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コールドプレス製法とは
弊社商品はエクストルーダーを使用したドライペットフードを製造していますが、特に国産ペットフードはコールドプレス製法も多く用いられています。
コールドプレス製法は乾燥させた原材料を粉状に粉砕して、押し固める製法です。温度は70~100度程度の温度が一般的です。温度にも幅がありますが比較的低温の調理方法です。
エクストルーダーは100~120度から200度近い場合もありますので、コールドプレス製法と比較すると高温になります。
下記はコールドプレス製法の様子です。機会によって方法に違いはありますが、いずれにしてもこのように押し固めてペットフードの形を作ります。
コールドプレス製法のメリット
崩れやすいので食べやすい
押し固めただけですので崩れやすいというメリットもあります。崩れやすいため口内への刺激が少なく、食べやすいです。
原材料の栄養素の劣化が少ない
コールドプレス製法はエクストルーダーと比較より低温よりの加熱設定のため、原材料に含まれる栄養素の損失、劣化が少ないといえます。
ただし横一列に比べることはできません。あくまで全く同じ原材料でエクルトルーダー製法とコールドプレス製法で作り比べたらという条件に限ります。
コールドプレス製法のデメリット
水分が多い原材料には向いていない
100度を下回る温度で加熱するということは、水分が多い原材料には向いていません。加熱温度と食材の温度はイコールにはなりませんので、食材の温度はもっと低くなってしまいます。
ペットフードでは肉原材料を大量に使うため、特に生肉やディハイドレイテッドチキンなど水分を含む肉を使用する場合は、エクストルーダーが確実です。
米などのα化に向いていない
お米は炊くという行為を行わなければ硬くて食べることができません。米などに含まれるでん粉は加熱してα化(糊化)することで吸収しやすくなりますが、低温では糊化することができないため、前もってα化したものを使用する必要があります。
しかしα化すると水分量が多くなってしまうので、全体的にコールドプレス製法には向いていないといえますが、この辺りは食材を事前に加工することでクリアしているメーカー様もいらっしゃるかと思います。
温度が低いことによる殺菌効果の低さ
最も重要な違いのひとつです。加熱による栄養素の損失などに敏感になることはわかりますが、それよりも最も重要なことは職としての安全性かと思います。
しっかり加熱殺菌できることはエクストルーダーの特権であり、コールドプレス製法では得られない安全性の1つです。
例えばサルモネラ菌や大腸菌などは75度で1分以上加熱しなければいけません。低い温度は一見フレッシュに見えますが、低温加工が流行りだしていこう食中毒が増えたことも事実です。
口内が汚れる
崩れやすいことはデメリットでもあります。噛む力が弱くても崩れるため、歯垢を落とす作用は期待できません。また、細かくなってしまうことから口内に留まりやすく、口内が汚れがちです。このためより歯磨きが大切になってきます。
コールドプレス製法は消化がいい?
コールドプレス製法を行っているペットフードをコップの水に入れるとすぐに崩れるというアピールをされている商品があります。下記の動画も参考になります。
ただし、コールドプレス製法は押し固めて粒を成型しますので、水に濡れればバラバラになるのは当然です。エクストルーダーは混ぜて加熱し、発泡して固形物となりますので、水に濡れてすぐは崩れません。
ただ、考えてみてください。例えばお米。低温調理でα化(糊化)していないお米を粉末にして一度固めたものを、水に溶かしてバラバラになったからといって、硬いお米が消化がいいと思う方はいないはずです。もちろんお米そのものをガリガリ食べるよりも粉の方が消化はしやすいとは思いますが、そういうことではなく、食材そのものの消化のしやすさが重要であるということです。
動物は内臓で食べたものを消化する能力があります。
猫は腸が短いので、消化しやすい形状であることはメリットですが、猫はたんぱく質からエネルギーを作り出すことができるため、より多くの肉原材料が必要です。
よりフレッシュに、より高品質な動物性たんぱく質を求めようとすると生肉やディハイドレイテッドチキン(乾燥鶏肉)などを使用することが増えますが、その分加工時の水分も増えてしまいます。するとコールドプレス製法には向いていないということになり、一長一短です。
エクストルーダーかコールドプレス製法か
どちらが良いかはご家族様(飼い主)がなにを一番重要視するのかで決まります。
安全性
例えばドライペットフードの安全性を優先する場合はエクストルーダー一択です。これはペットフードの輸入検査のうちの決定的なひとつとして、「加工にはエクルトルーダーが使用されているか」が判定基準のひとつになっているほどです。つまり「エクストルーダーを使用し、一定の温度で加熱していること」。これが動物検疫という面でも安全性を保証するひとつのバロメーターとなっています。
かたや低温調理されたペットフードは同様には輸入ができません。調理工程を記録している資料を提出し、加熱した温度などを確認する必要があります。
これは動物検疫上重要な工程となり、肉製品は一定以上の温度で加熱されているかが重要な判断基準のひとつになっているということです。
肉原材料の豊富さ
肉原材料の豊富さや、アレルギー対策に米を使ったフードがいい場合もエクストルーダーの方がよいのではと考えます。
栄養素の残存率
食材の栄養素の損失を可能な限り抑えたい場合はコールドプレス製法がよいと思います。上記の安全性とはトレードオフとなりますが、熱で栄養素が破壊されにくいという点はメリットになると考えます。
食べやすさ
噛むことが好き、噛むことで少しでも歯垢対策を行いたいということであればエクストルーダーを。
歯が弱く、崩れやすい食事を好む場合はコールドプレスを選ぶと良いかもしれません。
また、吐き癖のある子もコールドプレスを選ぶと改善が見られる可能性もありそうです。
このようにそれぞれにメリットデメリットがありますので、どちらが良いということではありませんが、ご家族の皆様が内容を把握して選択できるようになるとよいですね。





