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AAFCO(米国飼料検査官協会)とは
ほぼ同内容ですが、キャットフードにおけるAAFCOはこちらを参考にしてください。
AAFCO(米国飼料検査官協会)はThe Association of American Feed Control Officialsの略称です。動物飼料や動物の薬を規制する法律によって義務付けられた地方、州、連邦機関の協会です。このようにアメリカの何カ所にも設置され、様々な連絡先も公開されています。例えば部長や局長の連絡先まで公開されています。
AAFCO本部は現在イリノイ州 シャンペーン サウスオークストリート1800にあります。
- 動物と人間の健康を守る
- 消費者の保護を確保する
動物飼料産業の秩序ある商取引の平等な競争の場を提供することを主要目標として掲げ、動物飼料の製造や表示、流通、販売を規制するための基準や定義を策定、実施しています。
ペットフード安全法や規約に採用されているAAFCOの基準
日本でドッグフードについて調べていると、必ずといっていいほど出てくるのがAAFCOです。AAFCOはアメリカの飼料検査官協会でアフコ、アーフコと読まれています。
日本のペットフード業界にとってAAFCOが非常に大きな意味を持つ理由は、日本のペットフード安全法や各種規約に採用された基準はAAFCOが定めたガイドラインを参考にしているためです。
日本ではペットフードと動物の関係について、自国のみで判断するにはデータが少ないため、基準を設けることが難しい状況にあります。このため、AAFCOの基準を参考にして国内の基準を設けています。
AAFCOは基準を設ける機関
アメリカでは飼料関連法の中で使用していい添加物が決まっています。それらの添加物はAAFCOが選定し、リスト化しています。
このためAAFCOは実質上飼料関連法を作っている団体ともいえます。ヨーロッパでも同じようにFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)がAAFCOと同じように動き、法規制も行われています。
AAFCOでは添加物の選定、リスト化以外にもラベル表示に関するガイドラインや、栄養基準、成分分析データの公開など基準を設けています。注意すべき点としてはAAFCOはフードの検査や認定、承認は行っていません。このためAAFCO認定といったことは起こり得ないことであって、パッケージに表示されることなどはありません。
AAFCOの大きな役割
ペットフード業界における健全な競争社会を作る
私は今のように安価にドッグフードを製造、販売できるのは、科学的に安全性を確認した一定の基準があるからだと思っています。
例えば科学的に検証された基準があるからこそ酸化防止剤を安全に使用できる範囲があることがわかります。
こうしてルールがなければ新規参入することはできません。だからといって教えてもらうこともできないでしょう。基準の中で様々な製品が作られることで競争が生まれ、消費者が手に入れやすいものになっていきます。
こうした流れの中でペットフード業界全体の進展が図られています。
ドッグフードによる被害の防止、健康を守る
全世界でドッグフードによる被害を出さないためにも世界的な基準は非常に重要で、その基準に沿ったドッグフードを食べて育っても科学的に証明される病気や事故が起こっていないということが大切だと思います。
因みに”ペットフード”と一括りにしない理由には、ドッグフードとキャットフードでは犬と猫で必要な栄養素が違うため、ある程度共有できる部分はありますが、全て同一には考えられない部分があります。
この基準がなければ安全性はペットフードメーカーに委ねられ、多くの健康被害、事故が起こる可能性は消えません。
多くの情報が集まり、検討、研究され、新しい基準ができていきます。今後も動物にとってよりよいものを提供できるように基準の発展が望まれます。
AAFCOの基準に準じていれば大丈夫?
よく質問される内容のひとつに「AAFCOの基準に準じている総合栄養食を与えていれば大丈夫か?」というものがあります。
これには「愛猫が健康に生きていく上でそれと水だけを与えていても問題はない(大丈夫)」としか言えません。
最低限以上を求めているキャットフードの方がいいのは当たり前です。しかしそれと最低限が悪いということは話が別で、今現在ではAAFCOの基準が守られていれば、愛猫が健康に暮らしていけると考えられています。
本来総合栄養食というものはない
ただし本来「総合栄養食」というものは存在しないということは知っておいていいかもしれません。
総合栄養食というものがあれば栄養学は必要ありません。人間用があってもいいはずです。
あくまで今現在わかっている情報の中での話であり、1年後、3年後、5年後にはまた考えも変わっている可能性があることを知っていてください。
AAFCO 2016 ドライドッグフード 栄養プロファイル
以下にAAFCOが公表している2016年度版の栄養プロファイルを紹介します。
栄養 | 単位 | 子犬・成長期 最小値 | 成犬 最小値 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
たんぱく質 | % | 22.5 | 18.0 | |
脂質 | % | 8.5 | 5.5 | |
アルギニン | % | 1.0 | 0.51 | |
ヒスチジン | % | 0.44 | 0.19 | |
イソロイシン | % | 0.71 | 0.38 | |
ロイシン | % | 1.29 | 0.68 | |
リジン | % | 0.90 | 0.63 | |
メチオニン | % | 0.35 | 0.33 | |
メチオニン-シスチン | % | 0.70 | 0.65 | |
フェニルアラニン | % | 0.83 | 0.45 | |
フェニルアラニンチロシン | % | 1.30 | 0.74 | |
トレオニン | % | 1.04 | 0.48 | |
トリプトファン | % | 0.20 | 0.16 | |
バリン | % | 0.68 | 0.49 | |
リノール酸 | % | 1.3 | 1.1 | |
α-リノレン酸 | % | 0.08 | NDd | |
エイコサペンタエン酸+ドコサヘキサエン酸 | % | 0.05 | NDd | |
カルシウム | % | 1.2 | 0.5 | 1.8 |
リン | % | 1.0 | 0.4 | 1.6 |
カリウム | % | 0.6 | 0.6 | |
ナトリウム | % | 0.3 | 0.08 | |
塩化物 | % | 0.45 | 0.12 | |
マグネシウム | % | 0.06 | 0.06 | |
鉄 | mg/kg | 88 | 40 | |
銅 | mg/kg | 12.4 | 7.3 | |
マンガン | mg/kg | 7.2 | 5.0 | |
亜鉛 | mg/kg | 100 | 80 | |
ヨウ素 | mg/kg | 1.0 | 1.0 | 11 |
セレン | mg/kg | 0.35 | 0.35 | 2 |
ビタミンA | IU/kg | 5000 | 5000 | 250000 |
ビタミンD | IU/kg | 500 | 500 | 3000 |
ビタミンE | IU/kg | 50 | 50 | |
チアミン | mg/kg | 2.25 | 2.25 | |
リボフラビン | mg/kg | 5.2 | 5.2 | |
パントテン酸 | mg/kg | 12 | 12 | |
ナイアシン | mg/kg | 13.6 | 13.6 | |
ピリドキシン | mg/kg | 1.5 | 1.5 | |
葉酸 | mg/kg | 0.216 | 0.216 | |
ビタミンB12 | mg/kg | 0.028 | 0.028 | |
コリン | mg/kg | 1360 | 1360 |
参考:2016_Midyear_Committee_Reports_w_cover (PDFファイル)
まとめ
- AAFCOは米国資料検査官協会といい、アメリカ全体に協会がある
- AAFCOは基準を設ける期間で認定などは行っていない
- 日本のドッグフードにおける基準はAAFCOを参考にしている
- 世界的な基準があることで安価にキャットフードを製造、販売できる
- AAFCOの基準に則っていれば問題ない
AAFCOについて教えてもらいました。アメリカの飼料検査官協会でアメリカ全土にあるということで、日本とは違う飼料に対する姿勢が見え隠れしています。今後もAAFCOの発展を期待しています。