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猫は穀物を消化することが苦手

高品質なキャットフードで良質な穀物が配合されているものがありますが、良質な穀物なら配合されていてもいいのでしょうか。
猫にとって穀物がよくないと言われている理由は「猫は穀物を消化することが苦手」だからです。
ただしβ化されていれば一定量活用ができますし、お米には有用な使い方もあります。
このため品質はあまり関係がありません。ここでは穀物を使われる意味や考え方を学んでいきましょう。
ドライフードを固める必要なでんぷん
お米は炊くことで柔らかくなります。これを糊化(α化)といいます。硬いままでは人も消化することができないので、糊化することで犬、猫、人も消化できるようになります。
この糊化という性質を利用してドライフードを固めています。でんぷんですのでじゃがいもなどでも代用が可能です。
お米はアレルギー対策に使用できる
アレルギーが発生しやすい食材は鶏肉や牛肉などの肉類で、お米は穀物アレルギーを発症する可能性があると言われていますが確率は決して高くはありません。
お米の加水分解タンパク質はアレルギー対策にも利用されています。
加水分解タンパク質にした場合は、アレルギーの原因となるタンパク質の状態からアミノ酸にまで分解しますので、アレルゲンとなる可能性が減り、除去食にも用いられています。除去食に加水分解大豆タンパク、加水分解チキンタンパクや加水分解チキンレバーなども用いられますが、特にお米の加水分解タンパク質が利用されています。
穀物が原因で猫の健康を害したという根拠はなく、好む猫がいる
穀物入りのペットフードは長い間販売され、現在も販売が続いています。猫の生態に合わせたグレインフリーというペットフードもありますが、穀物入りのペットフードを好む猫は少なくありません。
穀物入りだけ食べて20歳を超える猫もいますから、猫の寿命や体調は穀物入りのキャットフードよりも、その他の要因の方が影響が大きいと考えられていて、穀物入りが寿命に与える影響は科学的根拠があるわけではないようです。
私が子どもの頃に拾ってきた愛猫は18歳半ばまで生きましたが、穀物入りしか食べていませんでした。病気にもならず長生きだったと思います。もっと生きて欲しかったですが。
穀物入りレシピに自信を持っているメーカーもある
キャットフードメーカーの開発者が、猫が最も好んで食べるものを作った結果、穀物が入ったレシピになったものもあります。こうして開発者が自信を持って穀物入りを販売しているメーカーもあります。
アメリカなどでも穀物入りのキャットフードメーカーのファンもいますし、そのレシピによって猫の寿命が短くなったり、健康を害したという話もありません。
まだまだ発展途上のペットフード
ペットフードの歴史はたった数十年程のものです。
例えば世界中で販売されているロイヤルカナンほどのメーカーでも、猫用フードを出したのが1994年、初めての猫用療法食は1998年のことです。猫にタウリンが必要だとわかったことも1986年になってからのことです。
この後インターネットの普及により、一部企業でしか知られていなかった情報も知れるようになってきました。企業同士の繋がりも増え、メーカーごとに追いつき追い越せと研究開発、情報の共有を行い改善が図られています。
世界初グレインフリーはFirstMate(ファーストメイト)であると公開されています
グレインフリー自体は1995年にファーストメイトが世界初開発と公開しています。穀物不使用という考えは元からあったものの、2010年代に入ってからようやくグレインフリーが一般でも少しずつ見られる環境になってきたというところでしょうか。
安定して安価に作ることができる
穀類は生産が安定しており、入手しやすい価格のため、ペットフードとしても安定して安価に製造することができます。
安くて良いものを作るということも大切なことです。
食物繊維としての効果
穀物を使用しないグレインフリーと比較して、穀物入りキャットフードは食物繊維が豊富な傾向にあります。
小麦や米の食物繊維は水溶性、不溶性食物繊維が両方含まれていて、トウモロコシには不溶性食物繊維のセルロースが豊富です。
これらは腸内環境の改善を促す効果があります。
穀物入りのキャットフードを食べ続けてきた猫はこれらの恩恵を受けて育ったために、食物繊維が少ないキャットフードに切り換えると、うんちの量が減ったり、うまく排出できないことがあります。
人も同じですが、毎日食べているものに合わせた体になっていきますので、体に良いからと突然変えることが必ずしも良い結果を生むということではないことも知っておくとよいでしょう。