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「グレインフリーキャットフードにしたら下痢、血便になった」という相談

マッサン今日もよろしくお願いします!相談者さんから次のような相談が届いています。
「ブリーダーさんから生後半年のメインクーンを譲ってもらい、グレインフリーキャットフードを与えて下痢、血便になってしまいました。病院に勧められたロイヤルカナンの消化器サポートに変えたらよくなってきましたが、他のグレインフリーに惹かれていてあげてみましたがやはりだめでした。色々試した結果、現在は2種類のキトンをローテーションであげると、ロイヤルカナン消化器サポートと同じ位の症状に収まっています。なんとか下痢、血便がよくなる方法はありませんか」
ロイヤルカナンからグレインフリーキャットフードに変えたのですね。今回の場合は獣医師の専門となりますので、私はあくまでペットフードの範囲内でしかお話しすることしかできませんが、今回のケースを考えてみたいと思います。
原材料に使われている食材に対するアレルギーの可能性
グレインフリーキャットフードは動物性食材が豊富なため、肉食の猫にとっては消化も良い食べ物です。消化が苦手な穀物も使用していません。全年齢対応のグレインフリーであれば子猫に与えることも問題ありません。
しかしなかには下痢や血便になってしまうケースがあります。
食物アレルギーの可能性
下痢や血便の原因として多いのはIBD(炎症性腸疾患)です。腸が炎症を起こしている状態ですが、アレルギーで腸が炎症を起こす場合があります。
キャットフードを変更して下痢、血便が治るというのであればキャットフードの成分を見直すとよいでしょう。例えば原因がチキンだった場合は、いくらキャットフードを変更してもチキンが入っていれば下痢、血便の原因になりますし、サーモンなどの場合も同じです。

他にできることはありますか?
低アレルゲンフードを試してみるのも手です。これで治ればIBDが原因と考えられます。ただし低アレルゲンフードは基本的に療法食として発売されているものなので獣医さんに進められた上で利用するフードです。どうしても自分でという場合は自己責任で試してください。
アレルギーと決めつけるのには注意
ただしアレルギーの場合は皮膚被毛などにブツブツや赤みなど他の症状が出ることが多いですので、必ずしもアレルギーだと決めつけることはやめましょう。
単純に与えるのが早かっただけということも考えられます。乳幼児に食べさせて下痢や体調を崩した食べ物でも、成長後であれば問題がない食べ物はたくさんあります。猫も人も子どもの成長はその子その子によって違いますので、自己判断には注意しましょう。
事実を確認せずに飼い主が勝手に決めつけて与えることを辞めてしまうと、猫はその食べ物を今後食べられなくなってしまい、食育にとって非常によくない環境となってしまいます。
食物繊維が少なく消化がうまくできていない
グレインフリーは食物繊維が少なめのキャットフードが多いです。だいたい3%位ですので極端に少ないわけではありませんが、食物繊維入りのものは10%位の商品もあります。それに比べれば少ないといえます。
食物繊維は適量であれば便をまとめ、お腹を綺麗にする効果があります。ただし多すぎると便秘を招きます。これは実際の含有量の多い少ないではなく、その子の体質に対しての量ですので、繊維が10%でちょうどいい子もいれば、5%で便秘になる子もいます。
また、善玉菌の住処として腸内の環境改善にも効果があると言われています。

毛玉が詰まりやすい猫のためのヘアボール除去食は10%程度食物繊維が入っていますね!
猫によっては排出が苦手な猫もいて、食物繊維の力を借りることでちょうどいい状態を保てる猫もいます。
有名な栄養学者川島四郎さんの書籍(食べ物さん、ありがとう)では、人間は体温が低くなると内臓の動きが悪くなり、消化がうまくいかずに食べ物が腐ってしまって、体が早く排出しなければと考えて下痢になると言われています。
このように食べ物が体内に長く留まっても下痢になってしまうので、その場合には適度に食物繊維を摂取するといいかもしれません。
米はアレルゲンになりにくい!低アレルゲンフードに使われる米
グレインフリーばかり注目される昨今ですが、猫が消化が苦手な穀物の「米」はアレルゲンになりにくいという性質があります。そしてたんぱく質は加水分解するとアレルギーの原因になりにくくなります。この二つを利用して低アレルゲンフードが作られていることが多いですね。

消化が苦手なお米が合っている猫もいるということですか?
肉アレルギーになってしまった猫は肉以外のものから栄養を摂取しなくてはいけませんし、肉以外のアレルギーがある場合で特定できていない場合には、低アレルゲンフードでアレルギーを出さないようにしていかなくてはいけません。
その猫その猫にあった食事を選ぶべきで、お米もキャットフードの大切な材料のひとつです。
消化器官や内臓が弱いケースもある
猫も人間と同じで体調や体の強さは猫それぞれです。消化器官や内臓が弱い子もいたり、発達が遅い子もいます。

しっかり消化ができないことで血便や下痢になることはありますか?
膵臓、肝臓辺りの働きが弱いと下痢になり、血便が出ることが考えられます。ウェットフードなら大丈夫な場合はありませんか?そうした場合には膵臓が悪いことも考えられます。
なにをしても治らない場合には消化器官や内臓に異物が混入してしまっているケースも考えられます。このように原因はいくつにも渡りますので必ず獣医師に見てもらいましょう。納得がいかなければセカンドオピニオンを探しましょう。
総合栄養食のドライフードは併用しないで一種類にしてください
総合栄養食のドライフードの併用をしている方が見られますが、基本的にはおすすめできません。

一種類だと飽きてしまったりしませんか?
猫は非常に警戒心の強い生き物ということもあり、安全だと認識した一種類の食べ物を食べ続けられる生き物です。
総合栄養食のドライフードは容量通り与えていれば、それだけで必要な栄養素を摂取できるように作られています。しかし原材料の配合や成分、給餌量が各メーカーで違っています。このため、併用することで栄養が偏る可能性が指摘されています。
また、それぞれ使われている食材が違うため、どちらの食事で問題が起きているかを判断しにくいということがあります。
極力食べる種類を制限し、1種類ずつ使用して確認することが大切です。
キャットフードを短期間で変えることはなるべく避けてください
アレルギー症状などが出た場合には獣医と相談してキャットフードを変更する必要がありますが、そうでない場合には短期間でキャットフードを変えることは避けてください。

毎回買う時に適当に選んでキャットフードを変えてはだめですか?
猫によっては影響のない子もいます。その時その時に出されたものを食べて、死ぬまで元気で病気にもかかったことがない猫も少なくありません。
しかし、例えばアレルギーの場合でも最低3か月から半年かけてフードを変えながらアレルゲンを特定していきます。血便や下痢になった時、よくわからないままあれこれ与えてしまうとアレルギーが発症したり、内臓にダメージを与えたり、状況が悪くなることも考えられます。
そしてうんちやおしっこは大切な情報源です。同じものを与えていれば猫のトイレに変化があった時はすぐにわかります。しかしキャットフードを変えるとうんちの質も変わってしまうので、体調の変化に気付けないことがあります。

猫の体調管理がしやすくなるんですね。