グレインフリーキャットフードとは?血糖値上昇を抑え、猫の内臓に合わせて穀物を使用していないレシピ

マッサンに聞いてみると、今販売されているキャットフードは動物食性の猫の生態に合わせたキャットフードは少ないそうです。
ここでは猫の生態を勉強し、どんなキャットフードが合っているのかを教えてもらいたいと思います。
動物食性の猫は「穀物をほとんど消化できない内臓の作り」になっています。理由は猫の消化器官の作りが雑食の人間や犬とは構造が違うからです。
とはいえ、下記でも解説しますが、ペットフード用に加工された穀物は猫も全てではありませんが一定数活用することができると言われてきていますので、必ずしも上記の通りではありませんが、猫はそもそも穀物をほぼ食べないので、心に留め置く部分ではあるかと思います。
※草食動物が食べた穀物が胃腸内に残っていた場合はそれは食べます。
猫は大腸の消化管が身長の4倍程度しかなく、雑食・草食動物に比べてかなり貧弱です。これによって穀物など植物が消化しにくくなります。
猫には盲腸がほとんどないため、植物性の食べ物に含まれるセルロースを消化吸収することができません。多少はすい臓で消化、吸収できますが、唾液など他で消化吸収できていないため、負担が大きくなります。
猫の内臓は炭水化物や牛乳に多く含まれる乳糖(ラクトース)は大量に消化できない構造になっています。このため、炭水化物を多く与えると下痢や不調を招く原因になることがあります。
その代わりに小腸が発達し、動物性たんぱく質や脂肪の消化吸収に向いている作りとなっています。
さらに猫の肝臓は窒素化合物を分解する酵素の働きが非常に高く、このためにたんぱく質をエネルギー源の一部として使うことができます。人間や犬は、たんぱく質は筋肉の維持や成長など体の成長に使い、エネルギー源は炭水化物から取っていますね。
猫にとってはいい食事とはいえないかもしれませんね。でもその時代はまともなキャットフードも多く流通していなかったと思いますし、ペットに対する考え方が今とは全く違っていて、体の構造などを知っている人も余りいなかったと思います。
因みにα化したお米なら多少は消化できると思いますので100%完全にアウトということでもないかと思います。
乳糖やセルロースなど根本的な問題はありますが、ペットフード用に適切に処理された穀物の多くは、全てではありませんが一定数活用することができると言われるようになってきました。
これは以前から言われていましたが、新しく台頭してきたグレインフリーが必ずしも正しいのかというアンチテーゼではありませんが、こうした流れによって表面化してきたことでもあります。
インターネットの発達で新しい情報でもすぐに見つけられるようになったという部分でもあるかもしれませんが。
まぁそこまでは言わないにしても、私はそういう動きはあってしかるべきで、いいことだと思っています。当たり前だと思われていたことでも再検討は必ず必要ですよね。
そして適切に処理された穀物の消化に関しては、ペット栄養学会やロイヤルカナンの研究所でも公表されていますので獣医学的な見解として考えていいかと思います。
因みに例えば人間もお米そのままの状態ではほとんど消化することができません。例えばお米であれば糊化することで人間も消化することができるようになります。
綺麗な話ではありませんが、トウモロコシも一部そのままトイレに出てしまいませんか?
ペットフードではそのまま粉砕して使用するものもあれば、消化できるように一度炊いてから使用しているものもあります。他にはトッピング的な要素でお米の粒を発泡や加工したものをそのまま入れているメーカーなどもあります。
ただ、どのように加工しても含まれているセルロースなど難消化性の食物繊維は消化できません。
このように猫の穀物の消化に関しては加工方法が大切です。
グレインフリーキャットフードとは、穀物を使用していないキャットフードのことです。先に解説したように、猫はほとんど穀物を消化することができません。このため穀物を使用しない、より猫の生態に近づけた食事を作った結果、グレインフリーというレシピが生まれました。
グレインフリーキャットフードの特徴は穀物の代わりに、肉原料が豊富に含まれていることです。これにより動物性たんぱく質が豊富になります。猫はたんぱく質からエネルギーを作り出すことができるため、グレインフリーの豊富なたんぱく質と脂質から体作り、維持に十分な栄養をしっかり補給することができます。
ほとんど消化できない穀物がなくなったことで消化吸収率が高まり、少量でも効率よくエネルギーを摂取できるようになります。穀物入りの場合は必要な栄養素を得るために、多く摂取しなければならず、内臓の負担を招いていました。
猫特有のしなやかで強靱な体を作り上げるには良質で豊富なたんぱく質が必要です。人も筋トレを行う時には良質な動物性たんぱく質が必要ですが、猫の場合は人よりもさらに良質で豊富なたんぱく質が必要になり、肉の原材料のクオリティが高い傾向にあるグレインフリーは猫にぴったりの食事といえます。
グレインフリーについては上記のような点もあり、穀物の有無は飼い主によって選択すれば良いと考えていますが、血糖の部分については知っておいても良い項目かと思います。
オリジンにペットフードオブザイヤーなどの認定を行っているGlycemic Research Institue®での見解は見逃せません。「ペットフードには高血糖成分を避けるべきである」という見解が示されており、穀物はペットフードの成分としては血糖を上げる食品であるので避けるべきであると考えられています。
トウモロコシや穀物の摂取は、犬や猫だけでなく、人間の血糖値にも直接影響します。高血糖成分は血糖値を過剰に上昇させ、てんかん、甲状腺機能低下症、アレルギー、イースト菌感染症、癌および糖尿病のリスクを高めます。犬用及び猫用のペットフード中の一次(高)レベルの高血糖穀物は許容できません。これらには、小麦、トウモロコシ、米、玄米も含まれます。
出典:Glycemic Research Institute®
こうした見解もありますので、穀物については飼い主自身で使用の有無を考えられると良いかと思います。
合わせてこちらの記事もご参考いただけましたら幸いです。
さらに詳しくグレインフリーについて解説していきたいと思います。
グレインフリーとは「穀物を使っていなければいい」ということになります。ですが、原材料に穀物を使わず肉ばかりで製造していては原価がかかりすぎ、どうしても定価が上がってしまいます。
どんなにいいキャットフードでもあまりに高額では売れません。売れないキャットフードを作ってくれる業者はありません。そのため、製造業、販売業者はグレインフリーにする時にはいいバランスを考えて作る必要があります。
そこで穀物の代わりに原材料として使われるのが「ポテト類」のジャガイモやサツマイモです。炭水化物は猫にとって不必要な栄養素ではないと考えられているので、適量含まれている分には問題ありません。
こんな話をしてなんですが、正直なところ芋類についてほとんどのキャットフードは問題がありません。
しかし、猫は炭水化物を一定量は消化することができますが、多くを消化できる構造にはなっていないため、あまり多すぎると消化器官に負担をかけてしまいます。
実は炭水化物の含有量は定めがありません。あくまで私の見立てではドライフードで考えると、40%程度に抑えられていれば問題がないと考えています。
第一原料がジャガイモやサツマイモのグレインフリーキャットフードはないと思われますので、それほど心配はいらないと思います。
重要な点ではありませんがこんな考え方もあります。
実は「穀物」には「豆類を含むか含まないか」という2種類の見解があります。
そもそも穀物という定義がわかりにくい部分があり、日本では「穀物」に狭義では豆類を含まず、広義では豆類を含むとしており、見解がわかれるところです。
しかし世界的には穀物に豆類は含んでいません。このため多くのグレインフリーといわれているキャットフードには豆類が使われています。
例えばグレインフリーと宣伝しているジャガー、ニュートロ ナチュラルチョイスの穀物フリー、オリジン、ウェルネス コア、NOW(ナウ)、go!、アカナ、ヤラー、ティンバーウルフ、ソリッドゴールドもグレインフリーとして販売されていますが、豆類が含まれています。
ただしそのほとんどがエンドウを使用しています。豆類の中でも大豆はアレルゲンになりやすいので注意が必要ですが、エンドウは低アレルゲンで豊富なたんぱく質を含んでいるためです。
低アレルゲンでもアレルゲンだと考えた場合ですが、むしろ鶏肉やサーモンなど主原料のアレルギーの相談の方が多いです。
三大アレルギーの大豆アレルギーとエンドウアレルギーは別物。エンドウ豆は乳児でも食べられる食材です。豊富なたんぱく質、食物繊維として配合されていることがほとんどです。
日本で手に入りやすいグレインフリーのキャットフードは数が少ないのが現状です。私がオススメするなら当たり前ですが、弊社のグレインフリーキャットフード、ロニーキャットフードとエリザベスキャットフード進めたいところではあります(笑)
身近で手にはいりにくいものも含めるとハッピーキャットのラ・キュジーヌのカニンヘンはちょっと変わったウサギ肉と牛肉レシピです。ジウィピークのエアドライ・キャットフード NZグラスフェッドビーフも牛肉をメインに使用したグレインフリーですね。
グレインフリーを選ぶ理由にアレルギー対策や嘔吐改善があります。穀物の、中でも小麦はアレルギーの元になる可能性があります。
そして原材料に穀物を使うことで内容量は増えますが、摂取量はグレインフリーより多くなる場合がほとんどです。単に食べる量が多く必要になるので、胃腸に負担をかけたり、刺激して嘔吐に繋がっていたということもあります。
人間も穀物やそば、シーフードなどでアレルギーが出る方はいますので、食べられるからアレルギーが出ないわけではないのは猫も同じなんですね。
しかし注意してほしい点はグレインフリーだからアレルギー対策になるわけではないという点です。鶏肉や魚にアレルギーがあった場合、穀物入りよりも含有量が多いグレインフリーキャットフードではさらにアレルギーが出る可能性もあります。あくまで穀物アレルギーを疑う場合の話です。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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