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バタシー ドッグズ&キャッツ ホームとは?
イギリスで一般の方も気軽に見学ができる1860年から犬猫を受け入れている動物愛護施設のバタシー ドッグズ&キャッツ ホームを見学してきました。
イギリスでも最大級の動物愛護施設のうちのひとつですよね。
バタシー ドッグズ&キャッツ ホームは2015年時点で年間8,000匹以上の犬猫をケアしていて、施設には常に260匹の犬、220匹の猫がいる状態です。平均で犬は30日、猫は22日で引き取られていきますが、それまでの世話は403人のスタッフと1200人のボランティアが行っています。
日本の保健所のように引き取り手がなければ殺処分する施設ではなく、あくまで一時預かり所として次の飼い主が見つかるまで保護する施設です。殺処分をしないわけではありませんが、基本的に期限なくお世話をします。さらにリホーム(新しい家族に迎え入れられること)できるようにしつけや、傷ついた心を癒したりといったことも行われます。
それですぐに施設がいっぱいにならないのはすぐに飼い主が決まるなど、なにか理由がありますよね?
イギリスではペットショップはありますが、グッズやうさぎ、金魚などは販売されているものの、犬猫は販売されていません。厳密には免許制で販売はできるそうですが、イギリス人は犬猫が売られているのを受け入れられず、奇妙に映るようで、10年イギリスに住んでいる方でもハロッズ以外で販売しているところを見たことがないそうです。ただし売っていないわけではなく、売っているところもあると思うとの話でした。
王室御用達のデパート、ハロッズでは売っているんですか?
そのハロッズでさえ2014年に生体販売から撤退しています。私も行ってきましたが確かになくなっていました。そのため犬猫と暮らしたければ、ブリーダーから直接買うか、動物愛護団体から引き取るか、友人から譲り受けるかの3パターンが基本となるようです。
だから動物愛護施設も飼い主が決まりやすいんですね!
イギリスの国民性も大きく影響していると思います。ロンドン市内を見ても犬がとても多く、公園ではしっかりとしつけをされた犬がリードもせず人間と同じように楽しんでいます。イギリスでは日本よりも遥かに多い4人に1人が犬を飼っていて、犬もしつけをするのが当たり前で、しつけ教室に通わせるのも普通のことだそうです。
そんなバタシーはイギリス国内に3箇所あり、ロンドンだけで年間18.4ミリオンポンド(約24億/130円換算)かかる運営費は全て寄付金で賄われています。
バタシー ドッグズ&キャッツ ホームを見学してきました!
バタシーパーク駅です。ビクトリア駅からsouthern鉄道で一駅。たった一駅ですが、ロンドンはテムズ川を南に渡ると突然田舎になり、このバタシーパークはテムズ川を渡ってすぐに位置しています。
バタシーはそんな田舎の地区にあるんですか?
テムズ川を渡ると突然なにもなくなったかのような印象は受けますが、ビクトリア駅から1駅で、ビッグベンのあるウェストミンスターやピカデリーサーカスにもすぐに出られる地域です。
駅を出て少し歩くとすぐにバタシー ドッグズ&キャッツ ホームを見つけることができました。
大きくて綺麗ですね!
おかげですぐわかりました。そして動物愛護施設なので匂いなどはどうかと思いましたが、施設外で動物の匂いを感じることは全くありませんでした。出入り口もしっかりとした門で中と外が分けられています。
大人は一人2ポンドで入ることができます。早速中に入ると小奇麗な中庭のような場所にでました。
手前の丸いガラス張りの部分が猫舎、奥のガラス張りの建物が犬舎です。
この青い建物の右手のガラス張りの建物が犬舎に繋がっています。
振り返ると猫舎です。こちらは犬舎に比べて新しく割と最近できたものです。もう少し奥に行くとカフェや病院があります。
一番にあるこの建物が病院で外来も受け付けています。
愛犬と落ち着いてゆっくりカフェも。さて次は内部を見学します。
1匹当たりの面積がとても広い!猫舎を見学です。
まず犬舎は撮影禁止になっていました。猫舎ではスタッフさんの横で遠慮しながら撮らせてもらいましたので、主に猫舎を紹介します。
入るとすぐ分厚い扉があります。ハンドジェルをして手を清潔にしてから入場します。
中は受付などがあり、グッズ販売や引受相談などができるようになっています。ガラス張りになっている真ん中の階段を上るといよいよ猫舎に入ります。
可愛いネズミの編み物。バタシーでは猫のおもちゃをニットで作ろうという企画も行っているようでした。
Cats this way。登ったらすぐ猫舎です。
登ってくるとすぐ猫の部屋がズラリ!人も多く、猫を迎え入れたい家族が沢山いました。子供も猫と会えて嬉しそうでした。
グルっと一周猫の部屋が並んでいます。一匹当たりの占有面積がとても広く充実した生活が送れるように最大限の配慮がされていることがわかります。
おもちゃも多く、爪とぎも立派なものが設置されています。写真の右の子は家が決まっていて、左の子達はまだリホーミングの準備ができていないので、トレーニング中です。
それぞれしっかりと紹介が書かれています。この子はまだリホームトレーニング中でとても簡単な紹介でしたが、10週のショートヘアーで、飼い主にはお庭が必要です。
このフロアにはいないけどリホーミングできる子達の情報です。そしてキャッテリーが優秀なのでしょうか。表彰されているようです。さきほどの準備中の子よりも多くの条件や情報が追加されています。
今年家が見つかった子達の猫数です。2016年10月22日時点で1874匹の子が家を見つけてバタシー ドッグズ&キャッツ ホームを旅立ちました。
犬舎は少しだけ紹介です。 ※撮影禁止でした。
紹介できるところまで紹介したいと思います。
犬舎に入る前の注意事項です。このため写真は撮影できませんでした。
入り口です。分厚い扉でしっかりと管理されています。ここにもベビーカーの注意が。持って入ってしまう方が多いのだと思います。
このように会えた犬は10匹程度でした。元気な子、大人しい子、寝ているだけの子、こちらに興味津々な子と様々で、各犬の受入れ条件も猫よりもより細かく決められていました。例えば8歳8ヶ月のロットワイラーの子の説明にはこう書かれていました。
ロットワイラーのゼナの説明、アイコンは上記のように書かれていました。絵で申し訳ないのですが、猫の時の張り紙と同じ感じなので、そちらを参考にしてください。犬の方がとても多くの情報が載っていることがわかります。
猫舎はガラス張りでとても綺麗ですが、犬舎はコンクリート壁の部屋でやや古さを感じました。しかし一匹当たりの面積は広く、おもちゃなどもあり、サンルームのような部屋がついている部屋もありました。まだリホームトレーニング途中の子も多く、街中では滅多にみられなかった吠えてくる子も。早く新しい家族が見つかることを祈ります。
募金とグッズ販売などを運営費に当てています
このようにバタシーのレセプション横には売店もあり、様々なグッズが販売されています。私も貢献するつもりでいくつか購入してきました。
凄く沢山のグッズがあるんですね!
年間億単位の経費の足しにするには少ないものとも考えられます。私もいくつか購入してきました。
30cm定規に£3.50の値札があります。130円換算だと455円です。日本でも300円~500円といったところだと思いますので、お土産屋では概ねこんなものだと思いますが、やや高く感じますね。イギリスは本当に物価が高いです。3割り増しで考えてちょうどいい位だと思います。
こうしてバタシー ドッグズ&キャッツ ホームの見学を終えました
無料の冊子にはイベントや普段のお世話などの活動報告をメインとしてリホームした犬猫の紹介、リホーム募集中の犬猫の紹介、ボランティアの参加方法、犬猫が食べてはいけないものの紹介や、犬猫の写真ギャラリーが掲載されていました。
私はバタシーから頼まれても、回し者などでもありませんが(笑)募金はこちらからも可能です。毎月£5、£8、£12、£20、自分で決めた金額を支払うパターンと、一回限りで£10、£25、£50、£100、自分で決めた金額を支払うパターンが選べます。
ペイパルでのみ募金できるので、登録していない方はペイパルに登録する必要があります。ペイパルは海外の送金方法としてメジャーな方法のひとつなので、海外に目を向けるなら持っていて損はないと思います。
まとめ
- イギリスでは日本人の保健所という概念はなく、限界まで殺処分はせず引き取り手が現れるまでお世話をする
- こうした動物愛護施設がかなり充実している
- ほとんどの方がこういった施設から犬猫を引き取って飼育する
- 引き取る条件は非常に厳しい
- 年間の運営費は24億円(130円換算)
- 運営費はほぼ全て寄付金で賄われている
- 毎年8,000匹以上の犬猫をケア
- 大勢のスタッフ、ボランティアが犬猫のリホーミングをアシストしている
数日~数週間で殺処分が当たり前なのにペットショップで犬猫が販売されている日本と比べると、イギリスの殺処分を減らし、命を大切に、幸福度を高めようという取り組みに感動しました。日本人の考え方も変えていく必要がありますね。私も日本の動物愛護施設や愛護団体をチェックして募金など役に立てることを探してみたいと思います。