配合量を少なく見せる?ビートパルプとセルロースの併記に注意してみよう

ビートパルプとセルロースの効果は似ていますので、それぞれを別々に配合する大きな意味がありません。その上で別々に配合している意味を教えてもらいました。
例えばビートパルプとセルロースを例に話してみましょう。
セルロースは体内で分解されない完全な食物繊維として使われます。消化されないので腸内を綺麗にし、便秘改善の役割があります。また水を含むと膨らむことから満足感をアップさせる効果もあります。
ビートパルプも基本的には同じです。可消化エネルギーを含み、微生物を利用して多少吸収することもできるものです。そうした理由からもセルロースより負担は少なく、高機能な原材料と考えられています。
その通りです。「なぜひとつにまとめなかったか」が大きなポイントです。まとめないのには大きな理由があります。
例えば鶏肉、じゃがいも、さつまいも、動物性油脂、乾燥全卵、セルロース、ビートパルプ、ニンジン、といった表記の原材料があったとしましょう。
そうした理由も考えられるということです。もちろん何かしらの理由を持って入れているメーカーもあると思います。
どちらにしても今回の場合は少なくとも何個かは上にあがることが予想できますね。
豆類を含まないとなれば次点でサツマイモやジャガイモなどの芋類です。しかし芋類は豆類に比べてずっと食物繊維は少ないので、多く配合しなくてはいけません。
他には食物繊維を一番豊富に含んでいるキクラゲや干しシイタケ、海藻類で補います。ただこれらは栄養素の面からも豆類や芋類と比べると補助的な原材料となり、多く配合ができません。
しかしこれらのどの材料を使っても、食物繊維はおおむね3%程度です。
もしグレインフリーでなければ大麦、オートミール、トウモロコシなどは芋類よりも食物繊維が豊富です。
つまりビートパルプやセルロース、穀物などの食物繊維を使わなければ、あまり多くの食物繊維は稼げないのです。
これは肉原材料が30%での話なので、もちろん肉原料を少なくしたり配合次第で増やすということは可能です。
このように飼い主(愛猫)がキャットフードに求めているものが、食物繊維の配合量が大事なのか、ビートパルプやセルロースが使われていないことが大事なのかをしっかりと考える必要があります。
サツマイモはナス目ヒルガオ科サツマイモ属サツマイモ種、じゃがいもはナス目ナス科ナス属じゃがいも種で全く違うものです。
似たような使われ方もしますが、栄養素も違うのでバランスを考えて配合されています。
食物繊維としてだけ考えればそういうことになりますね。
しかしひよこ豆にはエンドウの13倍近い葉酸が含まれています。貧血や精神疾患の予防、高齢猫の消化器系の疾患による下痢にも効果があると言われていますので、こうした意図を持って配合することもあると思います。
多少の調整は行いますが、食物繊維以外の原材料は栄養素とコストのバランスを見て選んでいます。
なんでも似ているから原材料の表示順を下げるためだとは考えず、こうした考えもあって配合を決めているということも知っておくといいでしょう。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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