ドッグフードに必要なビタミンとは?欠乏症と過剰症、ビタミン残存率、ビタミン推奨量について

 

本日のテーマ

  • 熱に弱いビタミン、強いビタミンとありますが、果たしてドライドッグフードにはどれだけのビタミンが含まれているのでしょうか?

1.

ドッグフードに含まれるビタミンについて


  • ビタミンは人間だけでなく全ての動物にとって大切な栄養素です。正常な活動に必須の有機化合物で、微量摂取する必要がある栄養素のことをいい、合成されないか、合成しても必要量に足りないものとして定義されています。

    ドライドッグフードにももちろん含まれていますが、ドッグフード製造工程中に失われてしまうビタミンもあるため、必要分は添加することで補っています。

    では補う意味について考えるために、欠乏症、過剰症について考えてみたいと思います。

    ビタミンは分解されやすい栄養素

    ビタミンといえば熱で分解されやすいということが言われています。

    以下では×が不安定なものを表していますが、ビタミンKとナイアシン以外は全て熱に弱いといっていいようです。

     酸素アルカリ
    ビタミンA×××
    ビタミンD×
    ビタミンE×××
    ビタミンB1×××
    ビタミンB2×
    パントテン酸×××
    ナイアシン
    ビタミンB6×××
    葉酸××
    ビタミンB12××××
    ビオチン
    ビタミンK×××
    ビタミンC×××

    出典:大阪教育大学

    更にビタミンは光と酸素に弱いことがわかります。

  • ドッグフードに限らず、多くの料理、食事でビタミンは失われやすいということなんですね。
2.

脂溶性ビタミン


  • 脂溶性ビタミンは水に溶けにくく、脂溶性の名前の通り、油脂に溶けやすいビタミンです。

    ビタミン名欠乏症過剰症
    ビタミンA乾性眼炎、栄養失調、角膜炎、角膜混濁、皮膚病変、二次感染、上皮障害、発育不全、編駅、免疫力低下跛行性骨疾患、歯肉炎、歯牙喪失、免疫力低下
    ビタミンD骨強度低下、骨変形、跛行、筋萎縮、不妊症骨脱灰、軟部組織の石灰化、歯顎の変形
    ビタミンE繁殖障害、筋萎縮症、嗜眠、脂肪組織炎※血液凝固障害、免疫力低下
    ビタミンK皮下出血貧血

    ※発症が希なもの

    βカロテン

    犬はβカロテンをビタミンAに転換できます。猫は転換ができないので、この辺りが犬と猫の違いの一つでもあります。

    ビタミンE

    ビタミンEはセレンと一緒に働くことでより大きな抗酸化作用を引き出します。老化や組織の硬化防止などの予防に効果があります。またセレンが不足すると動脈硬化や老化は起こり、それぞれのバランスが大切です。

3.

水溶性ビタミン


  • 水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCがあります。

    ビタミン名欠乏症過剰症
    ビタミンB1
    (チアミン)
    食欲不振、神経異常、衰弱、心不全
    ビタミンB2
    (リボフラビン)
    眼病変、皮膚疾患、精巣低形成
    パントテン酸成長不良、脂肪肝、消化管障害
    ナイアシン口腔内炎、口腔内潰瘍、流涎、口臭、皮膚炎※紅潮反応
    ビタミンB6
    (ピリドキシン)
    体重減少、貧血、不可逆性腎障害、皮膚炎
    ビオチン鱗状皮膚炎
    葉酸白血球減少症、成長低下
    ビタミンB12悪性貧血、神経障害、皮膚炎
    コリン※腎障害、肝障害、脂肪肝、脚弱症
    ビタミンC
    (アスコルビン酸)
    肥大性骨萎縮、免疫機能低下

    ※発症が希なもの

    チアミン

    チアミンの分解を触媒する酵素のチアミナーゼが多いとチアミン欠乏になる。チアミン欠乏はいわゆる脚気です。

    過剰症

    水溶性ビタミンは尿から流れるので上限値はありません。が、無駄に摂取すればそれだけ腎臓が働きますので適度が一番です。

4.

体内で合成できるビタミン


  • 腸内細菌が合成可能なビタミンはビタミンK、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンCがあります。ビタミンB2(リボフラビン)は一部腸内細菌が合成可能です。

    しかし例えばビタミンCは犬が合成できる能力に限りがあるため、健全に合成できていたとしても、ある一定の大きさ(体重)になるとビタミンC不足が起こります

    基本的には全てのビタミンが必須

    ビタミンCやビタミンKはAAFCOの基準でも最低摂取量の規定もありませんが、上記のように合成できるから摂取しなくてもいいということではなく、基本的に全てのビタミンが必須ビタミンだといえます。

5.

ドライフードのビタミンの残存率


  • ドライフードは加工前と加工後、保管中、そして賞味期限までビタミンの残存率は落ちていきます。

    賞味期限は腐るという意味ではなく、ビタミンなどドッグフードに含まれている栄養素量が保てない期間と考えるのが妥当です。

    ドライフードのビタミンの残存率

    データ更新:2019年7月

    ※使用している原材料、酸化防止剤、設定されている賞味期限、調理、保管方法などにより変わります。

    これは例えば賞味期限が1年程度のものを参考にした場合の大まかな図で、ドライフードのビタミンの残存率の例です。だいたいこのような感じに変化していきます。

    一番減っているのはビタミンAです。次にビタミンB1、葉酸、ビタミンD3です。

    このように過剰症にならず欠乏症にもならない範囲で、残存率も見越してビタミンは配合されています。

6.

犬のビタミン推奨量


  • 上記のビタミン残存率の表を見ると「半分近くまで落ちていて大丈夫なのか?」「2倍も取っていて大丈夫なのか?」という考えが浮かぶと思います。

    以下のビタミン推奨量を確認すると、推奨量に対して上限量が設定されているのはビタミンAとビタミンDだけです。

    AAFCOにおけるビタミン養分基準

    ※乾物100g中単位最小量
    成長・繁殖期
    最小量
    維持期
    最大値
    ビタミンAIU50050025,000
    ビタミンDIU5050300
    ビタミンEIU55
    ビタミンB1
    (チアミン)
    mg0.2250.225
    ビタミンB2
    (リボフラビン)
    mg0.520.52
    パントテン酸mg1.21.2
    ナイアシンmg1.361.36
    ビタミンB6
    (ピリドキシン)
    mg0.150.15
    葉酸mg0.02160.0216
    ビタミンB12mg0.00280.0028
    コリンmg136136

    出典:AAFCO DOG FOOD NUTRIENT PROFILES BASED ON DRY MATTER(PDFファイル)

    維持期のビタミンAの最小量に対して最大値は100倍、ビタミンDも107倍です。2倍でどうにかなる値ではないことは知っておいてもいいかもしれません。

    このように総合栄養食のドライフードを与えていてビタミン過剰症が起こるということはないと考えて問題ありません。

7.

ドライフード製造工程で失われるビタミン

  • このようにビタミンは非常に分解されやすい性質があります。ドッグフードで考えるとドライフード製造工程上では焼き上げるために高温になりますので、多くのビタミンが失われてしまっていることが予想できます。

    こうした分解されてしまった分を補うために使われるのが栄養添加物です。

    上記で紹介した「AAFCOにおけるビタミン養分基準」のようにドライフード製造時はこのAAFCOやNRCが発表した養分基準を満たすようにチェック、添加されています。

    その他には各ドッグフードメーカーやペットフード向上の栄養士や研究員が、研究や今までの膨大なデータから得た知識で作り出されます。

8.

野菜のビタミンは熱を加えないと摂取できない


  • 極端な話ではありますが、野菜は細胞壁を壊さないと栄養分を摂取することができません。

    草食動物はこの細胞壁を消化分解する機能があり、栄養素を摂取することができます。

    しかし盲腸が退化してしまった人や犬は分解することがあまりできず、加熱や微生物での分解、酸でphを変えて細胞壁を壊さなくては栄養を摂取することができません。

    この方法として適当なのが5分ほど煮沸加熱するというもの。

    出典:藤田神経内科病院 医薬情報

    植物から摂取する場合は、必ずしも加熱がダメということではないことも知っておくと手作りレシピ作りなどに役立つかも知れませんね。

まとめ


  • ビタミンがなければ体は正常に作用しない
  • 体内で合成できるものとできないものがある
  • ドッグフードのビタミンは製造時から減っていく
  • ビタミンの推奨量と上限値は大きな開きがある
  • ビタミンの上限量の多さに驚きました。それだけ許容範囲がある中で過剰症、欠乏症について考えていくべきなんですね。総合栄養食のドライフードを食べていればビタミンバランスには問題がないということなので、プラスで何かを与える時に少し考えてみてもいいかもしれません。

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