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世界中で主要作物として栽培されるジャガイモ
芋は主食として食べられる地域もあるほど重要な作物です。なかでもジャガイモは多くの地域で生産されています。
主食とは、人々が日常的(にちじょうてき)にもっとも多く利用する食べ物のことです。一般(いっぱん)には、穀物(こくもつ)とイモ類が代表的です。世界の年間生産量の多い順に、トウモロコシ(10.3億トン)、小麦(7.4億トン)、米(4.8億トン)、ジャガイモ(3.8億トン)。このほかにもキャッサバ、大豆、サツマイモなどがあります。
参考:農林水産省 令和2年
このように3.8億トンも生産されているジャガイモなので、ドッグフードでも主要原材料として使用されています。
こうした点から安定供給が可能で安価に抑えることができ、ペットフードには欠かせない原材料となっています。
ジャガイモの栄養素
一番の特徴は豊富で熱に強いビタミンC。ビタミンCのイメージのみかんと同程度程も含まれています。
その他にもカリウムや葉酸が含まれています。
また、意外かと思いますが、同量のジャガイモとサツマイモではサツマイモの方がカロリー、糖質共に高くなります。
- じゃがいも(100g):76kcal、糖質16.3g
- さつまいも(100g):132kcal、糖質29.7g
ドッグフードにおけるジャガイモ
ドッグフードでもジャガイモは多く使用されます。乾燥ジャガイモ(ペットフードでは生のジャガイモも乾燥してから使いますので、一律乾燥ジャガイモと考えて)だけでなく、ポテトスターチ(ジャガイモでんぷん)やポテトプロテイン(ジャガイモたんぱく質)も使われます。
ポテトプロテインはポテトスターチを作るときの副産物で安価であり、かつ、消化もいいため、ペットフードには使いやすい原材料です。
またもともとジャガイモはそれほどアレルギー源にはなりにくいですが、一応アレルギーを考慮してポテトスターチを使用するところもあるようです。
環境にやさしい高循環型食材
ジャガイモは生食用、加工原料食、でんぷん加工用などがあり、でんぷん加工を行った際に出る副産物からポテトたんぱく質を精製することができます。
以下も非常に参考いただけると思いますのでご紹介致します。
ばれいしょでん粉の副産物であるポテトたんぱく質の利用実態(1) 農畜産業振興機構
このようにジャガイモは非常に環境にも優しく、余すところなく使える資源としても重宝されています。
ジャガイモの配合だけでは血糖指数と負荷は決まらない(GI値)
ジャガイモも高GIとされていますが、血糖値について研究しているGlycemic Research Institute®(グリセミック研究所)によるとペットフードにおいてはタンパク質と炭水化物と脂肪の比率(the protein-carb-fat ratios)が重要であることがわかっており、ジャガイモが含まれるというだけで、必ずしも得られる血糖指数と負荷が決まるわけではないとしています。
このため、ネットでもよくジャガイモも高GIだからダメであるという記述も見られますが、必ずしもそういうわけではありません。
タンパク質と炭水化物の比率が大切です。高品質なタンパク質を豊富に含み、それに対するじゃがいもの量で決定されます。
高血糖にはポテトプロテインには注意
しかしGlycemic Research Institute®では、ポテトプロテイン(ジャガイモタンパク質)は非常に高血糖であり、血糖値上昇の観点からは禁忌とされています。
このように血糖の部分でいうとジャガイモとポテトプロテインには違いが見られますので、糖尿などが気になる場合には気にするようにしましょう。
ジャガイモをサツマイモに変えればいいわけではない
現状ではサツマイモは血糖へ与える影響が大幅に少ないので、ジャガイモのよい代替品であると言われています。
だからといって、様々な話をまとめると、私としてはこれもバランスであるかと考えています。
Glycemic Research Institute®によるとジャガイモをサツマイモへの変更はポジティブであるとのことですが、その中で重要な部分は「タンパク質と炭水化物と脂質の比率が整っていること」が条件にあげられています。
このため単にジャガイモはダメでサツマイモならいいということではありません。
そもそも同量ではサツマイモの方が糖質も多いので、もちろん代替品としては非常に優れていても、全体のバランスは大切であるということかと思います。
ただサツマイモにしてサツマイモを大量に使ってバランスが崩れていたら全く意味がないってことですね…
サツマイモにする利点もありますが、サツマイモは高コスト、高糖質といったデメリットもあるので、ペットフードにおいては使い方次第であると思います。
まとめ
- 最大級の作物として安定供給が可能で安価なため、ドッグフードには欠かせない原材料
- 熱に強いビタミンCを多く含む
- 乾燥ジャガイモ以外に、ポテトスターチ、ポテトプロテインとしても使われる
- ジャガイモ自体は高GIだが、ペットフードにおいてはジャガイモの配合だけでは得られる血糖指数と負荷が決まるわけではない
- タンパク質と炭水化物の比率が大切
- GI値についてジャガイモをサツマイモに代えることはポジティブだが、単にサツマイモにすればいいというわけではない
- サツマイモに変更してもタンパク質と炭水化物の比率に注意が必要
ドッグフードでジャガイモがどのように使われているかと知ることができました。世界のペットフード原材料が高騰する中、安価で安定供給が可能なジャガイモはとても重要な原材料であることがわかりました。