目次
流動食とは
流動食といえば、水溶性の食品を思い浮かべますね。
猫の場合の流動食も同様で、液状のものや、ゲル、ペースト状のものがあります。
流動食は決して完全液状のものだけを指すわけではなく、固形ではない、液状のタイプも含んでいいかと思います。
その中でも猫が自分で食べられなくなった場合に使用されるものです。
このため、厳密な定義があるわけではありませんが、形状としてはちゅーるなども流動食と言っていいかもしれませんが、用途という面から考えると流動食に入れるものではないかなと思いますので、今回の説明では入れないことにしたいと思います。
流動食はどのタイプでも共通して必要な栄養素が含まれており、摂取量を守れば計算上はそれだけで生きていけるだけの栄養を与えることができます。
自分で食べることができないほど衰弱してしまった。感染症や口内炎などが酷く、一時的に食べられないなどの場合に使用します。
流動食の与え方
スプーンで与える
食欲がなくなっている猫でも鼻に近づけることで匂いに刺激されて、食べてくれる子もいます。その位の食欲がある場合にはシリンダーなどでの強制給餌よりも自分で食べてくれる方がいいですので、スプーンに乗せて鼻に近づけてあげたり、食べやすい場所に置いてあげるなどの方法を取ります。
シリンダーやスポイトで口から与える
この方法は流動食でなくても、ほとんどの飼い主の方は一回は通るであろう、薬を与える時の方法のひとつです。流動食と粉薬を混ぜてシリンダーに入れて、猫の口の端から流し込みます。
経鼻チューブで与える
鼻から胃へ向かってチューブを通し(経鼻チューブ)、鼻から出ている注入口に、流動食を入れたシリンダーを差し込んでゆっくりと注入していきます。
これは決して食べられないほど衰弱してしまった場合だけではなく、口内炎などで食べられない場合など消耗が激しい場合にも使用されます。
この方法は薬でも有用です。薬は苦みがあるものが多いので、舌にあたると嫌がって吐き出したりします。経鼻チューブの場合は直接流し込むので味を感じないため、抵抗がありません。
しかしいくら直接胃に流し込むと言っても、匂いが上がってきますので舌を舐めたり、違和感を示します。また、それらによって刺激されて吐き戻したりもしますので、慎重に行いましょう。
市販されている流動食
ロイヤルカナン クリティカルリキッド
代表的な製品としてはロイヤルカナンのクリティカルリキッドが上げられるかと思います。1本約1,000円程度です。
流動食を与える状態となれば病院で出して頂くことが多いと思いますので、だいたいこの製品を渡される、勧められるのではないでしょうか。
蓋の部分が非常にうまく作られていて、シリンダーを直接差し込めるようになっています。クリティカルリキッドをよく振って、シリンダーを差し込んだら、クリティカルリキッドを逆さにしてシリンダーを引っ張ります。
流動食を与える位の状態ということになりますので、猫の状態によってだいぶ変わりますが、1日1本与えたいところなので、衰弱していれば吐き戻しなどを考えて1回20~25ml程度を1、2時間起きに10回位与えたりします。
10時間以上かかりますね。。。
私も1日16時間位かけて毎日与えたこともありますから、本当に猫の状態次第になってくると思います。
口内炎などの場合は猫の体自体に問題がないはずなので50mlを4回などでもいけると思いますので、獣医師と相談の上決めるといいでしょう。
脱脂粉乳のような、豆乳のようななんとも言えない味で、猫は好きそうではありません。
デビフ カロリーエースプラス
缶に入ったタイプでそのままお皿に出して舐めてもらっても、スポイトやシリンジで与えることもできます。
ただ、液体そのままだで舐めないようであれば、猫缶やドライフードに混ぜるといいかと思います。
ムースタイプもあり、こちらはやや固形なので混ぜやすいかもしれません。そのまま食べてくれるようであればムースタイプの方が与えやすいと思います。
匂いで刺激して食べてくれる位であればムースだとスプーンに乗せて鼻先に持っていくことができるので便利です。
ヒルズ a/d缶 回復期ケア
流動食というにはちょっと固めなので、もしかしたら流動食には入ってこないかもしれませんがレバーペーストのようなペーストフードです。色も(匂いも?)そっちの方向です。大人の味といいますかなんというか。
ペットショップで購入すると1缶で500円弱です。
私の経験上は何かしらの変化で、今まで食べていたものを食べなくなってしまった子が比較的食べてくれる缶であると思います。
独特な質感と匂いなので、健康な猫用フードではあまり見られない感じなのがうまくそそっているのかもしれません。
「痩せさせない」が基本
経験上、全く食べられなくなった猫で骨と皮ほどになってしまった猫にも、クリティカルリキッドを1日1本弱与えられるようになると1週間ほどでかなり体形が戻ってきます。
それほどしっかりした栄養価、吸収力があるフードです。
病気の時は太ったら困る病気以外は、痩せさせないが基本。弱っていてはできなくても、しっかりと体力をつけてもらうことで、可能になる治療もあります。
いざという時のために、流動食についてもこれからより深く紹介できればと思います。
まとめ
- 流動食とは液体、ゲル、ペースト状のもので流し込むことが可能で食欲をなくした猫に与える食事
- 衰弱した場合以外にも、口内炎で食べられないといった場合にも使用可能
- 自分で食べられることを優先して、補助的に使うものから、完全強制給餌で与えるものもある
- 病気の時は太らせて困る病気以外は「痩せさせない」が基本
流動食を与える状態にならないことが一番ですが、病気ではなくても衰弱してくると食欲がなくなり、体重が一気に減ってしまう場合があります。そうした場合にも効果的に与えることで、体力を戻すこともできますので、獣医師と相談しながらうまく利用できると良いかと思います。