ペットフードにも使われる「副産物」の本当の価値とは?主産物と価値が逆転することも

キャットフードにも使われているマイナスイメージの多い副産物ですが、副産物の本当の価値とはどういったことなのでしょうか。言葉のイメージとは違う副産物の姿を勉強してみたいと思います。
主に価値が高い方が主産物、ついでに出る価値の低いものが副産物という考え方がされるので、非常に悪いもののように思われています。よく副産物について質問されることがあり、どうしてもこの溝を埋めることができないので、ここで話してみようと思いました。
先日お会いしました麻布大学名誉教授の押田先生著「Dr.Ossy 畜産・知ったかぶり」に非常に面白い表が書かれています。
材料 | 主産物 | 副産物 |
---|---|---|
牛 | 食肉 | 皮革 |
原油 | 重油 | ガソリン |
石炭 | コークス | コールタール |
稲 | 米 | ワラ |
玄米 | 白米 | 米ぬか |
大豆 | 豆腐 | おから |
海水 | 食塩 | もろみ |
このように価値ができることで「廃棄物」は「副産物」に変わります。副産物の出来る量は主産物に準じますので、副産物自体の需要には左右されません。このため、需要と供給によって顕著に価格が上下します。
こうした中でもビートパルプは100%飼料利用されている農産廃棄物(副産物)です。さとうきびの残渣であるバガスは90%が燃料利用され、一部が堆肥にされています。使われないものは焼却処分されてしまうため、飼料や燃料として使用できるよう検討していく必要があります。
だんだんと副産物だから悪いというイメージは取り除かれてきたでしょうか。次にお肉に関する副産物の話をしてみたいと思います。
基本的にはと畜した時の枝肉が主産物になります。正肉と、必要に応じて骨です。それ以外の部分が副産物となりますので、可食の内臓、血液、皮革、脂肪、羽などです。
参考記事:
可食部分は食品として利用されますが、それだけでなく、食器やラケットのガット、楽器、骨を材料としたボタンや印鑑などにもなります。
こうして多くのものが副産物から作られ、作られたそれは副産物とは考えられないようなものにもなっていきます。
副産物が危険であると言われたり、考えられる方がいる理由のひとつに、副産物の処理方法があります。
例えば「薬品を使って成分を絞り出す」といった手法に疑問を抱く方が多いようです。これらに関しては誤解もあれば正しい内容もあるかと思いますので、また改めて話してみたいと思います。
副産物という言葉が非常にマイナスなものですが、今紹介したように副産物を主原料として作られるものは多くあります。副産物とはあくまでなにかを作る時に出る、もうひとつの原材料と考えてはいかがでしょうか。
出来る限り再利用できるようにしていくのは畜産に限らず多くの産業における課題のひとつとなっています。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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