水を飲まない猫において一番懸念されるものに尿路結石や腎臓病があります。
これらの懸念を少しでも払拭するためのひとつの方法として、弊社でも水を飲まない猫には水分摂取の方法のひとつとしてウェットフードを併用する方法を紹介しています。
しかしその量については製品毎に条件が変わってくるため、公正競争規約の指針にもある1日に必要なカロリーの10~20%以内を目安とするといったご案内にとどまってしまいます。
もちろん水を飲んでもらうのが一番良いのですが、そうできない猫がたくさんいることも知っていますので、ここではより具体的な与え方について学んでいきたいと思います。
目次
ウェットフードはナトリウム含有量が多い場合がある
猫缶、ウェットフードはチキンやビーフもありますが、日本ではまぐろなど魚由来のウェット製品が多く存在しています。
ドライフードの場合は最終的に調整が行われるのでナトリウムが突出して多いといったことはありませんが、ウェットフードは無添加や無調整といった商品も多く、魚は海水の関係で肉類と比較してもナトリウム含有量が高いため、乾物換算で計算するとAAFCOの基準値を超える場合もあります。
ドライ8割、ウェット2割のナトリウム摂取量は?
ここでドライフード8割、ウェットフードを2割与えると仮定します。
ナトリウム摂取量はドライフード10割で0.31g、8割で0.248g
ドライキャットフードは弊社ロニーキャットフードの、カロリー:410kcal/100g、ナトリウム含有量:0.5%を参考値とします。
パッケージの給与量記載がありますが、ウェットフードの兼ね合いがありますのでここではDER計算値で計算します。
去勢避妊の有無によっても違いますが、4kgの猫の場合、DER(1日に必要なカロリー)が238~277kcalとなりますので中央値257kcalを参考値として計算すると、ドライキャットフードのみで1日に必要なカロリーを充たす場合、約62g程度が必要となります。そのうちナトリウムは0.31gとなります。
今回は併用を考えて8割としますのでロニーからは49.6g、ナトリウムは0.248gを摂取します。
ウェットフード 2割で0.1285g
ここにナトリウム0.2%、水分82%、800kcal/kg(DM)のウェットフードがあったとします。
1日に必要なカロリーの20%は51.4kcalとなりますので、ウェットフードは64.25g摂取することになりますので、ナトリウム摂取量は0.1285gとなります。
ドライ10割に対してドライ8割+ウェット2割の場合、ナトリウム摂取量は1.2倍になってしまう
ドライとウェットを併用するとナトリウム摂取量は0.3765gとなり、ドライキャットフードだけを与えている場合よりも1.2倍多くナトリウムを摂取してしまいます。
ウェットを併用すると水分を多く取れるのにナトリウムの摂取量が増えてしまうんですか!
上記は決してナトリウムが多いドライ、ウェットフードを選んだわけではなく、一般的な範囲のものを選択しています。
このように猫の腎臓について考慮するとき、少しでもウェットフードで水分補給を行った方がいいかというとそうではなく、「与えるものによる」というのが正しいということになります。
どのようなものでも選択と使い方が大切
ではウェットフードは控えた方がいいですか?
しかしながら必ずしも控えた方がいいというわけではありません。
どのようなものでも選択と使い方が大切です。
塩分は食いつきや水分摂取量に影響する
例えばペットフード作りでは塩分を感じさせることで猫に水を飲ませるように仕向けることができます。
また、塩分は食いつきを促す一つの要素であることもわかっています。
このため、少量のおやつや食いつき補助として使うのであれば食いつきを重視したものに、腎臓病予防のためであればナトリウム含有量が少ないウェットを選ぶと良いでしょう。
おやつや間食は与えすぎに注意し、水分はできる限り水を摂取するように努力してみましょう。