てきてしまいます。
ここで干物の水分量をみてみましょう。
食品名 | 水分含有量 |
---|---|
干し海苔 | 8% |
干し椎茸 | 9% |
キャットフード(ドライフード) | 10%以下 |
乾燥わかめ | 12% |
ひじき | 13% |
干しバナナ | 14% |
干しぶどう | 14% |
切り干し大根 | 15% |
煮干し | 15% |
乾燥あんず | 16% |
乾燥いちじく | 16% |
ほたての干し貝柱 | 17% |
かんぴょう | 19% |
するめ | 20% |
干し芋 | 22.2% |
ビーフジャーキー | 24% |
干し柿 | 24% |
乾燥プルーン | 33% |
干したものが腐りにくいのは細菌が繁殖するための水分がほとんどないからです。
上で例に挙げた干し椎茸は水分含有量が9%ほど。このように水分量が10%以下のものであれば、湿気が多く、温度の高い場所に置かなければ十分に保存が効きます。
キャットフードが腐らないのは、防腐剤などの添加物が大量に含まれているからだという情報がありますが、そうではなく、水分含有量が少ないからです。
ペットフード公正取引協議会では、ドライフードの水分含有量は10%以下とされています。
ドライフード
製品水分10%程度以下のフード。水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性を配慮して多くは水分含有量10%以下の表示をしています。
このようにカビが生える環境も考慮し、10%程度以下とされています。実際に販売されているドライフードはこれに当てはめて作られ、7~10%程度になっています。
ドライフードは干し椎茸と同程度の水分含有量です。
このような低水分食品が高温多湿な場所を避けて保管して未開封であれば、賞味期限が1年半~2年程度に設定されているのはそれほどおかしなことではありません。
もちろん開封後はできるだけ早く消費してくださいなどと書かれているかと思います。
ただし賞味期限を超えたドライフードには腐る以外の問題があります。
それは年月が経てばどうしても経年変化が起こります。するとビタミンなどの栄養価も経年によって変化し、減ってきてしまいます。
賞味期限を超えるとパッケージに表示されている値を保証できなくなるため、賞味期限が設定されています。
このため、食べることはできても、総合栄養食としての役割を果たせず、商品としては成り立たないということです。
食べ物が酸化すると風味や色味が悪くなります。中でも油脂分は酸化しやすく、キャットフードは脂を使用していますので、少なからず酸素に触れることで酸化していきます。
この酸化を防ぐために酸化防止剤が使われます。
このため酸化と腐敗は同意ではありません。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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