目次
DHA・EPAとは
DHAはドコサヘキサエン酸の略で、EPAはエイコサペンタエン酸の略で、それぞれオメガ3脂肪酸(n-3系多価不飽和脂肪酸)に属しており、必須脂肪酸です。
魚以外で豊富に含まれている食品が少なく、意識しないと摂取しにくい栄養素で、犬用、猫用のペットフードでもフィッシュオイル(魚油)を使用することが多いです。
人もそうですが、犬猫でも取りにくい栄養素なので、日頃からDHA・EPAの摂取を心がけてもよいと思います。
DHA・EPA共に青魚や脂肪の多い魚に多く含まれる
DHA・EPAは青魚や脂肪が多い魚などに多く含まれています。
100g当たり | EPA(mg) | DHA(mg) |
---|---|---|
くろまぐろ 天然 脂身 生 | 1400 | 3200 |
※くろまぐろ 天然 赤身 生 | 27 | 120 |
ぶり 成魚 生 | 940 | 1700 |
かたくちいわし 生 | 1100 | 770 |
まさば 生 | 690 | 970 |
銀鮭 養殖 生 | 310 | 890 |
まあじ 皮つき 生 | 300 | 570 |
しろさけ 生 | 240 | 460 |
まだい 天然 生 | 300 | 610 |
DHA・EPAが含まれる魚以外の食品
脂肪が多い魚に多く含まれるように肉の脂身にもDHAはよく含まれています。
100g当たり | EPA(mg) | DHA(mg) |
---|---|---|
くじら 本皮 生 | 4300 | 3400 |
くじら うねす 生 | 2200 | 1800 |
おきあみ 生 | 350 | 200 |
おきあみ ゆで | 320 | 200 |
すっぽん 生 | 31 | 860 |
牛 ひき肉 生 | 32 | 87 |
※牛 ひき肉 焼き | 0 | 0 |
豚レバー 生 | 13 | 82 |
鶏卵 全卵 生 | 1 | 72 |
豚肩ロース 脂身 生 | 0 | 63 |
豚もも 脂身 生 | 0 | 49 |
豚ロース 脂身 生 | 0 | 41 |
脂身にも多く含まれているんですね!
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)の効果
DHAの効果
DHAは脳や目の機能に関係しています。このためDHAの摂取は進められるべきものだと言えます。脳や神経の発達にも必須であるとされています。認知機能の低下を抑制する可能性も言われています。しかし疾患の予防や治療という点ではその効果を裏付ける根拠は多くありませんので間違えないようにしましょう。
健康維持と疾患の予防・治療は別、と。
その他にも中性脂肪やコレステロールの低下も認められてきています。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスなども影響しますが、アレルギーやアトピーにも効果的であると考えられています。
EPAの効果
中性脂肪の低下、血栓を出来にくくする、高血圧予防、悪玉コレステロールを減らすといったドロドロ血をイメージするようなものを抑制、低下する働きがあります。
こちらもオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスなども影響しますが、アレルギーやアトピーにも効果的であると考えられています。
以下のようにオメガ3脂肪酸、魚油には多数の臨床例があり、その効果が示されています。猫に対する臨床例が見つけられませんでしたが、大きく違いはないものと思います。
犬のアトピー性皮膚炎の治療でステロイドを減らすことに成功
アトピー性皮膚炎の犬60頭を対象にした臨床試験でプレドニゾン錠剤(ステロイド)に加えて、ルリジサ種子油と魚油の組み合わせを摂取させた犬と、プラセボの犬の2グループで12週間比較した結果、64日目から有意にステロイドの使用が減り、試験終了の84日目には差が大きくなりました。
海産物を多く摂取する人は心疾患で死亡する可能性が低い
犬の場合でも心臓病の犬の血にはDHA、EPAが少ないことがわかっています。このため魚油を補給することで心疾患の各症状に改善が見られたという報告があります。
心不全の犬28匹と健康な5匹で測定されました。心不全の犬は魚油もしくはプラセボで8週間の試験が行われました。健康な犬に比べてアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の濃度は低かったものの、魚油を補給されていた心不全の犬では悪液質を改善していました。しかし魚油補給の犬とプラセボの犬では食事の摂取量には違いはありませんでした。
参考:Nutritional Alterations and the Effect of Fish Oil Supplementation in Dogs with Heart Failure
魚油やアルギニン、ドキソルビシンがリンパ腫の犬の寛解期間、生存期間を延ばす
リンパ腫の32匹の犬を魚油とアルギニンを添加した食事か、大豆油を添加した食事に分けて与えました。結果的に魚油とアルギニンを添加したグループは溶解期間と生存期間が増加しました。
DHAやEPAを含む海産物を食べることとサプリで摂取することは違う
厚生労働省による総合医療に係る情報発信等推進事業ejimのサイトが大変参考になります。
現時点ではDHAやEPAを含む海産物を摂取することは健康に良いことと言えるが、オメガ3脂肪酸サプリメントが効果的かは不明であるという結論にあります。
しかし上記のように魚油などでも臨床結果が出ているように、サプリであっても摂取することは有益ではないかと予想できます。
ドッグフード、キャットフードではフィッシュオイルや魚原材料を使う
ドッグフードやキャットフードの場合、原材料が魚系のペットフードはナトリウムなどのミネラルが多くなりがちという点もありますが、DHAやEPAにおいては得意な分野です。特に猫用の猫缶などウェットフードでは豊富に入っている可能性も高いと思います。
チキンの場合はそのままではほとんどDHA、EPAが含まれていませんので他の原材料でプラスする必要があります。
このため多くのケースではフィッシュオイル(魚油)を使用し、他にはおきあみ、えび、肉の脂肪分などで補います。サプリで追加することも可能です。
ただしフィッシュオイルは生臭さや風味の劣化が最大の懸念点です。これらを改善する研究も進められています。そしてフィッシュオイルの酸化防止にトコフェロールやローズマリーなどが使われています。
補完的に植物性のオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)も使用する
海洋性由来のオメガ3脂肪酸は酸化しやすいため、それを補完するように植物性のオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)も使用します。
α-リノレン酸は亜麻仁油やえごま油、西洋アブラナなどに含まれています。
ただし犬は体内でα-リノレン酸をDHA・EPAへ変換できますが、猫は苦手なため、可能な限り動物性のオメガ3脂肪酸を配合するようにします。
以下はペットフードにおけるオメガ3脂肪酸については、犬でも大変役に立つと思いますので是非セットで読むようにしてください。