猫の死因第一位の腎臓病とキャットフードについて。リン制限が唯一の治療法。正しい制限食を知ろう

猫の死因第一位の腎泌尿器疾患。治らない腎臓病は病気が進行していかないようにすることが大切です。今日は腎臓病の場合のキャットフードについて一緒に勉強していきましょう。
猫の腎臓病は治らず進行する病気です。このため治療をすることで進行を遅らせることが治療の目的であり、リンを制限することが唯一の治療法と言われています。
猫の死因の第一位が腎泌尿器で死因の20%にもなります。これは外傷・交通事故(13%)よりも多い割合です。
基本的には塩分を制限しても高血圧には効果がなかったという声が多いとされています。しかし積極的な塩分制限は必要ないものの、高塩分である必要はないので、避けるようにしましょう。
オメガ6:オメガ3の割合が5:1で更にビタミンEが添加されているときが最も腎機能の低下を抑制すると考えられています。
腎臓病で筋肉量が落ちてくると、細胞内にあるカリウムが減ってしまいます。このためカリウム欠乏につながり、カリウムが欠乏すると腎臓病を悪化させます。
ステージ2まではたんぱく質の制限はしなくていいという流れになっているようです。ステージ3以降になるとたんぱく質からの尿素窒素を腎臓で処理できず、尿毒症の恐れがでるのでたんぱく質の制限も必要になってきます。
たんぱく質を制限してしまうと筋肉量が落ち、カリウム欠乏につながり、結果的に腎臓病を悪化させてしまいます。このため高たんぱくを少量でも摂取して欲しいところです。
たんぱく質には動物性たんぱく質を植物性たんぱく質があります。これらに関しては動物性たんぱく質の方が消化吸収率が高く、効率よく利用することができると考えられていますが、この中で腎臓病の場合には考えておいてもいいことがあります。
それは植物性たんぱく質の約20%は利用することができずにアンモニアに変換されてしまいます。特に肝臓病がある場合は注意する必要がありますが、腎臓病でも考慮しておいた方がいいかもしれません。
腎臓病の猫の場合、肥満は寿命に関係がないとされています。むしろ痩せているとぐっと寿命が短くなる傾向にありますので、痩せさせる必要はありません。
たんぱく質 | 28~35% |
リン | 0.3~0.6% |
オメガ3脂肪酸 | 0.4~2.5%(オメガ6比で5~7:1) |
カリウム | 0.7~1.2% |
ビタミンE | ≧500IU |
カリウムはもっと多くてもいいかもしれないと某大学教授の話でした。たんぱく質量は状態によって変えていくことが大切です。
ステージが進んでいれば18%などたんぱく質が多くないものを利用します。
普通食ではリンは1%前後が一般的です。
腎臓病は進行するほど強い食欲不振を起こします。低タンパク、低リン、低塩分の食事は嗜好性が低く、余計に食べないという悪循環を招き、体力も筋肉量も落ち、カリウム欠乏に繋がり、腎臓病に悪化に繋がります。
かといって腎臓病のステージが上がった猫に高たんぱく質のものを与えると尿毒症の悪化の懸念があります。
療法食にウェットなどをトッピングをしたり、フードを変えて嗜好性を刺激しながら、あきらめないで続けることが大切です。
魚系のキャットフードはリンが多いので避けるようにしましょう。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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