防腐剤のソルビン酸カリウムとは?ペットフードにも使われる世界で最も使われている保存料

世界で最も使われている保存料のひとつ、ソルビン酸カリウム。多くのペットフードでも使われています。発がん性などが言われていますが、その真実はどうなんでしょうか?
微生物が増えるのを抑えるために使われる化学合成による添加物がソルビン酸ですが、水に溶けにくいため、ソルビン酸カリウムがよく使われます。
ソルビン酸カリウムの効果はソルビン酸よりも劣りますので、使用対象物に合わせた選択もされています。どちらも細菌、カビ、酵母への抗菌力は非常に高いですが、乳酸菌への抗菌力は若干弱いです。
ソルビン酸カリウムは防腐剤としてハム、ソーセージ、フラワーペースト、煮豆、ジャム、チーズ、ワインなど多くの食品に使われています。
参考:ソルビン酸(Sorbic acid )、及びカリウム塩(Potassium Sorbate)について(株式会社ウエノフードテクノPDF)
日本では1960年にソルビン酸カリウムが食品添加物の指定を受けています。
世界的にはなんと1939~40年にソルビン酸の防腐作用がアメリカ、ドイツで発見されています。アメリカではソルビン酸が防かび剤として特許を得ています。日本でも1955年にソルビン酸が食品添加物として指定を受けています。
人においてソルビン酸及びソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウムのグループの制限値(ADI)はソルビン酸として25mg/kg体重/日とされています。アメリカではGRAS(一般に安全が認められている)として砂糖などと同じように制限はありません。
ソルビン酸カリウムは急性毒性、亜急性毒性、変異原性、慢性毒性発がん性が試験されています。
ソルビン酸のグループとしてのADIは25mg/kg体重/日(ソルビン酸として)
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体重50kgの人の場合、ソルビン酸を1日に1250mg摂るとADIに達する
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使用基準の上限のソルビン酸量が添加されたハムを1日に625g食べた場合ADIに達するが、ソルビン酸の使用基準上限値のハムが出回ることは考えられない。また、ハムを1日625g、毎日食べ続けることは至難の業である。
人が食品からソルビン酸を摂取すると考えられる量は0.13mg/kg/日であり、ADIの0.51%程度
出典:食品添加物のリスク評価 食品安全委員会
ソルビン酸は多くのペットフードに使用されていますが、ペットフード中のソルビン酸によるペットの健康被害は確認されていません。
これは毒性が低いことが明らかであり、通常の製造に使用する量ではペットの健康に影響しないと考えられるため、基準値は設定しないとされています。
ネット上にはソルビン酸カリウムは亜硝酸ナトリウムと反応して発がん物質に変化するという記述が見られますが、それは特殊な実験条件下であり、通常条件下では健康に対する危険の原因はないものとして内閣府食品安全委員会もこれを妥当としています。
状況が特殊なため、実際に食品中や人の体内で発がん性が生じるようなことは起こらないとされています。
参考:週刊新潮 5 月 24 日号によるソルビン酸関連記事について(外部サイトPDF)
また、犬猫が亜硝酸ナトリウムを多く摂取するとメトヘモグロビン血症を起こし死亡します。このため基準値が定められています。結果、亜硝酸ナトリウムによるペットの健康被害は確認されていません。
株式会社ヒューマル代表取締役。ペットフード専門家。「動物にも食育を」を掲げて2016年に会社を設立。ヨーロッパを巡って自身の希望レシピを製造できるペットフード工場を探し出し、オリジナルキャットフードを開発。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士、ペット防災指導員、ペット共生住宅管理士、保育士などの資格保持者。詳しくは紹介ページへ
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