猫にとってのオメガ3脂肪酸とは?炎症を抑える体に優しい不飽和脂肪酸。でも炎症を促す一面も?

抗炎症作用があり、腸管アレルギーが改善されたりと体にいい脂肪酸として紹介されるオメガ3脂肪酸。反対に、新しい研究結果ではアレルギーを促す一面があることもわかりました。どんな栄養素なのでしょうか。
オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸で必須脂肪酸です。
EPAやDHAは海洋性のオメガ3脂肪酸で青魚に多く含まれています。ALAは植物性のオメガ3脂肪酸で菜種油、亜麻仁油、大豆、クルミなどに豊富に含まれています。
普段の食生活では不足しがちなものがオメガ3脂肪酸。キャットフードでも配合量はオメガ6脂肪酸に比べて少ないのが一般的です。しかし魚を主な原材料としたキャットフードではオメガ3脂肪酸が多くなる傾向にあります。
直接的に怪我が治るといったことではないのですが、オメガ3脂肪酸は腸管アレルギー症状を緩和するという研究結果が出ています。他にも皮膚アレルギー反応の抑制も発見されています。こうした抗炎症作用にはEPAやDHAに含まれる抗炎症代謝物であるレゾルビンやプロテクチンによるものと考えられています。
この他にも血管保護作用があることも知られています。しかしそのメカニズムはまだ明確になっていません。
またこれらの効果はオメガ6脂肪酸とのバランスが大変重要であることがわかっていて、現在はオメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸が5:1程度が良いと考えられています。オメガ3脂肪酸の量はこれ以上含まれていても意味がないという考えと、もっと含まれていてもいいという考えがあるようです。
猫にも花粉症があります。症状はくしゃみ、鼻水、目やに、皮膚の痒み、赤み、抜け毛などがあります。発熱などはありませんので、人間と同じといっていいでしょう。
花粉症はアレルギー症状なのでオメガ3脂肪酸は有効と言われています。
このように猫も人間と変わらずアレルギー症状はありますので、オメガ3脂肪酸の摂取は欠かせません。フレッシュサーモンオイルやフィッシュ系のキャットフードにはオメガ3脂肪酸が多く含まれている傾向にありますので、摂取してみるといいかもしれませんね。
- マスト細胞では、PAF-AH2という脂質を分解する酵素により、酸化されたオメガ3脂肪酸(エポキシ化オメガ3脂肪酸)が作られていることを明らかにしました。
- エポキシ化オメガ3脂肪酸は、マスト細胞の応答性を促進してアレルギー反応を促す働きがあることを明らかにしました。
- PAF-AH2の働きを止める薬剤によりアレルギー反応が抑制されたことから、新たなアレルギー治療薬の道が開かれました。
出典:日本医療研究開発機構
マスト細胞はアレルゲンと出会うと、蓄えられたヒスタミンなどの化学伝達物質を放出して、痒みや気道収縮などのアレルギー反応を引き起こします。このマスト細胞がエポキシ化オメガ3脂肪酸を常時産生していることがわかりました。
このエポキシ化オメガ3脂肪酸が遺伝子発現を変えることにより、活性化マスト細胞の応答性を刺激してアレルギー反応を促するというメカニズムが解明されました。このエポキシ化オメガ3脂肪酸を産生しているのがマスト細胞内のPAF-AH2であり、このPAF-AH2を抑制することでアレルギー反応を抑えることができるという新しいアレルギー治療薬の道ができたということです。
このことからオメガ3脂肪酸は抗炎症作用、体にいい脂肪酸として考えられていましたが、アレルギーを促す一面もあるという反対の効果が初めてわかったものです。
マウスで実験が行われていることから猫でも同じである可能性は十分に考えられるのではないかと思います。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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