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実は作るのが難しい魚系ドライフード
キャットフードには色々な原材料が使われています。その中で主の原材料となるとチキン、サーモン、牛、豚、ベニソン、ラビット、ラムなどがあります。
実はこの中で作るのが難しいのがサーモンなど魚を主体としたドライフード。
そうなんですか?魚のドライフードなんてたくさんありますよね?
よく見てみると魚を主体としていますが、その他にも動物性タンパク質が入っていると思います。このようにチキンなど他の動物性タンパク質と組み合わせて作ることはできますが、動物性タンパク質を魚のみで作ることは意外と難しいことです。
または、魚の使用量が少なめであるかと思います。魚を少なめにして他を植物性タンパク質などで補えばレシピも作成可能です。
なぜ難しい?魚系ドライフード
でもなんで難しいんですか?
灰分(ミネラル)が多くなってしまう
魚をドライフードにするために乾燥すると非常に小さくなってしまいます。つまり多くの魚を必要とするため、特に灰分(ミネラル)が多くなってしまいがちです。
これを調整するために灰分の少ない魚を合わせて利用します。これらは取れる場所や処理によっても違うので、サーモンだから必ずしも灰分が高いなどと特定出来るわけではないのですが、弊社工場ではサーモンは灰分が高めなので、サーモンだけでタンパク質を稼ごうとしても、余り多くは使用することができません。
オメガ3脂肪酸が多くなってしまう
チキンなど一般的なキャットフードがオメガ6脂肪酸が多くなりがちなことに比べ、魚を主体としたフードではどうしてもオメガ3脂肪酸が多くなってしまいがちです。
このコントロールが難しいため、魚を少なくしたり、他の動物性タンパク質で調整したりします。
こうした理由から他の魚も合わせて使用したり、鶏肉などの動物性タンパク質も使用します。
エリザベスキャットフードは正にそんな感じですね!
エリザベスキャットフードではサーモンの他にニシン、鶏肉を使用しています。エリザベスキャットフードの場合には食いつき(味)も考えて鶏肉も配合することにしました。
では動物性タンパク質が魚類だけで作られているドライフードは珍しいということですね!
動物性タンパク質が魚系に限られているドライフード
フィッシュ4キャット 全般
原材料:サーモンミール(33%)、サーモン(22%)、スイートポテト(17%)、キャッサバ(13%)、サーモンオイル(8%)、フィシュエキス(2.5%)、サンフラワーオイル、酵母エキス、モルトエキス、ピーファイバー、乾燥藻、ドライクランベリー、ビタミン&ミネラル(4.5%)
成分分析値:粗灰分 8%、オメガ6脂肪酸 4.4%、オメガ3脂肪酸 1.15%
私は中国のキャットフード販売事情なども耳にすることがあるのですが、そこでは、「やはり魚主体のフードはなかなか食いつきが良くなく、売るのが難しいが、フィッシュ4キャットはうまくいっている」という話を耳にしました。
フィッシュ4キャットはその名前からも「魚」であることを売りにしている希少なメーカーです。
大体のメーカーは魚もあれば肉もあるというスタンスですよね。
そこは魚専売メーカーというだけあり、魚ドライフード特有の食いつきの悪さや成分バランスの取りにくさを改善されているようです。灰分もオメガ3脂肪酸もコントロールされているようですね。
サーモン、サバ、イワシと3種類を展開していますが、どれにもサーモンミールが含まれていますので、基本サーモンベースで生サバ、生イワシを合わせて使用するスタイルのようです。
オリジン 6フィッシュ
原材料:新鮮丸ごと大西洋サバ、新鮮丸ごと大西洋ニシン、新鮮丸ごと大西洋カレイ、新鮮丸ごとアカディアンレッドフィッシュ、新鮮大西洋アンコウ、新鮮丸ごとシルバーヘイク、乾燥丸ごとサバ、乾燥丸ごとニシン、乾燥アオギス、ニシン油、丸ごとグリーンピース、丸ごとシロインゲン豆、丸ごと赤レンズ豆、乾燥スケトウダラ、乾燥アラスカポロック、ヒマワリ油、丸ごとピント豆、丸ごとヒヨコ豆、天然魚風味、丸ごとグリーンレンズ豆、丸ごとイエローピース、ベニバナ油、レンズ豆繊維、フリーズドライタラレバー、新鮮丸ごとカボチャ、新鮮丸ごとバターナッツスクワッシュ、新鮮ケール、新鮮ホウレン草、新鮮カラシ菜、新鮮コラードグリーン、新鮮カブラ菜、新鮮丸ごとニンジン、新鮮丸ごとリンゴ、新鮮丸ごと梨、乾燥ケルプ、カボチャの種、ヒマワリの種、塩化コリン、亜鉛タンパク化合物、ミックストコフェロール(天然酸化防止剤)、銅タンパク化合物、チコリー根、ターメリック、サルサ根、アルテア根、ローズヒップ、ジュニパーベリー、乾燥ラクトバチルスアシドフィルス菌発酵生成物、乾燥プロバイオティクス発酵生成物、乾燥ラクトバチルスカゼイ発酵生成物
成分分析値:カルシウム 1.5%以上、リン 1.3%以上、マグネシウム 0.1%以上、オメガ6脂肪酸 2.5%以上、オメガ3脂肪酸 2.1%以上
オリジンはさすがですね。
これだけの種類の魚を使用していることも驚きですし、若干オメガ3脂肪酸が多いかもしれませんが、成分も調整しているところも凄いですよね。
以前も話しましたが、もし私がこのレシピで作れたとしても同じ金額では売れないです(笑)全世界に販売網を持ち、自社工場を持っているオリジンだからこそできるレシピと価格だと思います。
アカナ パシフィカキャット
新鮮丸ごと太平洋ニシン(16%)、新鮮丸ごと太平洋イワシ(13%)、新鮮丸ごとアブラカレイ(8%)、丸ごとニシンミール(8%)、太平洋タラミール(8%)、丸ごとシロガネダラミール(8%)、丸ごとグリンピース、丸ごと赤レンズ豆、丸ごとヒヨコ豆、丸ごと緑レンズ豆、タラ油(6%)、新鮮丸ごとシルバーヘイク(4%)、新鮮丸ごとレッドストライプメバル(4%)、丸ごとピント豆、丸ごとイエローピース、コールドプレスヒマワリ油、日干しアルファルファ、乾燥ブラウンケルプ、新鮮カボチャ、新鮮バターナッツスクワッシュ、新鮮パースニップ、新鮮グリーンケール、新鮮ホウレン草、新鮮カラシ菜、新鮮カブラ菜、新鮮ニンジン、新鮮レッドデリシャスリンゴ、新鮮バートレット梨、フリーズドライタラレバー(0.1%)、新鮮クランベリー、新鮮ブルーベリー、チコリー根、ターメリックルート、オオアザミ、ゴボウ、ラベンダー、マシュマロルート、ローズヒップ,フェシウム菌(ビタミンEとローズマリーで天然保存)成分分析値:粗灰分 7.5%以下、オメガ6脂肪酸 2%以上、オメガ3脂肪酸 2.2%以上
オリジンの兄妹ブランド。こちらも立派な原材料が並んでいます。オメガの調整はオリジンの方が良いですが、驚きの原材料といっていいと思います。
アーテミス オソピュア
サーモン(ディハイドレイト)、ドライサーモン、ガルバンゾー豆(ひよこ豆)、赤ヒラマメ、えんどう豆、えんどう豆デンプン、ヒマワリオイル(混合トコフェロールによる保存処理)、フラックスシード、ニシンオイル(混合トコフェロールによる保存処理)、ソラマメ、炭酸カルシウム、乾燥醸造イースト、リン酸一カルシウム、チキンスープ(天然風味料)、塩、塩化コリン、DL-メチオニン、タウリン、セレン酵母、硫酸鉄、硫酸亜鉛、L-アスコルビル-2-ポリリン酸(ビタミンC源)、ココナッツパウダー、塩化カリウム、チコリ根、パンプキン、ユッカシジゲラエキス、硫酸銅、バシラス リケニフォルミス、バシラス サブティリス、硫酸マンガン、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、リボフラビン、ビタミンA、チアミン硝酸塩、ビタミンB12、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンD3、ヨウ素酸カルシウム、葉酸
成分分析値:粗灰分 7.0% 以下、オメガ6脂肪酸 2.7%以上、オメガ3脂肪酸 2.6%以上
株式会社KMTが輸入代理店を務めているアーテミス。こちらのオソピュアのサーモン&ガンバルゾーもチキンスープは使用していますが、主はサーモンのみとなっています。こちらはオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸がほぼ1対1になっていますね。
AATU 85/15 サーモン
85% フィッシュ(45% サーモン生肉(骨抜き)、40% 乾燥ニシン)、サツマイモ、ヒヨコマメ、サーモングレイビー、エンドウ、ルーサン、タピオカ、リンゴ、クランベリー、ナシ、ブルーベリー、マルベリー、オレンジ、ビルベリー、コケモモ、ニンジン、トマト、チコリ、ペパーミント、パセリ、シナモン、マリーゴールド、セイヨウイラクサ、カモミール、ローズヒップ、ユッカ、スピルリナ、海藻、アニス果、フェヌグリーク、オレガノ、セージ、マジョラム、タイム
成分分析値:粗灰分 9.5%、オメガ6脂肪酸 2.3%、オメガ3脂肪酸 4.3%
サーモンとニシンで85%、他に動物性タンパク質オメガ3脂肪酸の方がオメガ6脂肪酸よりも多くなっています。動物性タンパク質を魚に限定するとオメガ3脂肪酸が多くなりがちですので、魚主体にした場合こうした成分値になるかと思います。
ハロー アダルト 天然サーモン
天然サーモン、天然ホワイトフィッシュ、全卵、エンドウ豆、タピオカ、濃縮大豆タンパク、ジャガイモタンパク、鶏脂、ナチュラルフレーバー(加工醸造酵母)、亜麻仁(オメガ6脂肪酸・オメガ3脂肪酸源)、バチルス・コアグランス発酵産物(バイオジェニックス)、ブルーベリー、クランベリー、ニンジン、サツマイモ、イヌリン、タウリン、ミックストコフェロール(酸化防止剤)、ビタミン類(A、D3、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、C、葉酸、ビオチン、コリン)、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、亜鉛タンパク質キレート、鉄タンパク質キレート、銅タンパク質キレート、マンガンタンパク質キレート、セレン、ヨウ素)
成分分析値:灰分 7.6%、オメガ6脂肪酸 3.3%、オメガ3脂肪酸 1.1%
サーモン、ホワイトフィッシュ以外に鶏脂が使われていますが、鶏脂生成時にはタンパク質は取り除かれますのでほぼタンパク質としては考えなくて良いかと思いますので、動物性タンパク質は魚だけと考えても良いかと思います。
クプレラ ホリスティックグレインフリー キャット
魚類(ギンヒラス、シロギス、豪州真ダイ)、サツマイモ、魚油、藻類(昆布)、モンモリロナイト、ユッカ、白菜、アルファルファ、炭酸カルシウム、チコリ、活性酵素、プロバイオティクス(好酸性乳酸桿菌、 機能性酵母、陽性桿菌)、多糖類、必須アミノ酸(タウリン、アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン)、 ビタミン&キレートミネラル( カロチン、塩化コリン、ビタミンE、鉄、ビタミンA、亜鉛、ナイアシン、葉酸、チアミン、ビタミンB6、マンガン、ビタミンK群、ヨウ素 )成分分析値:粗灰分 9%以下
ギンヒラス、シロギス、真鯛と、サーモン系ではないEU系とは違った原材料が目立ちます。オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸の記載はありませんでした。
魚系キャットフードにおけるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランス
このように一流メーカーでも魚を多くすることでオメガ3脂肪酸が非常に多くなってきます。オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸はお互いに作用するので、最も効果的なバランスは現時点ではオメガ6脂肪酸の方が多い方が良いとされています。
鶏肉などのフードでは概ねこのバランスが保たれていることからも、魚主体のキャットフードでオメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸のバランスをとることは本当に難しいことであることがわかったと思います。
また、オメガ3脂肪酸はアトピーや皮膚炎などを治癒する効果が期待されています。こうした点からももっと多い方がいいのではないかという考えが出てきていることも事実です。こうなると、数年後には猫の状態によってオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスを選ぶようになる時も来るかもしれません。