穀物入りの高品質キャットフードがある理由。高品質なら穀物入りでもいいの?

穀物入りでも高品質なキャットフードがあります。高品質なら穀物入りでもいいかというご質問が届きましたので、キャットフードの学校で考えていきたいと思います。
こちらの記事と並行して読んでください。肉食の猫は穀物を消化できない!?穀物フリー(グレインフリー)のキャットフードを選ぶワケ!
猫にとって穀物がよくないと言われている理由は「猫は穀物をほとんど消化することができない」からです。
このため残念ながら穀物が良質であってもほとんど消化できないので大きな差はない(粗悪なものでなければ)というのが私の考えになります。
ただ穀物には穀物の良さもありますし、穀物入りのキャットフードも与え方によっては猫にとっていい場合があります。
それに同じ穀物をあげるのであれば高品質なものがいいという気持ちの話もありますね。
そうなんです。人間でも同じようにナチュラルフードの流れがありました。農薬などを使っていない体にいい野菜などを食べましょうという、それと同じです。
今まで作っていたキャットフードを、人間が食べることのできる高品質な原材料を使って作れば猫にとってもいいのではないかという考え方です。
それまでは人間が食べない部分を使ったキャットフードが一般的でした。それを見直す流れになったことで、高品質なキャットフード(穀物入り)が販売され始めました。時代の流れに沿った自然な流れですね。
その後に猫は穀物を消化できないことがわかってきました。それから少しずつグレインフリーという考え方に変わってきているのですが、穀物が消化できない割に、穀物のデメリットも余り見られず、さらに穀物入りの方が好きな猫も多いという現状から、グレインフリーと穀物入りは共存しています。穀物入りは原材料費も安いので、安価に作れますしね。
穀物入りしか食べていなくても20歳を超える猫もいますから、猫の寿命や体調は穀物入りのキャットフードよりも、その他の要因の方が影響が大きいと考えられていて、穀物入りが寿命に与える影響ははっきり科学的根拠があるわけではないようです。
実際私が15歳の時に拾ってきた愛猫は18歳半ばまで生きましたが、穀物入りしか食べていませんでした。病気ではなく長生きだったと思います。もっと生きて欲しかったですが。
まだキャットフードの歴史はそれほど新しいものでもありませんし、猫が穀物を消化できないという事実も割と最近判明したことでした。だから今後キャットフードに関する考えが変わっていく可能性は十分にある、まだまだ発展途上のジャンルです。
そうです。アメリカなどでも穀物入りのキャットフードメーカーのファンもいますし、そのレシピによって猫の寿命が短くなったり、健康を害したという話もありません。
そもそも猫が穀物を消化できないという事実がわかったのは割と最近の話なので、不思議な話ではないことがわかります。
最近といっても1、2年ということではありません。
キャットフードのペットフード自体の歴史はまだ非常に浅いということです。
例えば全世界で販売され、療法食といえばロイヤルカナンと言われているほどのメーカーであっても、猫用フードを出したのが1994年、初めての猫用療法食は1998年のことです。猫にタウリンが必要だとわかったことも1986年になってからのことです。
この後にインターネットの普及により、一部企業でしか知られていなかった情報もわかってくるようになっ
グレインフリー自体は1995年にファーストメイトが世界初開発と公開しています。穀物不使用という考えは元からあったものの、2010年代に入ってからようやくグレインフリーが一般でも少しずつ見られる環境になってきたというところでしょうか。
前に教えてもらった穀物入りの良さは、
と教えてもらいました。これ以外にもなにか理由はありますか?
穀物入りもグレインフリーも使い方次第ですね。
例えば余り食べられなくなった猫にはグレインフリーの方が少ない量で栄養を与えることができます。
長毛種の猫ならグレインフリーから穀物入りに変えたら毛の排出がうまくいって元気よくご飯を食べるようになったこともあります。
健康で元気な猫には基本的にはグレインフリーを。運動量や毛の排出、食べられる量でグレインフリーか穀物入りかを分けて利用するといいと思います。
ただしコロコロ変えないでください。
猫は非常に臆病な生き物です。このため同じもの、安全だと自分が認識したものを食べることで安心を得ていることもあります。
また体内の栄養バランスも重要です。キャットフードごとに栄養素が違っています。総合栄養食であれば、基本的にはそれだけをあげていれば問題のない栄養量になっていますが、コロコロ変えてしまうと栄養が偏る危険があります。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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