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皮膚も臓器
皮膚は最大の臓器と言われており、臓器のひとつです。
外部からの刺激から体を守ったり、体温調節をしたり、皮脂を分泌したり、感覚があったりと様々な役割があります。
もちろん摂取した栄養素からできており、適切な栄養素の摂が健康な皮膚、バリア機能を持った皮膚を作ることに役立ちます。
犬の皮膚疾患について
皮膚疾患には様々な原因、種類があり、原因もそれだけ多くあります。
- アレルギー性皮皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 膿皮症
- 脂漏症
- 皮膚糸状菌症(真菌)
- 疥癬
- マラセチア皮膚炎
- 毛包虫症
- 脱毛症
原因
- 花粉・ダニ・ハウスダスト・食品などによるアレルギー
- 皮脂の異常分泌
- 真菌
- ヒゼンダニ
- マラセチア菌
- 毛包虫
- 心因性
症状と時期
皮膚の赤み、脱毛、膿疱など症状も多岐に渡り、乾燥時、湿度の高い時期に起こりやすい傾向にあります。
掻痒性皮膚疾患(そうようせいひふしっかん)
特にフレンチブルドッグなどは皮膚がデリケートで皮膚病になりやすい犬種です。
アレルギー性皮膚炎の他、膿皮症、マラセチア皮膚炎、心因性脱毛症などがあります。
オメガ6脂肪酸のリノール酸が有効
オメガ6脂肪酸であるリノール酸はバリア機能に重要なセラミドの原材料であるため、リノール酸の欠乏により、皮膚障害、繁殖障害を起こしやすいことがわかっています。
痒みのある皮膚炎が出た場合はオメガ3脂肪酸が役立つ
オメガ3脂肪酸は炎症の軽減に役立ち、痒みの出た皮膚炎の場合は役に立つ可能性があります。
マラセチア感染や細菌性の膿皮症などの合併症を管理した上でオメガ3脂肪酸を強化(250mg/kg/day≦)した食事を与えると症状が軽減できることが報告されています。(参考:イヌのライフステージと栄養 坂根 弘)
このようにオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸はバランスが必要でどちらか一方だけが重要というものではありません。
犬の皮膚のターンオーバーは20日~25日
皮膚のターンオーバーは全周期で20~25日程度かかります。摂取した栄養素から皮膚が作られ、真皮、表皮と移っていき角質として剥がれ落ちるまでです。
よく新しいペットフードは3ヶ月続けてみてくださいと言われますが、皮膚のターンオーバーだけでも20~25日かかります。しかも食べたその日からすぐ皮膚になるわけではありませんので、皮膚の様子を確認するだけでも2ヶ月程度は要します。
アレルギーであれば食べてすぐ反応が現れることが多いですが、それ以外の改善を食事から求める場合は時間がかかります。
亜鉛と銅と皮膚疾患
サプリや野菜類に注意
皮膚とミネラルには大きな関係があり、亜鉛欠乏のフードを長期給餌すると皮膚疾患を発症する場合があります。また、亜鉛と銅が足りないフードを犬に長期給餌した場合も皮膚疾患が生じました。
また、ミネラルはバランスが非常に重要で、亜鉛が足りていたとしても、サプリメントなど補充などでカルシウムやリンが過剰になると亜鉛の吸収が妨げられる場合があります。
皮膚疾患には野菜類も注意
健康に良いからと野菜類を多く摂取した場合、可溶性食物繊維やフィチン酸により、亜鉛の吸収が妨げられて亜鉛欠乏症、皮膚疾患を起こす場合があります。
発育期には十分な亜鉛を
子犬は生後4ヶ月から6ヶ月が亜鉛必要量が最大になります。この時期は一瞬で通り過ぎますので、思っているよりも早く来ると感じるかもしれません。
ストレスの軽減
犬は寂しさのあまり、体を舐めたり噛んだりすることで脱毛を起こす場合があります。猫では稀といってよい行動のひとつです。
寂しさのあまりといえば愛しいといえば愛しいのですが、禿げてしまうほどのストレスは大変です。
しっかりと関わりを持ち、ひとりにさせる時間を少なくし、散歩や遊びを行うことでストレスの軽減をしましょう。
犬にとって安心感は健康に暮らす上で大切な要素のひとつです。
適切なスキンケア
内部からアプローチするとともに、外部からもアプローチを行います。
犬の皮膚は中性から弱アルカリ性に傾いているため、中性~弱アルカリ性のシャンプーなどが推奨されます。
ただし汗をかくとアルカリ性に傾き、ブドウ球菌などが繁殖しやすい環境になるため、症状によっては弱酸性が使用され、それが効果的となる場合もありますので、自分で決めつけることなく、獣医師と相談するようにしましょう。
シワのある犬種の場合は皮膚のシワ清潔保持も重要です。
内部からと外部からの両方の処置でより改善される傾向にありますので、毎日のケアがとても大切になってきますね。