子猫のキャットフードの給与量と時期について。半年頃の去勢避妊手術時の給与量についても解説

小さな子猫がドライフードを食べられるようになった!そんな時はどの位与えていいのかがとても悩ましいものです。パッケージの給与量を参考に飼い主が調節してあげられるようになるといいですね!
最近多いご質問が子猫のキャットフードの給与量についてです。
実は前からこの質問は多かったのですが、最近は猫の勉強をしている方が多いようで、PERなどを見て計算が合わないからと相談されるケースが増えています。
全年齢対応商品の場合は各メーカーで表示に違いがあります。
子猫用に別枠で給与量を書いているメーカーもあれば、基準としての給与量を記載し、子猫や妊娠時など特別な状態ではそれに合わせて与える考え方もあります。
給与量の記載を考える時に私自身がもらったアドバイスのひとつとして、
例えば4か月から6ヵ月の間に1kgも増えない猫もいれば2kgも増える猫など、成長スピードなどが違うので、一概に表示することは難しいということです。
そして子猫に食事(ドライフード)を与える期間として最も気にかかる期間は3、4か月から6、7か月位になってくると思います。3、4か月でやっとドライフードを食べ始めたと思ったら急激に成長していくので観察しにくいかもしれません。
大体4か月半位までは1日100gも成長します。その後は1日10~20g位ずつ、一週間で70~140g成長します。7か月位で大体成猫の80%位まで成長し、成長速度が鈍化します。
このため概ね半年を過ぎれば「昨日は食べたのに今日は食べない」といった食べムラも大分減ってきて、8か月も過ぎるとほとんど大人と同じで成長具合もどんどん観察しやすくなります。
この期間は体重で給与量を決めて行くと毎日体重を量って毎日給与量を変えなくてはいけなくなってしまいますので、おすすめは自由採食給餌法として、多めに与えておき、猫に食べる量を決めてもらうといいでしょう。
足りなそうであれば足してあげて、ボディコンディションスコアを見ていれば突然太るということも、突然痩せるということもありませんので、毎日細かく給与量を決めていくよりは飼い主の負担も減るかと思います。
人間でも身体が未熟でも妊娠することはできますが、猫の場合はその時点でもしっかりと生んで育てる能力まで備わっています。
また大げさな例ではシンガプーラなどは成猫でも2kg位しかない子も多いので、一般的な猫と比べてしまうとほとんど成長していないかと思うほどです。こうした猫を特異と扱うかどうかでも表記は変わってしまうかもしれませんね。
反対にメインクーンなどは6kg、7kg。世界的にはとんでもない大きさの子もいます。
当然シンガプーラとメインクーンでは成長速度が全く違いますので、それぞれに対応する必要があります。
こうしたアドバイスからなるべくシンプルに記載しようとロニーキャットフードでは体重別で基準値を記載することにしました。また、その工場ではこうした理由から体重別の表示がスタンダードということでした。
もちろん値は栄養士に計算してもらった値を記載しています。
環境省が提示している飼い主のためのペットフード・ガイドラインでも、必要カロリーは体重によって変化すると書かれており、世界的にだけでなく、日本でも体重を基準として考えることとしています。
各社各メーカーで考えた記載方法であり、どの方法が正しいかということではありません。
猫は自分で必要なたんぱく質量を調整することができると言われていますので、多めに与えてあげて、飼い主がボディコンディションスコアを参考に、太り始めていないかを確認していくのが理想的だと私は考えています。
残す時は残しますので、愛猫が少ないと感じているようであれば増やしてあげてもいいと思います。
特に大きくなる猫種、活発な性格、室外にも出る猫であればなおさらで、猫自身に食べる量を選択してもらうといいと思います。
※病気の疑いがある時などはもちろんこの限りではありません。あくまで健康な猫の場合です。
子猫の時期はエネルギー要求量も高いのですが、胃が小さくそれほど食べることができません。消化吸収率が高く、エネルギー密度が高いもの(4.0~5.0kcal/g)がいいとされています。
この値から考えると100g当たり400kcal以上のもので調整すると与えやすいかもしれませんね。効率よくエネルギーを吸収できるフードが良さそうです。
自身と愛猫で決めるのが心配であれば、ライフステージと活動に左右される1日当たりエネルギー要求量(DER)を参考に与えると良いかと思います。
給与量が多くても、飼い主がボディコンディションスコアを確認していれば、突然太ることはありませんし、療法食でなければある栄養量が飛びぬけているというフードもありませんのでそれが原因で病気になるということは非常に考えにくいことです。
「去勢避妊手術をすると太りやすくなる」と言われていることから、半年頃の手術後はどうしたらいいかという相談も多く頂きます。
私も昔愛猫が手術した時に話を聞きましたが、これに関しては、基本的に成猫以降の話と考えていいようです。
子猫の時は成長エネルギーも必要で、手術をすれば回復するためのエネルギーも必要になります。急に減らしたりせず、獣医師の判断を仰いだり、様子を見てあげてください。
大体の子は手術後でも元気にキャットフードを食べてくれると思いますので、食べない場合の方がむしろ心配ではないかと思います。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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