目次
脂質とは
エネルギー源
エネルギー源としての機能が高いのが中性脂肪です。1g当たりのエネルギー量は炭水化物やたんぱく質の2.25倍もあり、非常に優れたエネルギー源です。
生体を構成する成分
リン酸を含む脂質のリン脂質は生体膜を作ります。このように生体を構成する成分となります。
体内成分の運搬
脂溶性ビタミンなどの運搬の役目をします。
脂質といえば一番早く力になる大切な栄養素ですね!
主な食餌性脂質
主な脂質は植物や動物から得られる中性脂肪(トリグリセリド)です。見た目にわかる、お肉にくっついている脂身の部分のことです。
動物性脂肪
牛脂、豚脂、鶏脂
植物性脂肪
大豆油、植物油
大豆は豊富な植物性たんぱく質を含んでいますが、アレルゲンになりやすいのでキャットフード・ドッグフードでの使用は控えられる傾向にあります。
牛脂、豚脂は余り聞いたことがありません。
キャットフード・ドッグフードでは鶏脂が一番多いように思います。魚系キャットフード・ドッグフードであればサーモンオイルなど魚の油分を使うこともあります。
必須脂肪酸
体内で生成することのできないために食事から摂取するしかない脂肪酸を必須脂肪酸といいます。
- リノール酸
- リノレン酸
- アラキドン酸
リノール酸(オメガ6脂肪酸)
ほとんどの植物油に含まれています。
コーン油、大豆油、サラダ油などです。ゴマやクルミなどにも含まれています。
リノレン酸
リノレン酸はα型とγ型に分けられ、動物によってはリノール酸からリノレン酸を生成できますが、猫はリノール酸からリノレン酸を生成できないため、食事から摂取する必要があります。
αリノレン酸(オメガ3脂肪酸)
αリノレン酸はアマニ、えごま油、キャノーラ油、大豆油、サバ、イワシ、サンマ、アジなどに含まれています。
γリノレン酸(オメガ6脂肪酸)
ボラージ油、月見草油などに含まれています。
アラキドン酸(オメガ6脂肪酸)
動物性脂肪に含まれています。猫はγリノレン酸からアラキドン酸を生成できないのため、食事から摂取する必要があります。
コーン油、大豆脂、グレープシードオイルなどに含まれています。
不飽和脂肪酸
オメガ6脂肪酸
不飽和脂肪酸のひとつで炎症を誘発するのがオメガ6脂肪酸です。
炎症を誘発するんですか!?では摂取しない方がいいですよね?
ところが皮膚の角質バリアにはオメガ6が活用されます。
オメガ6脂肪酸はオメガ3脂肪酸と非常に強い関係にあり、お互いに存在しなくては効果を発揮できません。
また血中コレステロールを下げるともいわれています。
オメガ3脂肪酸
不飽和脂肪酸のひとつで、炎症を抑える働きがあります。
アトピーなどにも効果があると言われ、最近では腎臓病にはオメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸が5:1程度でそれにビタミンEを合わせることで腎機能の低下を抑制するともいわれています。
魚系キャットフード・ドッグフードはオメガ3脂肪酸が多くなる傾向あり
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸はお互いにバランスが重要です。最近はオメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸が5~10:1程度がいいという説が多いですが、魚系キャットフード・ドッグフードではオメガ3脂肪酸が多くなりがちで、3:1、1:1程度のバランスになっているものも見られます。
現在は5:1より増やしても意味があるかはわかっていません。増やしているものもあれば、増やさない方がいいという考えもあります。
アトピーなど炎症の面から考えるとオメガ3脂肪酸の方が多い方がいいという考えも聞かれ、明確な数値ははっきりとしていません。
まとめ
- 脂肪はすぐにエネルギーになる
- 生体構成成分となる
- 油脂などを運搬する役目がある
- 必須脂肪酸はリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸
- オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は相互関係がある
- 魚系キャットフード・ドッグフードはオメガ3脂肪酸が多くなる傾向
犬猫にとって大切な栄養素のひとつの脂肪。最近はオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスが注目されています。腎機能低下を抑制したりと新しい情報が入ってくるので日々チェックしておきましょう。