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猫がキャットフードを食べない
猫がキャットフードを食べない理由はアレルギー、粒の大きさ、匂い、味など人においても一般的な理由から猫の性質、体質を含んだものまで広範囲に及びます。
このサイトをご覧いただいている飼い主の方々はキャットフードを食べない猫が好むキャットフードを探すことに苦労されている方も少なくないと思いますので、どういった要素が猫の嗜好性に関わってくるのかを紹介してみたいと思います。
嗜好性は味や匂い、栄養素などの外的要因に左右され、食欲はホルモンや中枢神経などの内部的要因に加え、環境なども含む複合的な要因である場合が多いことを念頭に置いておきましょう。
今まで食べていたのに食べなくなった理由はこちらの記事を参考にしてみてください。
特定の成分に好き嫌いがある
猫は腐敗の指標のヌクレオチドを嫌い、カプリル酸を多く含むココナッツ油を嫌います。
微量のカプリル酸を含むベニバナ油は嫌わず、バターなどの乳製品には多くのカプリル酸を含んでいながらも嗜好性を示すことから、その食べ物の状態によって苦手なものであっても感知しない、隠されるということも考えられています。
成分については手作り食の時しかコントロールできないかと思いますが、嫌いな成分であっても、必ずしも食べないというわけではないということを知っておくといいかと思います。
酸味は猫にとって好きにも嫌いにもなるもの
人にとってもクエン酸は爽快な酸味、リン酸や乳酸は渋い酸味、コハク酸は旨味を呈するものなど味に違いがあり、猫にとっても同様で、好きな酸味、嫌いな酸味があります。
この酸味も猫の嗜好性をあげるための重要なヒントです。
プロリンやリジンなど甘いアミノ酸が好物です。
プロリンはたんぱく質を構成するアミノ酸で、コラーゲンの成分のひとつ。豚やラクダのコブ等のゼラチン部分に多く含まれています。
リジンは肉や魚、大豆製品に多く含まれています。
短期的と長期的では食べるものは変わる
猫は、短期的には匂いなどダイレクトに食欲を左右する要因で食べものを選択しますが、長期的には味や香りが劣っていても栄養成分、バランスが優れたものを選択する傾向にあります。
人も血が足りないと思えばレバーを食べたり、カルシウムが足りなければ牛乳を飲んだりといった選択を、猫は感覚で選択しているとし、匂いや味以外にも栄養素が嗜好性を左右すると考えられます。
もちろん味も匂いも好みのもので栄養成分も整ったものがいいのですが、例えばドライフードだけでは足りないと考えられる栄養素を他のもので補ってあげることで、再度ドライフードの嗜好性がアップするとも考えられます。
このように最初から食べないキャットフードか、食べなくなったキャットフードなのかで対応方法や考え方が違ってきます。
栄養補助的な猫缶などが活躍しそうですね!
同じものだけを食べ続けられない猫はこのような欲している栄養素が足りていないなど、栄養素が影響している可能性も多少は考えられます。(食べ続けて健康な猫がいるので栄養素の問題ではない可能性も)
また、栄養素が影響しているとなれば、キャットフード変更時などに、猫自身が足りていないと感じている栄養素が含まれているものはよく食べ、満たされれば落ち着いてくるというケースも考えられるのではないかと思います。
結果的にはドライフード以外の食事も合わせて与えることで、栄養バランスや嗜好性は守られるかもしれません。
口内環境と食感
人でも「味は好きだけど噛み心地が気持ち悪くて食べられない」「味は嫌いだけど食感がやめられない」など、食感は嗜好性において非常に重要な要因です。
例えば噛むことが好きな猫、嫌いな猫もいます。また口内環境によっては固いものを食べないこともあります。
全く同じような匂いであっても、粒の大きさ、固さ、質感で食べないことはあり得ると思います。
私はヌルヌルしたものが苦手です…
食べ物の温度。猫舌は嘘
猫は自身の体温と同じくらいの食べ物を好む傾向にあります。このため少し温めてあげることで嗜好性が上がる場合があります。また、温めることで匂いも香るようになります。
猫が特別に猫舌(熱いものが食べられない)訳ではなく、動物は基本的に熱いものを食べません。熱いものを食べることができるのは、火を操る術を手に入れた人間だけで、動物は生きていく上で熱いものを食べることがありません。
そして熱いものは火傷や口内炎など口内に炎症を起こす可能性があります。動物にとって口内の炎症は直接食べることに影響する為、死んでしまう原因にもなる怪我、病気です。
このため猫に限らず、動物は皆猫舌で、温度の高いものを食べません。
食事の場所、お皿などの環境
人もトイレではご飯を食べたくないように、トイレは隔離し、食事場所とは遠ざけるなど食事環境は食欲に大きく影響します。
トイレ
トイレは不食にとってとても大きな要因のひとつです。
人間が気になっていなくても、猫の顔の高さで匂いを嗅いでみると、トイレの匂いが食事をする場所まで届いていた。もしくはトイレをしたばかりの匂いの強い時だけ届くというケースがあります。
このケースでは匂いの弱いキャットフードはトイレなど他の匂いに負けて食べないケースが多いようです。
トイレを扉の向こう側にしたり、部屋を変えるなどして隔離してあげることで食べ始める場合があります。
お皿
ステンレスの匂い(金物の匂い)が苦手な猫はプラスチック容器に変えるとよく食べるという場合も見られ、材質も影響します。
このようにキャットフードを食べないのは実は入れ物のせいだったということは少なくありません。
食事場所が逃げ場のない場所ではちょっとした音で食べるのを辞めてしまうこともあり、安心できる環境で食べさせてあげることも大切です。
猫はアミノ酸とペプチドを匂いで判断できる
直接的に好き嫌いをコントロールできる部分ではないのですが、猫はアミノ酸とペプチドを嗅ぎ分けることができるという非常に特殊な能力、嗅覚を持つと言われています。
タンパク質の状態では無味であっても、ペプチド、アミノ酸になると味があるようになるそうです。これはタンパク質の状態では大きすぎて味覚器に入り込めないために味を感じないということのようで、ペプチドはいくつかのアミノ酸が結合したものなので、アミノ酸よりも複雑な味がすると考えられています。
アミノ酸とは
分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持つ化合物の総称です。アミノ酸の種類は500種類ともいわれ、タンパク質を構成しているアミノ酸もこの中に含まれます。
ペプチドとは
2~50のアミノ酸がペプチド結合したもの。結合数などによって非常に多くの種類があります。
アミノ酸がくっつくことで、血圧上昇抑制やコレステロール値上昇抑制、精神活性など様々な効果が確認されています。
タンパク質は20種類のアミノ酸が結合したもの
つまり単体がアミノ酸、アミノ酸が50程度まで結合したものがペプチド。だいたい結合が50までの小さいものをペプチド、50以上結合した大きいものをタンパク質と呼ぶことが多いです。
タンパク質が分解されてペプチドになり、ペプチドが分解されてアミノ酸になるイメージがイメージしやすいかと思います。
まとめ
- 特定の成分に好き嫌いがある
- 嫌いな成分であっても食べ物の状態次第では必ずしも食べないわけではない
- 酸味は好きな酸味と苦手な酸味がある
- 長期的には味や匂いよりも栄養成分が満たされるものを食べる
- 栄養素が左右することから、栄養素が足りなければよく食べ、満たされれば落ち着くということも
- ドライフード以外で栄養素を補ってあげることでドライフードの嗜好性があがる可能性も
- 口内環境によっては固いものを食べないなど嗜好性を左右する
- 猫の体温と同じくらいの温度のものを好む
- お皿の材質に好き嫌いがある
- あまりオープンではなく逃げやすい、隠れやすい食事場所を好む
- アミノ酸とペプチドを匂いで区別できる
猫がキャットフードを食べてくれない時に考えるべき項目がわかりました。できることから潰していけば、より猫が安定して食べてくれる状況を作れるのではないかと思います。