キャットフードのリパック(再包装)について。製造業者の届け出をすれば誰でもできる?環境や決まりは?

ネット販売も主流となることで、キャットフードのサンプル(試供品)をよく見かけるようになりました。こうしたサンプル製造時のリパックについて教えて頂きました!
化粧品や食料品など、その中でも特に後追い営業のできる分野では昔から行われてきた方法です。
消費者は試すことができ、サンプル配布者(販売者)は営業を行えるようになったり、購入へつなげるアプローチができ、お互いに一定のメリットがあります。
また、対面販売からネット販売が主流となる中で、飼い主との接点がなくなったショップは、サンプルを配布することで知ってもらうという手法としても活用されてきています。
基本的にはサンプルは製品を再包装することで作られます。これをリパックといいます。
ペットフードの場合は十数キロなど大袋で入れて、製品用やサンプル用などにリパックして販売、配布することがあります。
日本はその日本人気質により、リパックや検査の品質が高いので、ここで海外製品にありがちな異物などを取り除く工程を組み込むこともあります。
ペットフードのリパックを行うためには地方農政局へ製造業者としての登録が必要となります。
登記簿謄本など事業者を証明する書類も必要で、事業場や保管場所などの登録も行いますので、身元のわからない業者は登録をすることができず、行政がしっかりと管理できる体制となっています。
また、輸入業者の場合は動物検疫所への申請も必要です。
衛生管理や場所などです。例えば製造業者登録(製造業者といってもリパックですが)を行えば弊社事務所内でリパックをすることも可能です。
弊社も事務所は綺麗にはしていますが、リパックするとなると、なんといいますか自宅の台所で行っているのと同程度くらいの衛生環境でしょうか。
決して汚いというわけではないのですが、これが非常に気になっています(笑)
通販業者さんなど製造業者登録を行い、各社独自の衛生管理基づいてリパックし、便利に利用できるようにしているかと思いますが、私の環境ではまだ納得のリパック環境の構築が出来ていないため、1回開けたものを再包装してお届けするということには、完全に納得出来ていない部分があります。
ペットフードは法律上雑貨なのでこうした点も影響しているのか、環境対応は各社に委ねられています。まぁそうはいってもよほどのことはないかと思いますが。
設備の整ったリパック環境であることを前提としますと、海外から大袋で輸入してリパック業者にお願いすることで、日本のクオリティで異物の再除去や品質チェックをすることができます。
もちろん海外でもこうした取り組みは行っていますが、世界的に見ても日本の異物除去のクオリオティは群を抜いています。また、異物に遭遇した際の反応も日本人が群を抜いていると言われています(笑)
私がヨーロッパの工場を回ったところ、日本への輸出を行っている工場では、どこの工場でも日本輸出用のラインには最新型の異物除去機をわざわざ設置して対応していました。
弊社製造工場でも新型の異物除去機を一台、更に振り分け式の異物除去機を1台で合計2台を新規に設置しました。
また、日本以外では輸出にダンボールを使わず、ペットフードの袋を積み上げてシュリンクした状態で輸送しているところも多いですが、日本向けはカスタマー(つまり私たち発注者)に合わせ、ダンボール梱包を行っていることがほとんどです。
参考記事:
これはそれぞれの国の人々の意識の問題という点が大きく、海外でもやろうと思えばできることが、それほど望まれていないので過剰にはやらないということが影響しています。
ヨーロッパでも相当設備の整った工場のひとつで、異物除去機が設置されていないということには本当に驚きました。
その理由は「今まで異物混入したことがないから」というもの。しかしこれは「今まで異物混入のクレームがなかった」ということにも置き換えられます。工場の規模や製造量などから考えれば導入ができないはずはありません。
これほど、異物除去が必要か必要でないかという点は国民性に影響されています。
異物といっても混入するものは1回前に作ったペットフードや原材料がほとんどですので、製造後に製造機を掃除してから製造を始めたとしてもこれらを100%完全に除去できるわけでありません。
こうしたことから簡単に考えると異物除去機の役割は「製造後に袋に封入する前に除くか、袋に入れて開封後に見つけて除くかの違い」のため、製品の質に違いはないとも言えます。
このあたりの考え方が海外の方と日本人で平行線になりがちな部分です。
このように日本の対策の徹底ぶりは日本人の気質に影響していると考えています。
ロニーキャットフードも発売して1年が経ちますが、この点に関しては随時改善、バージョンアップを行っています。海外で製造する以上、私の日本人としての感覚からも、この点はまだまだ追及していかなければいけない点と考えています。
もちろん、リパックする以上、一度開封しますので少なからず酸化が進みます。酸化度合いは酸素に触れている時間によりますので一概にはいえず、リパック環境に影響されます。
未開封であっても少なからずは酸化しますので、私は過剰に考える必要はないと考えていますが、飼い主の方がどこまで考えるかによって、気になる場合はリパックしたサンプルであるかを確認してみるのもひとつの手かと思います。
サンプル製造も無料ではなくコストがかかりますので、販売価格に影響がある可能性はあります。この辺はどこまで販売価格に含んで広告宣伝を行うかで、どのメーカーでも一般的な部分なのであまり深く考えなくてもいいかとは思いますが。
大袋で輸入してサンプルを製造する場合、1.5kgや2kgといった販売用もサンプル製造と一緒にリパックすることが多いです。その場合は製品も一度開封されているものとなります。
サンプルが大量でなければ大袋ではなく製品のまま輸入して、その製品を開封してリパックしますので、その場合は製品自体は未開封となります。
一例として弊社の場合では、サンプル製造を行うとすれば輸入後に製品を開封してリパックします。もしくは海外工場で同時に作ってしまいます。
面白いものでは、例えば日本のお菓子などは、大袋の中にビスケット1枚ごとに小袋で入っていたりします。これが海外の方には非常におかしく映るようです。
まず「食べるまでに2回開けなくてはいけないことが非常に手間である」と考えること。そして「包装は捨てるものなのに過剰で勿体ない」という意識があることです。
なんで袋の中に袋があるの!?と言われたことがあります(笑)
これはパッケージングに対する考え方の一例ですが、このように酸化などに対する意識も違っていますので、日本でリパックするということには日本人の気質、設備の恩恵を受けることができるという点でメリットもあります。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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