BHAの安全性を法律・法規制の視点から徹底解説(行政書士執筆)

行政書士解説!BHAの安全性について法律の観点から解説してもらいました。日本の法律ではどのように扱われているのでしょうか。
海外からの輸入もののペットフードが増える中、ペットフードに使用されている原材料や添加物の安全性が心配になる人もいるのではないでしょうか。
中でも多くのペットフードの添加物として使用されている「BHA」は、発がん性のうわさなどがささやかれていることから、漠然とした不安を感じている飼い主の方もいることと思います。
そこで本記事では、ペットフードの添加物として使用されているBHAの安全性について、法的な視点から徹底解説します。
BHAはブチルヒドロキシアニソールの頭文字で、ペットフード以外にもバターや冷凍品、乾製品などにも使用されている「酸化防止剤」のことです。
食品等は酸化が進むと質が悪くなることから、輸入物のペットフードや食品、加工品などによく使われています。
BHAは以前から発がん性がうわさされていることから、飼い主の方の中にはBHAを含むペットフードを敬遠している人も少なくないでしょう。
ですが結論からいうと、法的には基準値以内の含有量であれば、BHAの安全性は確保できると考えられています。
現在日本で流通しているペットフードは、2009年6月に施行されたペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)によって、一定の安全基準を満たすよう規制されています。
それまではペットフードの安全性を直接規制する法律がなかったのですが、アメリカでメラミンの混入した原料を用いて製造されたペットフードが原因で、犬や猫に大規模な健康被害が出たことを受け、日本でも「ペットフード安全法」が制定されました。
ペットフード安全法のもと示されている成分規格によると、BHAの上限値は次のように規定されています。
よって、上記上限値以内の含有量であれば法的には安全であるとしているのです。
ペットフード安全法の規制対象となるのは、次に該当する犬、猫が食べる物です。
これらのペットフードは、BHAをはじめ成分規格などの基準に合わない場合、ペットフードの製造が禁止されるだけでなく、輸入または販売についても禁止です。
現在はペットフード安全法に基づき、ペットフードの製造業者と輸入業者は事務所が所在する都道府県の農林水産省地方農政局等に届出をすることが義務化されています。
たとえ個人事業でペットフードを輸入してネットで販売する場合も、届出が必要なので消費者としては安心です。
2010年12月以降に製造されたペットフードは、ペットフード安全法によって下記事項について商品に「日本語」で表示することが義務化されています。
この中でBHAは「原材料名」の欄に記載されるので、商品のラベルを見ればBHAの有無を自分で確認できます。ここにBHAの記載があるものについては、日本の成分規格の上限値を遵守していると考えてよいでしょう。
BHAについては過去様々な実験結果、研究結果があり、ペットフード安全法もそれらの結果を考慮して制定されていると考えられます。
そもそもBHAは1954年に食品添加物に指定され、その後、飼料添加物にも指定されているとても歴史の長い抗酸化剤です。
BHAの体内での蓄積が発がんに影響するとの見方もされていますが、一部の実験結果では、犬に7日間にわたって一定のBHAを投与した結果、最終投与後48時間までに投与したBHAの50~80%が尿から排出され、15~30%が糞から排出されたそうです。
投与7日後の胃や肝臓などの組織から回収されたBHAは非常に少なかったとのことで、BHAが体内に蓄積されるというデメリットはそこまでの懸念材料ではないとの見方もできるでしょう。
※食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会より抜粋
今回は懸念の多いBHAについて、法的な面から解説していただきました。法律上で決められた値を超えた製品は製造、輸入、販売禁止ということで、体外排出の調査結果からも気にしすぎる必要はないものと考えると良さそうです。
元大手上場企業のトップセールスマン。管理職を経て、行政書士など複数の資格を取得し独立。企業の経営コンサルティングや法務サポート、ライティングを提供する会社を経営。以前に犬や猫を飼っていた経験を活かし、ペットフードに関連する法規制についてわかりやすく解説します。
【保有資格】東京都行政書士会所属 行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、宅地建物取引士、管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランニング技能士、賃貸不動産経営管理士、ビジネス法務エキスパート、敷金診断士、シニアライフ・相続アドバイザー(個人資産相談業務)
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