オメガ6とオメガ3脂肪酸の本当の摂取バランスはわかっていない!被毛、炎症などに効果あり

キャットフードのオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスについては色々なところで議論されていますが、本当のバランスはいくつか聞いてみました。
ペットフードでオメガ6:オメガ3のバランスについて議論の的になることがよくあります。というのも、オメガ6は強い炎症を起こす物質で、オメガ3は弱い炎症もしくは炎症を抑える物質として考えられているためです。
それであればオメガ6は必要ないのではないかと考えられがちなのですが、オメガ6とオメガ3は相互に関連し合っているので片方だけ取ればいいということではなく、どちらも必須脂肪酸として食べ物などで摂取する必要があります。
そのバランスは人の場合で4:1程度が推奨されているようです。
オメガ6脂肪酸はごま油や大豆油に多く含まれ、一般的な食生活では多く摂取しがちです。
反対にオメガ3脂肪酸はエゴマ油や亜麻仁油、青魚に含まれていて、意識しないと普段の食生活では不足しがちになります。
このため意識して魚などオメガ3脂肪酸が豊富な食べ物を摂取することでバランスが取りやすくなる傾向にあります。
オメガ3脂肪酸にの取り過ぎは前立腺がんの可能性を高める、死亡率が上がる、出血しやすく止まりにくくなるといった研究結果も出ています。
なんでも取り過ぎはいけませんね。
オメガ6脂肪酸が炎症を起こす物質であることとは裏腹に、表皮の角質に含まれる脂質を構成するものとしてリノール酸(オメガ6脂肪酸)があります。このように角質バリアの維持にも役立っています。
オメガ6脂肪酸のリノール酸はγリノレン酸に変換され、その次にジモホγリノレン酸が合成されます。このジモホγリノレン酸が抗炎症作用の働きに必要なプロスタグランジンE1に変換されます。つまりオメガ6脂肪酸は炎症を起こす物質というだけでなく、抗炎症作用にも関連しています。
私が聞いた大学教授の講義によると、犬や猫の場合のオメガ脂肪酸の摂取バランスは研究結果、証拠に乏しく、はっきりとしたことはいえないということでした。
しかしペットフード会社が独自の研究によるデータを持っていることはあるとしています。
ユーカヌバは「オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸を5~10:1の割合にすることが、犬の皮膚・毛艶に貢献することを発見した」としています。ユーカヌバの公式サイトでももちろん公表されています。
オメガ3脂肪酸は炎症を抑える物質なので、アトピーなどを直すためにはオメガ3脂肪酸を多く摂取することで改善に向かう可能性が指摘されています。
現在では学術的な結果としてはオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の推奨摂取バランスは不確定であり、一概には言えないということです。
ただし人間とペットの違うところは、人間は好きなものを好きな時に食べることでバランスは容易に崩れてしまいますが、ペットの場合は人がしっかり管理していれば、栄養バランスが崩れることがほとんどありません。
突然オメガ6脂肪酸が多くなることも、オメガ3脂肪酸が少なくなることもありません。
最近ではオメガ3脂肪酸がアトピーなどにも効果的であり、5:1位がいいのではという考えも有力のようです。またビタミンEを合わせることで腎機能の低下を抑制するとの研究結果も出ています。
エビデンスは確認できていませんが、新しい情報では、アトピーなどアレルギーや皮膚炎には3:1位がいいのではないかという声も出てきていることを獣医師より聞きました。
ただしオメガ3をこれ以上増やしても意味があるかはわかっていません。増やして効果があるという考え方もあれば、増やさない方がいいという考え方もあります。
ロニーキャットフードでは5.83:1に設定しています。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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