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L-カルニチンとは
エリザベスキャットフードにも使われているL-カルニチン。ここで紹介してみたいと思います。
L-カルニチンは機能性食品としても使われ、脂質の代謝に必須の化合物でアミノ酸の類縁体(類似体)です。
飼料添加物に指定
L-カルニチンは平成27年(2015年)の食品衛生法の改正で以下の通りの扱いとなりました。
第1 改正の概要
食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第11条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質(以下「対象外物質」という。)に、イタコン酸、カルシフェロール及び25-ヒドロキシコレカルシフェロール、L-カルニチン、グリセリン酢酸脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを追加したこと。
「人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質」に分類されました。
また、平成30年(2018年)に飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令等の一部改正が行われ、以下の通りとなりました。
L-カルニチンは、飼料の栄養成分その他の有効成分の補給を目的とし、種豚用飼料に添加する飼料添加物として指定されました。妊娠期の豚及び授乳期の豚に給与することで、子豚の生育が良くなる効果が期待されます。
なお、本改正の概要については、別紙2を御参照ください。
この改正により、飼料添加物に指定されました。添加物に指定されたその効果は「生育が良くなる効果が期待できる」というものです。
つまり、豚の生育が良くなる効果が期待できる上で、人の健康を損なうおそれがないことが明らかなものであるという一定の安全性を表したものとなったともいえると思います。
脂質はL-カルニチンがなければエネルギーに変換することができない
代謝とは今回の場合は脂質をエネルギーへ変換することです。L-カルニチンがなければ脂質を摂取してもエネルギーにすることができない、とても大切なものです。
脂質を体内に取り込むと脂肪酸へと分解されます。
しかし体は脂肪酸だけでは使用することができません。分解によって生じた脂肪酸がL-カルニチンとくっつくことで初めてエネルギーへと変換することができるようになります。
でもどうしてL-カルニチンとくっつかないとエネルギーに変換できないんですか?
ミトコンドリアという真核生物の細胞小器官があり、ミトコンドリアの内部がエネルギーに変換する「場所」になっているのですが、ミトコンドリアの内部には脂肪酸だけでは入場することができません。L-カルニチンが脂肪酸を連れていくことで初めて入場することができるのです。案内人、もしくは切符みたいなものですね。
こうしたサポートのためにキャットフードにもL-カルニチンが配合されている製品が多くあります。
多くのエネルギーを必要とする場所に存在
L-カルニチンは脂質をエネルギーに変換する手助けをします。
骨格筋や心筋にはL-カルニチンが多く存在していますが、これはエネルギーを多く必要としている場所だからです。
脂質はL-カルニチンがなければエネルギーに転換されないので、必要な場所で転換できるようになっているとも捉えることができるのかもしれません。
ダイエットとL-カルニチン
「脂肪をエネルギーに変換する」これを聞いた時、ダイエットに使えるかも!と思ってしまいました…笑
実際そう思う人は多く、人用のダイエットサプリもあると思いますよ笑
そして、猫でも調査を行ってダイエットに効果的であったという結果が出ているものもあります。
例えば以下の研究ではL-カルニチンのサプリを摂取していた猫の方がエネルギー消費量が高く、減量にも効果的だったと考えられるとしています。
上記では猫がグループ分けして検証されていますが、ダイエットフードも併用したりしています。私の感想としては、効果的に使用すれば効果が見込める可能性があるかなと思います。
肝臓とL-カルニチン
L-カルニチンは主に肝臓、腎臓、脳で、リジンとメチオニンのふたつのアミノ酸から作られます。
作られたL-カルニチンのほとんどは筋肉細胞に存在しています。
肝臓で作られるL-カルニチンは脂肪を燃焼する助けをします。
では脂肪肝だった場合はどうなるのでしょうか。肝臓の脂肪を燃焼してくれてもおかしくはないように思えます。
実際に非アルコール性脂肪性肝炎にL-カルニチンが有効であることを、脂肪性肝炎・肝がん動物実験で明らかになっているようです。
また、脂肪肝とは違いますが、人では重度の肝疾患になるとカルニチンの体内合成が減少し、カルニチン欠乏症の原因になるともいわれています。
このようにL-カルニチンと肝臓は密接な関係をもっていることがわかります。
猫に多い慢性腎臓病とL-カルニチン
人では腎臓病もL-カルニチン欠乏症が言われています。人工透析患者の90%がL-カルニチン欠乏症をきたしているという報告があります。
心臓病とL-カルニチン
これは人でも心臓病にL-カルニチン補給で生存率改善などが見込まれ、猫用心臓サポートでもL-カルニチンが積極的に配合されています。
これは心筋はエネルギーを多く必要とし、もとからL-カルニチンの量が多い場所だからであると思います。
筋肉中のL-カルニチンは加齢に伴い減少する
加齢に伴って筋肉中のL-カルニチンが減少していきます。食事から摂取することで筋肉量の維持を促したり、エネルギー生産の向上を促すことができます。
成長期や妊娠授乳期などエネルギーを使う場合にも有効です。
まとめ
- L-カルニチンは脂質の代謝に必要な物質
- 骨格筋や心筋など多くのエネルギーを必要とする場所に存在する
- 猫のダイエットに効果的である
- 非アルコール性脂肪肝炎にも効果的である
- 腎臓病になるとL-カルニチン欠乏症をきたす可能性がある
- 心臓病ではL-カルニチンを投与することで生存率改善が見込まれ、心臓サポートキャットフードにも配合される
- 筋肉中のL-カルニチンは年齢と共に減少するため、食事などから摂取することも良い
L-カルニチンが猫の体にとって非常に重要な役割をしていることがわかりました。安全であり、キャットフードにも配合できるL-カルニチンは運動量の多い猫や、シニアにも有効となりそうですね。